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文化符号としての民族文化

 

貴州省は典型的な移民の省なのだ。

貴州省内に最も古くから住んだ民族は、「百越」や「氐羌」などに属する諸民族とされる。歴史の各時代に、今日のコーラオ(仡佬)族、プイ族、トン族、シュイ(水)族、モーラオ(仫佬)族、イ(彝)族、ミャオ族、ヤオ(瑶)族などの諸民族が移住し、さらに回族、蒙古族、漢族などが次々と北方からこの地に移り住んだ。漢族は秦・漢以後に移住を始め、明代に大規模な移住が行われた。

貴州省は「民族のるつぼ」と形容されるほど多くの民族が共生する地で、現在、49の諸民族が住み、全省の総人口4000万のうち、漢族以外の少数民族が39%を占める。プイ族とシュイ族の大部分が省内で暮らしており、ミャオ族とトン族の半分以上も省内で暮らす。

明の永楽11年(1413年)、貴州は正式に中国の13番目の省となった。

数千年の歴史の中で、各民族が貴州の地に移り住み、ここに定住して農業を営み、しだいに「多くの民族がまじわり住み、あるいは村々にまとまって住む」分布状況をつくり出した。近年、西部大開発が起動するまでは、人々は限られた小区域の生態環境の中で、「日出れば耕し、日没すれば休む」農耕生活を行い、地元で収穫される農作物を生活資源に衣食住をまかなう自給生活を送ってきた。農業と手工業によって村々が維持されてきたのだ。

交通はきわめて不便で、省内の往来さえも困難であったため、文化の交流は限られ、古くからの伝統的な生活が良く保存されて、もともとの生態がほぼ完全な形で残されてきた。地域間の差異も大きく、結果、豊富多彩な貴州の民族文化がはぐくまれた。この豊富多彩な民族文化こそが貴州を他から識別する文化符号にほかならない。

 

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