ホームを選ぶか それとも家?

 

 ベッド一つ探すのも困難

 北京市西城区に住む趙おばあさんは今年87歳になるが、最近、ホーム探しで悩んでいる。彼女が希望する条件はさほど高くない。まず、必需品を取りに自宅と行き来するので、家から近い。次に、ひなたぼっこをしやすい建物で、出入りに便利な平屋が望み。食事がおいしく、好きな料理を注文できることが最後の条件だ。子どもたちはこの希望にそって、何日間も探してみた。だが、自宅近くの施設はほとんど規模が小さくて条件がよくないし、そもそも空きベッドが見つけられなかった。また、住み心地がよさそうな施設はほとんど郊外にあり、母親を見舞いに行くのが不便なことも分かった。希望通りの施設はなかなか見つからない。

浙江省寧波市海曙区にある高齢者福祉センターのトレーニング室。訓練師の指導を受けながら器具を使う

 「老後を過ごすいい場所が見つからないという苦情がある反面、多くの高齢者向け福祉施設の入居率は高くない」と、北京市民政局福利処調研員の魏小彪氏は矛盾した実態を教えてくれた。中国民政部(省)のデータによると、全国で60歳以上の高齢者人口は1億6700万人に達したが、福祉施設のベッドは250万床しかなく、高齢者人口の1.5%しかカバーできていない。つまり、入居できるのは高齢者千人当たり15人に過ぎない。先進国では70人だ。また、都市の高齢者福祉施設は高入居率を維持していると思われているが、空きベッドの多いのが実態だ。需要と著しく不均衡な状態に陥っている。

 北京、上海などの大都市では、全市の高齢者福祉施設のベッド数の40%が都市中心部に、60%が近郊地区に分布している。中心部のベッド数の供給が需要に応じきれないことに対し、近郊のベッド数の四割が空いているのが現実だ。そのほか、公立のホームは政府から財政補助を受けることにより、入居費用が低額なため、希望者が殺到し、ベッドが空くのを待たなければならない。一方、同じ条件の民営ホームは費用が高過ぎて、高齢者や家族は負担できない。このように施設で老後を送ることを希望する高齢者が増えているが、実現するのはかなり難しい。

 

 

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