中国――日本 友好の絆 浙江

 

飛躍する「静岡工業団地」

杭州市内から車で1時間ほどで蕭山経済技術開発区に到着する。1990年に設立されたこの蕭山経済技術開発区は浙江省の重点開発区であり、日系企業の投資が最も集中している地区でもある。

ショーケースに並ぶ自動車ライトの金型を指して、友成控股有限公司(持ち株会社)の許勇総経理(社長に相当)は「金型の年間販売額は3億元に達します。ベンツ、BMWなどの金型も製造しており、商品は米国、日本、インド、ドイツなど10数カ国・地域に輸出されています。自動車の生産国には、まずわが社の製品もあると言えるでしょう」と紹介した。その様子から、彼が自社の製品に大きな誇りを感じていることが分かる。

「わが社は中日国交正常化20周年、浙江省・静岡県友好提携10周年を記念して設立されました」と話す許総経理は、1995年に入社してからこれまで17年間、会社の歴史とともに歩んできた。1988年、日本の企業家が浙江省を訪れ地元企業の経営診断を行い、浙江省も研修生を日本に派遣したことが、協力の契機となった。1992年、日本の友成機工株式会社が蕭山で初の日系企業を創立した。しかし、「創立当初は収益が悪く、1994年の販売額はわずか392万元」(許総経理)だったが、1995年以降、三菱、東芝など多くの企業が団地に入ると、友成は次第に精密なブラスチック金型・部品を研究・開発、製造する大型企業になっていった。今では同社の取引先は自動車メーカーから、OA、家電など多方面に及び、東芝、ゼロックス、松下など世界の企業ランキングに入るような企業や有名多国籍企業のために部品を提供している。同社は2005年10月に香港のベンチャー証券取引所のGEMで上場、2010年の年末に香港メーンボードで上場した。2011年、同社の販売額は10億元に達した。

島林学歩副総経理は2007年からここで働いている。実はこれ以前、彼は一度も中国に来たことがなかった。「急速な発展をしている中国では、5年間の変化が非常に大きく、ここで働くことをとても楽しく感じています」と話す島林さん。杭州市には2000人を超える日本人が暮らしており、日本人会や日本クラブだけでなく、野球チームまであるなど、生活には何の不便も感じないという。現在、島林さんは家族と杭州市に住んでいるが、将来の生活設計について質問すると、「総経理がクビだと言わない限り、私はずっとここで働きたいと思っています!」と、ウイットに富んだ答えが返ってきた。

友成がリードする形で、蕭山にはヤマハ、テルモなど多くの企業が次々と進出して来た。2003年設立の杭州ヤマハ楽器有限公司は、主にアコースティックピアノ、アコースティックギターと電子ピアノを製造している。斉藤実副総経理は「現在、年間5万台のアップライトピアノ、10万台のギターを生産しており、年間販売額は8億元に達しています。ピアノの製造台数では中国第2位です」と、事業の好調さを紹介する。

蕭山瓜瀝鎮にある杭州ヤマハ楽器有限公司のピアノ生産ライン

統計によると、1994年以来、静岡県はこれまでに60社余りの大型企業を浙江省に設立し、投資総額は2億5000万㌦に達している。

経済協力を推進するために、1993年10月、浙江省静岡県経済交流促進機構が設立された。毎年総会を開き、経済交流の中で出現する新たな課題について検討し、企業の共同出資と協力を支援している。

 

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