習近平主席が就任後3度目の外遊へ G20サミットに初出席

 

中国の習近平国家主席は就任後3度目の外遊に本日出発する。トルクメニスタン、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギスの中央アジア4カ国を歴訪するほか、第8回G20サミット、第13回上海協力機構首脳会議にも出席する。「ニューフェイス」の両サミット初出席と中央アジア4カ国初訪問。習主席の今回の外遊に世界は強く注目している。中国新聞網が伝えた。

■G20サミット初出席 注目される中国の役割

習主席は5、6両日にロシア・サンクトペテルブルクで開催されるG20サミットに出席する。国家元首就任後初のG20サミット出席であり、半年足らずでのロシア再訪問でもある。

「G20サミットでは習主席の談話、特に中国の経済情勢についての発言が大いに注目される。最近、中国経済衰退論が一部でささやかれているからだ」。中国国際問題研究所の曲星所長は取材にこう指摘した。

現在、世界経済は成長の原動力が不足し、世界金融危機が浮き彫りにした深いレベルの矛盾や構造的問題はいまだに取り除かれていない。米連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和縮小の可能性への各国の懸念、債務危機の泥沼に長くはまることへのユーロ圏の焦慮や不安。今回のサミットの背景にあるのはまさに、危険な状況が次々に生じている世界経済だ。

こうした背景の下、国際経済協力の主要なプラットフォームであるG20サミットは今年のテーマを成長と雇用に決めるとともに、「強固で持続可能かつ均衡ある成長のためのフレームワーク」「雇用」「国際金融メカニズム改革」「金融規制・改革の強化」「エネルギーの持続可能性」「発展」「多国間貿易の促進」「腐敗対策」という8つの優先的議題を定めた。「成長のためのフレームワーク」と「国際金融メカニズム改革」の下には新たな特別議題「投融資」「政府公的債務の持続可能性」も設けた。

沈驥如・元中国社会科学院世界経済・政治研究所国際戦略研究室長は「G20は世界経済において最も重要な20カ国・地域であり、この多国間協力プラットフォームが協力パートナー精神を具体化し、構成国がいずれも責任あるマクロ経済政策を講じ、マクロ経済の調整と協力を強化できれば、現在世界経済の直面する試練を受けて立ち、一日も早い強固な回復に導くことができる」と指摘。世界金融危機後に一部の国で保護貿易主義がやや台頭傾向にあることについては「これによってドーハ・ラウンド交渉は遅々として合意できなくなっている。これは世界の持続可能な経済成長と持続的回復にとって大きな脅威だ」と指摘した。

世界経済の回復が力を欠く中、中国経済が「アップグレード版」のエンジンに切り替えて、構造調整を加速し、新たな競争優位を築けば、長期的成長が見込まれ、引き続き世界の経済成長を牽引することに世界は注目している。G20対話枠組みにおいて、中国の発揮する役割が日増しに重要かつ広範になっていることは間違いない。

多国間外交の場として、G20サミットでの首脳会談も大国の元首を中心に大いに注目される。露米大統領の他に、領土問題や歴史認識問題で対立している日本と中韓両国の首脳が初めて揃って出席する国際会議であることも大いに注目される。

■上海協力機構内部の力を強化 「雑音」に妨害はされない

習主席はG20サミット以外に9月13日にキルギスのビシュケクで開催される第13回上海協力機構首脳会議にも出席する。国家元首としての出席は初であり、注目される。

中国外交部(外務省)は、加盟国の善隣友好協力関係を一段と強化する措置について検討し、計画を立て、重大な国際・地域問題について意見交換し、立場の協調を図ることがサミットのテーマだと説明した。

「例えばシリア問題において、上海協力機構加盟国の中国とロシアは米国の武力行使に反対している。この問題において、ロシアは中国や上海協力機構の他の加盟国の支持を取りつけることも望んでいる」と沈氏は例を挙げた。

「中央アジア地域に中東のような動乱が生じていないのは、上海協力機構の発揮している役割が緊密に関係している。これは上海協力機構が地域の安全・安定に発揮している重要な役割を具体的に示すものでもある」と中国現代国際関係研究院ユーラシア研究室の王◆久(◆は麗へんにおおざと)研究員は指摘した。

中国国際問題研究所上海協力機構研究センターの石沢研究員は「中国外交の一大革新である上海協力機構は、中国と中央アジア諸国との関係発展の重要なプラットフォームとしての存在感を強めている。このプラットフォームの役割がどんどん際立ち、代替不能になっていることは、事実が証明している」と指摘した。

