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よみがえった莱西の人形劇

 

中国の人形劇は、古くは「傀儡劇」と呼ばれ、中国の芸能の中でも独特の地位を築いてきた。その重要な発祥地の1である青島莱西の人形劇の歴史は、前漢の時代までさかのぼることができる。1978年に莱西岱墅の前漢木椁墓から出土した高さ193センチの大型人形と、セットになった小さな人形は、国家一級文物に指定され、国内人形芸術の元祖とされている。

莱西人形劇の第4代伝承者・倪奉先はすでに5代目を養成し、本来の演出の基礎の上に「変面」などの新たな現代的演劇要素を加え、人形劇の発展に大いに貢献してきた。

失われた人形が帰ってきた

倪奉先老人の人形の中で最も大きいものは高さが1メートル近く、重さは1キロもあり、これは人形劇団の宝となっている。倪さんは、この伝統の演目『小姑賢』の中で「青衣(旧劇の女役の一つ。主として貞淑な中年または若い婦人)」の主人公の人形を、左右の手を使ってさまざまな部分を動かす。

今年73歳になる倪さんは、入門当時14、5歳だったが、おじいさんの弟子にあたる李徳安さん、李徳湖さんについて基礎を学んだという。当時、莱西が村に2000元を投資して人形劇団を設立、人形や衣装などをそろえた。そして、2人の師匠が人形を教えたが、倪さんは教わった10人のうちの1人だった。その後、途切れてしまったこともある。2006年、民間文化について調べていた莱西文物研究所が、この民間の人形劇の技をひそかに伝え持つ第4代の人物、つまり倪さんを探し出し、ふたたびこの芸能を行うよう勧めた。これによって、この伝統がふたたび日の目を見ることになった。同時に、この芸術を市の無形文化遺産として申請した。この時、老人はすでに約半世紀、芸の道から遠ざかっていた。

2008年7月、莱西人形劇団が劈柴院で初公演を行い大成功を収めた。この伝統芸能はふたたび花を咲かせたのだ。今年、市群衆芸術館での公演は倪さんを大いに喜ばせた。劇団の若い団員たちが舞台に上がり、童話の『白雪姫』を脚色し、音楽も入れて上演したのだ。技術はそれほど複雑なものではなかったし、指による操作の必要がない小型人形で歌い踊るものだったが、子どもたちの目には大いに新鮮だったようで、大好評だった。これは、倪さんたちが常々努力して切り開いてきた上演内容と形式のルートをさらに強固なものにした。少し前、彼らはまた四川省「川劇変面」を取り入れた人形劇を開発し、人形が杯を持つなど高度な技術も確立した。

5代目が「変面」を上演

2011年4月、倪さんは弟子を連れて再度揚州に勉強に向かった。ここで人形製作のプロセスを参観すると、帰青後、彼と弟子の張文賢は繰り返し研究を重ね、自ら人形を作り上げ、さらに話の展開の必要に応じて、各種のくま取りを描いたかしらも作り上げた。

張さんは今年47歳になる倪先生の一番弟子で、20歳過ぎから先生について人形劇を学んできた。そして、今回は自ら「変面」人形を作り上げた。基本構造、操作機関はみな出来上がり、装着して上演するのを待つばかりとなっている。現在、彼は閩江路にある文化酒場の招きを受け、毎晩1回から2回、店内で人形劇を上演している。

倪さんは、自分の寿命があるうちに、この伝統芸能を次の世代に伝え光り輝かせるよう精一杯の努力をして、自分でも伝統の演目を口伝えし、自分の芸を残らず弟子たちに伝えたいと話している。自分の息子はこの伝統芸能を受け継がなかったが、この伝統芸能を好きな弟子が継いでくれたことは、彼にとって大きな慰めとなっている。庶民がこの青島地区伝統の芸能を引き続き目にすることができるようにし、この芸能を大衆の中に普及させることが、彼の最大の望みだ。

 

人民中国インターネット版 2011年12月6日

 

 

 
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