庭園で江南の風情を満喫

 

古猗園内の水辺の茶室。旗が水面にゆれる様子は最も江南水郷らしい味わい

上海には近代以降の歴史を映す観光スポットが豊富なぶん、長い歴史を持つ観光地が少ないという人もいる。しかし、地下鉄が郊外まで整備された現在、実はちょっと足を伸ばすだけで長い歴史に触れられる場所がある。それが嘉定だ。

市中心部の曹楊路駅から地下鉄11号線に乗ると、嘉定区の南翔駅までは30分ほどの快適な旅だ。駅から徒歩十数分の距離にある古猗園は、江南のイメージにぴったりの庭園で、そこには市内とはまったく違う時間が流れているようだ。ここは明代に個人の庭園として造られ、清の乾隆帝時代に大規模改修されたもの。蘇州の拙政園にも似た風格の中国古典園林で、江南名園の一つに数えられる。蘇州に比べると団体客も少なく、ゆったりと散策できるのがうれしい。

庭園を見るためだけに足を運ぶのは面倒という方も、上海の豫園で有名な南翔小籠包の南翔がここのことだと聞けば興味が出るのでは。庭園横の古猗園路には、“元祖”南翔小籠包の店がずらっと並び、庭園に隣接した古猗園餐庁では、小籠包のほか伝統的な本帮菜(上海料理)が味わえる。さっぱりして上品な本帮菜の数々は日本人の味覚にもぴったりで、竹葉茶など、ほかではなかなか味わえない美味もある。

そして、古猗園の北大門から8分ほど歩くと南翔老街が開ける。五代(907〜960年)から北宋(960〜1127年)初期に建てられたという双塔を中心に、清末の歴史的景観が修復・整備されており、古い江南水郷の街並みと地元名物の湯圓などのグルメが楽しめる。またここでは、路地を入ると聞こえてくる会話が上海市内よりずっとおだやかなことに気づく。地元の人によると、蘇州に近いこの土地では蘇州方言の影響が強いため、話し方が優しく響くのだろうということだった。

 

人民中国インターネット版 2013年7月8日

 

 

 
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