注目に値するのは、今回のサミットで「長期善隣友好協力条約実施綱要」が決議の形で了承されることだ。これについて石氏は「これによって協力は一段と具体化される。上海協力機構の今後の発展と加盟国間の相互信頼・協力の促進にとって計り知れない意義を持つ」と指摘した。

習主席のサミット出席は、上海協力機構内部の力の強化を一段と促し、政治、安全保障、経済、社会分野の加盟国間の協力を強化すると指摘される。曲氏は「サミット期間に習主席は、新シルクロード経済発展ベルトのような、一部加盟国との間の経済協力の新構想も発表するかもしれない」と指摘した。

経済協力について沈氏は「中国と上海協力機構加盟国は補完性が高く、協力には大きな潜在力がある」と指摘した。

12年間の発展を経て、昨年6月の北京サミットを境に、上海協力機構は実務協力の全面的推進の高速道路に入った。一方で上海協力機構はいくつか疑問を呈されてもいる。これについて王氏は「上海協力機構衰退説を唱えるのは、嫉妬心のなせる業だ。われわれは冷静に分析し、実務的に問題を解決すべきだ。『雑音』に妨害されてはならない」と指摘した。

■中央アジア初訪問:戦略的協力をさらにレベルアップ

習主席は両サミット出席以外に、トルクメニスタン、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギスの中央アジア4カ国公式訪問も行う。中央アジア公式訪問は国家主席就任後初。中国外交部は「今回の訪問は中国と中央アジア諸国との戦略的協力の今後の構築にとって重大な歴史的意義を持つ」と説明した。

1992年の国交樹立以来、中国・中央アジア諸国関係は良好な発展基調を維持してきた。沈氏は「この中央アジア4カ国はいずれも中国の近隣国であり、経済的補完性が高く、政治的に支持し合い、良好な協力の伝統がある」と分析した。

中央アジア4カ国歴訪中、習主席は各国大統領との公式会談、各国首相、議長など主な指導者との会談を行うほか、共同宣言など政治文書、協力文書に署名する。

また、カザフスタンのナザルバエフ大学で重要な講演を行ない、中国の中央アジア外交政策を明らかにする。

沈氏は「今回の訪問は、中国が政治、経済、人、文化面で4カ国との協力を全面的に強化することを示している。習主席は中央アジア各国大統領との会談で、石油・天然ガス、交通、通信、投資、人、文化など各分野の重要な協力文書に署名する」と指摘した。

「習主席の今回の訪問は、こうした国々とのすでに良好な関係をさらにレベルアップさせることを目指している。これには政治的相互信頼を強化する考えもある。ロシアにも中央アジア諸国にも、いわゆる『中国脅威論』の観点が常に存在するからだ」。沈氏は、このため双方はなおさらに、国家指導者間の往き来の増加を含めて意思疎通を強化する必要があると指摘した。

「中国脅威論」以外に、国際社会にはこれと相反する論調もある。つまり「中国崩壊論」だ。これについて沈氏は「中国の経済成長は多少減速したが、これは経済発展の質を高めるためのものだ。具体的には、経済発展方式の転換と経済構造の調整という政策の実行に伴い、世界経済に対する中国の寄与度はさらに大きくなる。この点はG20が理解すべきであるのみならず、中央アジア4カ国を含む上海協力機構加盟国はなおさらに理解すべきだ」と指摘した。

「政治面で思想を開放し、各種の妨害を排除できれば、双方の発展における障害は大幅に減少し、双方の相互補完性を十分に形にし、協力発展の空間を一段と切り開くことが初めて可能になる」と沈氏は指摘した。

「また、中国にとって中央アジア諸国との関係発展は、様々な国際リスク、特に東からのリスクを防ぎ止めるうえでメリットがある。戦略的に後方をうまく確保すれば、東からの圧力に対処する際の底力が増す」と指摘した。

曲氏は「中央アジア諸国初訪問と両サミット初出席。習主席の今回の外遊は中国新指導部の大きな外交布陣の重要な一歩であり、大国、周辺国、多国間、途上国など様々な外交要素を含み、中国外交の基本的布陣を具体的に示すものであり、非常に重要な草分け的意義を備える」と指摘した。

 

「人民網日本語版」2013年9月3日

 

 

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