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偉大な文学者たちが愛した青島

 

青島を訪れたことがあり、自らこの土地の魅力を体験したことのある、中国近現代の著名文化人は少なくない。彼らは、その素晴らしい文章で惜しむことなく青島という美しいまちの魅力をたたえた。

近代の偉大な散文家で翻訳家の梁実秋は、『憶青島』の中で「私が訪れたことのある場所はそれほど広いわけではありませんが、それでも北は遼寧から南は百粤(浙江、福建、広東、広西などの地区の総称)まで、十数省になります。愚慮するに、その中で名残惜しくて離れられないほどの場所といえば、青島を挙げるべきでしょう」と述べて、青島を訪れたことのある文化人の心の声を代表している。

「早くも20世紀初頭、青島はそのヨーロッパ情緒で東アジアで広く知られていました。本当の庭園都市だったのです。都市環境の素晴らしさは、当時著名文化人たちが熱愛した大きな理由でした」

青島市社会科学院の張樹楓研究員の分析では、1930年代には、青島は気候が温暖であり、嶗山景勝エリア、匯泉海水浴場、前海桟橋、中山公園桜花会、八大関別荘などの有名観光地を持つことから、毎年内外から多くの観光客を引き付けていた。特に多くの著名文化人にとって、青島の魅力は非凡だった。北京大学学長も務めた教育者の蔡元培、詩人の聞一多、梁実秋、小説家の沈従文、小説家の老舎、世紀の才女と呼ばれた作家の蘇雪林などの文化人・学者はみな青島に対する気持ちを書き表している、なるほど梁実秋が「全国各都市の中で、青島は最もきれいな都市だ」と述べているはずだ。

これら著名な文人墨客を心酔させたのは、青島のどのような点なのだろうか。彼らの文章から、少しチェックしてみるのもいいだろう。梁実秋の目には、青島の美は、まず気候が温暖なことだった。「青島の天気は大陸性気候に属すが、海湾の潮流がやわらげ、四季の変化がとても穏やかだ。『春には百花、秋には月、夏には涼風、冬には雪』がある素晴らしい土地だと言ってもいいだろう。冬には雪も降るが多くはなく、室内では火をたかなくても氷ることはない。夏には涼風がそよそよと、秋には空が高くさわやかと心地よく、春にはいっせいに花が咲き、見きれないほどだ」と述べている。

詩人の聞一多は青島を「この世のパラダイス」としている。例えば4月について「春になると/市街地や山野に茂った樹木の葉が/島のすべての家を覆いつくし/海を向けば碧緑の波が、島の上には起伏する緑の円錐形の一面の波/波の下には仙人の住む宮殿」と描写している。

才女・蘇雪林は、青島を悠然と抜きん出た「海の少女」に例えている。彼女は『島居一月記』の中で「青島の海は愛すべき、なぜなら彼女は緑だから。あんなにもあでやかな緑、そしてあんなにも荘厳。あんなに霊幻で、あんなに深く、私は今になってやっと海の少女の本当の姿を知った、彼女は悠然と抜きん出た、さまざまな姿態を見せる美人だったのだ」と語っている。

あるいは「屋烏の愛」のなせるわざか、青島の風景の美しさは、青島人に対しても自然に好印象を持たせる。有名文化人の青島に対する記憶をつづった文章をめくってみると、青島の民間の風俗に関しても取り上げ、賛美する多くの言葉が見られる。その中でもやはり梁実秋が代表で、彼の晩年の散文作品『憶青島』の中に、彼がかつて借りていた魚山路7号の住宅について書かれている。この住宅は、青島の鉄道局で働く王という人が長年薄給を貯めて建てたものだった。青島を去る時、契約期間の3カ月前だったが、梁実秋は全期間の家賃を支払おうとした。すると、この王さんは受け取ろうとしない。お互いに譲らず、押し問答を繰り返していると、そのやり取りの声が表通りにまで聞こえ、通りがかった人が「君子の国なるかな」と感嘆したという。

梁実秋はかつて青島を理想の「久居之郷」(長く住める場所)と考えた。理由は、風景の美しさ以外に、生活にも満足でき、「青島には美味いものがたくさんある」からだ。青島は海産物が豊富で、アカガイ、ハマグリ、カキ、エビ、カニから各種の魚類までなんでも取れる。梁実秋は「青島は果物は産しないが、山東半島の多くの名産が青島を集散地としている。莱陽梨、肥城桃、煙台のりんごやブドウは、青島市でよく見られる高級品の果物だ」と物産の豊かさをたたえている。

青島の人たちの生活について述べたものでは、老舎の『青島與我』がある。この中の描写で老舎は、青島の人たちが生活を自ら楽しみ、多くの市民が自分たちで劇団を組織していて、老舎も愛好家の1人だったと語っている。これら民間の劇団は「銅鑼や太鼓、役者もそろっていて、とてもおもしろい」ものだったという。

 

人民中国インターネット版 2011年5月26日

 

 

 
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