山の幸、湖の幸も豊富

宜興には次のような民間伝説がある。目連という少年の母は天の戒律に触れて地獄に落とされた。目連は修行を積み、母親に食べ物を持って会いに行った。しかし、途中で乗っている船が餓鬼に襲われ食べ物は食べつくされてしまった。そこで彼は、地元の山腹に生えている野草から黒い汁を絞り出し、これでもち米を炊いた。餓鬼たちは黒いご飯を恐れて食べず、目連の母親はこれ以降飢えに苦しむことがなくなったという。

 

この竹林に自生する野草は地元で烏飯草と呼ばれている。これを使って炊いたご飯が「烏米飯」で、宜興の人々は目連の物語から「孝子飯」(孝行息子のご飯)とも呼び、毎年旧暦の4月8日にこれを炊いて食べる習慣をもっている。

 

宜興の山野ではタケノコ、キノコ、クリが採れ「宜興三珍」と呼ばれている。コジュケイ(竹鶏)も生息しており、クリと一緒に炊いた「板栗焼竹鶏」は湖父鎮の名物料理となっている。

 

宜興の東に広がる太湖は中国第2の淡水湖で、琵琶湖の3倍以上となる2400平方キロ余りの面積を持つ。太湖には「三白」と呼ばれる名物がある。「銀魚」(シラウオ)、「白魚」(白身の淡水魚)、「白蝦」(淡水エビ)である。銀魚は骨が少ない上に身が柔らかく、白魚はきめ細かな肉質を持つ。また、白蝦は殻が薄く黄酒に浸す「エビの酒漬け」で食べられる。さらに、太湖はシャンハイガニの名産地でもあり、そのまま蒸して食べるほかに、カニ肉入り肉だんごの「蟹肉獅子頭」が太湖を代表するカニ料理として知られる。

 

中国には「靠山吃山、靠水吃水」(山に近い者は山に糧を求め、水辺の者は水を頼りに暮らしを立てる)の言葉がある。宜興は紫砂という陶土を産出するだけでなく、山あり湖ありという自然の恵みを享受しているのだ。

 

人民中国インターネット版

 

 

 
人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850