中国・スイスFTAは「並大抵でない意義を持つ」

 

スイスは新中国成立後、西側で最初に中国を承認し、国交を樹立した国の1つだ。中国が改革開放に踏み切ると、スイスの有名企業は他国の企業に先駆けて中国との合弁協力に参加した。中国が世界貿易機関(WTO)に加盟すると、スイス政府は欧州の他の国々に先駆けて中国の完全な市場経済地位を認定した。そして今、スイスは欧州大陸諸国および世界経済の上位20カ国の中で最初に中国と自由貿易協定(FTA)を締結しようとしている。FTAは両国の経済貿易協力の拡大に資するのみならず、中国・欧州貿易、さらには世界全体の保護貿易反対にとって模範となる。中国経済網が伝えた。

中国・スイスFTA交渉は2011年4月から9回行なわれ、最終的にハイレベルで広範な内容の協定となった。製品貿易とサービス貿易だけでなく、環境保護、労働者の就業、知的財産権、市場競争など新たな時代の新たな議題を含む内容だ。双方は相手国のほとんどの製品にゼロ関税または低関税待遇を与えるとともに、サービス貿易の自由化と円滑化を進めることで合意した。

互恵・ウィンウィンの協定であり、李克強総理がスイス紙ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥングへの寄稿で指摘したように「並大抵でない意義を持つ」。

第1に、中国・スイスFTAによって両国の経済貿易協力の幅が広がる。中国とスイスの経済貿易は補完性が競争性を上回る。中国は世界最大の発展途上国で、巨大な市場需要と潜在的発展力を備える。一部製造業も競争力が極めて高い。スイスは欧州の先進国で、十分な科学技術力と産業優位を備え、ファインケミカル、時計製造、精密機械分野で特に優位にある。高い経済的補完性によって両国の経済貿易関係は長年健全で落ち着いた発展を維持し、相互貿易額は国交樹立当初の680万ドルから2011年には過去最高の308億ドルにまで増えた。欧州債務危機がくすぶり続け、世界経済が混迷するというマイナス要因に見舞われた2012年でも依然263億ドルに達した。スイスにとって中国はアジア最大の貿易パートナーであり、中国にとってスイスは欧州第7の貿易パートナーおよび第6の外資導入元だ。杜哲巍駐スイス大使によると、現在までにスイス企業約400社が中国に支社などを900余り設立した。スイス企業ネスレは中国に33カ所の工場を設立し、5万人余りの従業員を雇用している。ノバルティスとABBも中国業務が好調だ。

第2に、スイスは自らの直面する試練に対処するために、中国という最も潜在力を備える「世界市場」を急いで必要としている。スイスは国内市場が小さく、十分な販売チャネルを見いだすのが困難なため、輸出が産業の全体的戦略となっている。近年、EUと米国のFTA交渉が加速している。スイスにとってEUは最大の貿易パートナー、米国は第2の貿易パートナーであるため、EUと米国のFTAが締結されれば、ハイエンド製造業センター、ハイエンド製造業研究開発センターとしての地位が弱まる。スイスは新興国を中心に二国間および地域FTAの締結を通じて企業競争力を高め、持続可能な経済成長を促すことを急いで必要としている。

第3に、中国・スイスFTAは中国・欧州貿易にも新たな機会をもたらし、中国とEUがより緊密な経済貿易関係を構築するうえでの模範にもある。スイスはEUに加盟していないが、EUと同じく欧州経済圏に属し、双方は約120の協力協定を締結して自由貿易を行なっている。中国・スイスFTA締結によって中国製品がスイスを跳躍台にしてEU市場に自由に進出できるわけではないが、中国の半製品がスイスで加工されてEUで販売されることで、一定のEU市場開拓になる。スイスは外資誘致面でも政治的安定、友好的な商業文化、柔軟な労働力市場、良好なインフラ、発達した科学研究機関などの強みを持つ。スイスは一貫して自らを中国企業の欧州進出の門戸と位置づけ、この強みを武器により多くの中国企業を誘致することを望んでいる。現在すでに中国企業約65社がスイスに支社などを設立している。両国のFTA締結によってスイスのこの強みが一段と明らかになり、中国とEUの経済貿易関係拡大にとっても良い模範となることは間違いない。

中国・スイスFTA締結は両国の経済貿易関係において一里塚的意味を持つ重大な出来事であるだけでなく、中国と他の先進国とのFTA締結にも貴重なノウハウを提供する。このチャンスをしっかりとつかみさえすれば、中国とスイスの経済貿易協力にさらに素晴らしい明日が訪れることは間違いない。

 

「人民網日本語版」2013年5月26日

 

 

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