すそ野広げて 8千万人の党

 

于文=文 新華社=写真提供

現在、中国共産党の党員数は8千万人を超え、中規模の国家の人口にも匹敵する。名実相伴う超大型政党といっても決して過言ではない。それでは、この壮大な党の隊伍は、どのような人々によって成り立っているのだろうか。

『中国共産党規約』には次のように記されている。「年齢が満18歳に達した中国の労働者、農民、軍人、知識人およびその他の社会層の先進者で、党の綱領と規約を認め、党の一組織に参加し、その中で積極的に活動し、党の決議を実行し、期限どおりに党費を納める意思がある者は、中国共産党に加入することを申請できる」

中国共産党は、まさにこうした先進者によって成り立っている。共産党は、党員への日常的な管理を重視し、学習の強化を通じて自己の先進性を高めることを強調し、また学習型政党を建設する任務を提起している。党はまた、中央党学校や国家行政学院をはじめとする数多くの教育機関を開設した。こうした教育・養成機関の主要な任務は党員幹部の思想・理論水準と党務・政務上の問題解決能力を高めることだ。各レベルの教育・養成機関は全国に数千もあり、多くの党員と指導幹部がそこで教育と養成を受けている。

中国共産党は時代とともに進むことをとりわけ重視している。近年来、中国には新興階層が出現した。共産党はその中の優秀な人材も受け入れている。「人民に奉仕する」との主旨を奉じるこの壮大な隊伍は、今もなお絶えず発展を遂げている。

ある退職党員の決意

湖北省の襄樊市では革命烈士陵園広場で約600人の予備党員が厳粛な雰囲気の中で入党宣誓を行った

2010年の春、前年から半年間も続く旱害によって、雲南省の多くの地方では飲用水にも事欠く状況が出現した。しかし、施甸県にある大亮山の麓の村々では、水道の蛇口から変わらず清らかな水が流れ出て、決して途絶えることがなかった。水源は大亮山の営林場だ。ここ数年、大亮山の植生は大幅に改善され、山林によって雨水が蓄えられるため、営林場から水を引いている村々は、旱害に見舞われても飲用水に困ることがなくなった。

「老書記のおかげです。彼がいなかったら、今この村がどうなっていたか見当もつきません」と村人たちは口々に話す。

村人の言う「老書記」とは、楊善洲さんのことで、中国共産党の党員だ。1988年3月、61歳の楊さんは、党の保山地区委員会書記を定年退職したが、省都の昆明へ引っ越して晩年を気楽に過ごしてはどうかとの周囲の計らいを婉曲に断り、故郷の施甸県で植林をしようとの決意を新たにした。

「党の地区委員会の書記を務めていた時に、故郷の村人が一再ならずやって来て、故郷のために何かやってくれないかと頼まれました。そこで、退職後には必ず故郷の役に立つことをやるから、と約束していたのです」と、楊さんは80歳の当時、大亮山の植林について語った際、述べている。

楊さんが大亮山で事前に実地調査を行った際、「ほかのところで植林したほうがいい。ここは雑木一本さえ活着しない」と多くの村人たちから言われたものだった。しかし、定年退職したその日、楊さんは布団を背負って大亮山にやってきた。翌日、大亮山に国家と農業生産合作社の共同経営の営林場が成立した。楊さんは県の職員から選び出した数人と一緒に臨時のテント小屋を造った。深夜、狂風が吹き荒れ、小屋は倒壊してしまい、悪いことに大雨も降り出した。初日から風と雨の「大歓迎」に見舞われるという状況の中で、苦難に満ちた事業が始まったのだ。

楊さんは、現地の牛飼い同様、竹で編んだ笠をかぶり、来る日も来る日も山に登り、一本また一本と苗木を植えた。省から資金援助が得られると、営林場にアスファルト・ルーフィングで屋根を葺いた簡易住居を建て、楊さんと労働者たちはそこに十年ほど住んだ。

2009年4月、楊さんは、20年間、苦労を重ねて育ててきた大亮山営林場の経営・管理権を無償で施甸県林業局に引き渡した。この時、大亮山営林場の市場価値はすでに3億元を超えていたという。

楊善洲さんは、2010年10月に病気でこの世を去った。享年83。楊さんの事績は中国の無数の人々を感動させずにはおかない。中国共産党の隊伍には、楊さんのような党員がまだまだ多くおり、彼らは党への信奉を堅持し、身をもって範を示し、黙々と任務に励み、人民の幸せと国家の繁栄のために、その生涯を捧げている。

資本家から党代表へ

陳愛蓮さんが取締役会長を務める万豊奥特集団有限公司は、中国でも有名な自動車部品メーカーで、フォード、トヨタ、ゼネラルモーターズなどの自動車製造会社に部品を提供している。陳さんは私営企業の取締役会長であると同時に、中国共産党党員でもある。2007年、彼女は党員の代表として中国共産党第17回全国代表大会(十七大)に出席した。

私営企業はかつては共産主義への道に逆行する資本主義企業とされ、陳さんのような私営企業家は搾取階級に属する資本家と見なされた。それがなぜ今日、中国共産党に入党でき、また党の全国代表大会に出席できるのか。

市場経済の発展につれて、中国には私営企業、外資系企業などの新しい経済実体が誕生するとともに、多くの新興階層が全国各地に生まれた。

統計によれば、今日、私営企業経営者は5千万人に上り、膨大な資金と中国国内における約半分の特許権をもつだけでなく、この新興階層が納める税金は中国の税収総額の3分の1を占める。しかし、彼らの間には、党組織がなかった。そこで、党の長期的な発展の必要に照らして、優秀な私営企業家などを党内に受け入れようという声が高まった。だが、私営企業家は資本家であり、彼らを入党させるなら、共産党の階級基盤が揺らぐという理由から、彼らの入党に決然と反対する者もいた。

その実、早期の党規約は、中国共産党は中華民族の先鋒隊であることを明らかにしている。中華民族を代表することは、人民全体を代表することであり、各階層のエリートを党が受け入れることには何の支障もないはずだ。非公有制企業に党の活動が及ばなかったこれまでの状況を改善する上でも、また党と非公有制企業の経営者・社員とのつながりを強め、非公有制経済を健全かつスピーディーに発展させる上でも有利だ。

2002年の「十六大」では、私営企業家を始めとする新興経済団体の代表が中国共産党の全国代表として初めてその姿を現した。5年後の2007年に開かれた「十七大」に出席した私営企業家の党全国代表は18人に増加した。無から有へ、少人数から多人数へのこの変化の裏には、中国の私営企業家の政治的地位の向上を見て取ることができる。また、陳さんからすれば、これは新たな経済モデルと民営企業家への無声の応援でもある。共産党員が多くなるにつれて、万豊奥特集団有限公司にも党の末端組織が成立し、現在、党員は300人以上にも上るという。

 

人民中国インターネット版 2011年7月

 

 
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