「親日派より知日派」留学生に託した思い

 

千葉敬愛学園理事長の近藤龍夫さん(写真・単濤)
数多くの中国人留学生がさまざまな夢を抱えて日本にやってきている。ふるさとを遠く離れた若者に対し「しっかり日本のことを知って、知日派になってほしい」と千葉敬愛学園理事長の近藤龍夫さんは願っている。

近藤さんは中国と深い縁を持つ。三十数年にわたり新聞記者をつとめる間に、香港や北京に10年以上駐在し、中国報道に携わった。新聞社の仕事を終えた時、それまで蓄積した経験と知識を生かして社会の役に立ちたいと考えた近藤さんは敬愛大学で教鞭を執るようになった。

当時、設立されたばかりの国際学部には世界各国から留学生がやってきていた。その頃から最も多かったのは中国人留学生だ。中国関係を中心に教える近藤さんの授業には、日本人学生だけではなく、中国人留学生も多数出席していた。日本人学生に中国のことを知ってもらい、中国人留学生に日本人から見る中国を伝えるのが近藤さんの授業の特徴だった。

授業をするうちに、近藤さんはあることが気になった。同じ学部にいながら、留学生と日本人学生との交流が非常に少なかったのである。

「せっかく日本の大学に入ったのだから、こんなに良い国際交流の環境の中でもっと互いに交流しないともったいない」と考えた近藤さんは、授業中、留学生を日本人学生の隣りに座らせ、交流しやすい雰囲気を作ったほか、自分のゼミに入っている留学生と日本人学生を連れて旅行もした。普段ほとんど会話をしない中国人、韓国人、そして日本人学生たちは酒を飲みながら楽しく交流し、すぐに友達になった。

近藤さんは卒業式で、留学生に対して毎年言う言葉がある。「みなさんは親日派にならなくても、少なくとも知日派になってほしい。自分の国に帰ったら母国と日本の架け橋になってください」

近藤さんは特に中国人留学生に大きく期待している。「日中関係において感情的に悪くなるのは、お互いによく知らないからだ。相手のことを知り、相手にも自分のことを知ってほしいと願う。それは誤解を解消するためにとても大事なこと。敬愛大学の中国人留学生は学生総数の3分の1を占めている。4年の間に日本のことをしっかり知ってもらい、将来、日中友好関係を築く人間に育ってほしい」と近藤さんは語る。

 

 

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