中国社会科学院栄誉学部委員、全国日本経済学会顧問、
中国中日関係史学会副会長 馮昭奎氏

 

「現在、中日両国ないしアジア太平洋地域諸国の人々は海洋環境問題、地球温暖化問題、食糧、原発及びエネルギー問題などさまざまなかつてなかった安全問題の試練にさらされ、われわれは手を携えてともに対処すべきである。これこそ全人類共通の故郷である地球を救うための急務である」  

しかし、残念なことに、中日国交正常化40周年にあたる2012年、日本の右翼と政府は、米国の「アジア・太平洋地域への回帰」を背景に、大局を顧みず、国内の有識者の理性的な主張を無視し、釣魚島問題をめぐって極端な民族主義的感情を煽り、両国の矛盾を激化させる冒険主義的な政策を実行した。名目は「日本を愛する」だが、実際には「日本を害する」行為である。ある日本人の学者が言ったように、「偏狭な民族主義あるいは対外強硬論は、ある程度、確かに国民に一種の喜びを与えることができる。経済あるいは社会の発展が停滞すればするほど、政治あるいはメディアは国民の不満のはけ口を国外に向ける。しかし、このように浅薄で感情的な世論は長期的な国家利益を損なう」。確かに、石原慎太郎東京都知事と日本政府が釣魚島問題の惹起に事寄せて、中国を挑発したのは、「確かに国民に一種の喜びを与えることができた」だろう。しかし、「現在の日本の核心的な国家利益」に極めて大きな損害を与えたと言える。それと対照的に、中日間の戦略的互恵関係を促進することこそ日本の真の「国益」になる。日本側が引き続き独断専行し、「口げんか」を「殴り合い」に悪化させていくと、中日関係は国交正常化以来、悪くすると戦後最も危険な状態に追い込まれる可能性がある。  

最近、中日関係に問題が起きて以来、すでに日本の自動車メーカーの中国市場での売り上げに影響を与えている。日本国民、とくに日本経済界の人々は、対中経済・貿易関係の発展が日本の被災地復興と景気回復にとってどれほど重要か、よく分かっている。現在、80%以上の日本人が中国に対して好感を持っていないが、同じく80%以上の日本人は日中関係がとても重要だと考えている。日本政府の対中外交が行き過ぎ、両国関係に全面的な危機が引き起こされる事態は、同じように日本国民が目にしたくないものだろう。現在、いかに釣魚島問題が中日経済・貿易関係に衝撃を与えないように対処するかということも、われわれ両国がともに解決しなければならない「逃れられない宿題」である。

 

 

 

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