家の梁から得た着想

 

北宋の大詩人・蘇軾(蘇東坡)といえば、その作品を知らない日本人でも彼が発明したとされる「トンポーロウ」(東坡肉)はよく知っているのではないだろうか。その蘇軾は、晩年のある時期宜興に滞在し、ここに住まいと学堂を建てたとされている。

宜興には貴重な茶葉、良質なわき水、紫砂の茶壷があった。これは蘇軾にとって生活の一部分であるだけでなく、その創作意欲をかき立てるものでもあった。彼はとても茶を飲むのが好きだったが、伝統的な茶壷は小さいため、大型のものをこしらえることにした。しかし、本体を作ってみて彼は、伝統的なスタイルで本体側面に取っ手を取り付けると全体の重さに耐えられず、また取っ手が簡単にすすけてしまうことに気づき、どうするか悩んでいた。そんな時に、彼は家の梁を見上げてふと思いついて、家の梁と同じ原理で上から吊り下げる形で取っ手をつけてみた。これが「提梁壷」発明の由来だ。

蘇軾がこの地に建てた学堂は数度の改修を経て、現在では「東坡書院」として一般公開されているが、彼に関する逸話もこのように現在に伝えられている。

 

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