上海自由貿易区、2回目のグローバル化ボーナスが始まる

 

10月1日に正式に設立する上海自由貿易区は改革によって開放を促す新たな大戦略の重要な政策だ。これによって中国は新たな成長ボーナス、改革ボーナス、グローバル化ボーナスが得られるに違いない。

現在中国には保税区、保税物流区、保税港区など6種類の経済特区があり、上海自由貿易区は国が設立する初の正真正銘の自由貿易区で、1979年の深セン特区設立、2001年の世界貿易機関(WTO)加盟と同じくらい重大な改革措置とみられている。

大きな流れとしては、低要素費用で国際分業に参加し獲得した第1の「グローバル化ボーナス」に終止符を打ち、第2の「グローバル化ボーナス」、即ち新たな国際価値連鎖と巨大な内需市場を通じて技術や人的資本など国外の高度な生産ファクターを吸収し、中国経済の底上げを促す。上海自由貿易区戦略はそうした使命を担っている。

まず上海自由貿易区は国家価値連鎖の構築を担い、加工貿易の国際分業への参加レベルを引き上げる重要な使命がある。上海を代表とする長江デルタは中国の輸出貿易をリードしており、加工貿易の部品や原材料はあまりに輸入に依存しているため、開発とマーケティングの2つが外にある状況だ。そのため加工貿易の方式構造を調整し、国内の価値連鎖の構築を加速することで、グローバル企業が設計、生産、流通、サービスの拠点をより多く中国に置くよう促す必要がある。

またこの10年で中国市場の世界における影響力が高まるにつれ、2012年9月末の時点で、上海にはグローバル企業の地域本部が393あり、中国大陸部でグローバル企業の地域本部が最も集中する都市となっている。上海自由貿易区は世界の高度なファクターをより一層中国に集める役割を担っている。

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、環大西洋貿易投資パートナー協定(TTIP)が締結すれば、世界の貿易ルール、基準、構造は大きく変わり、現在の貿易体制に挑戦することになる。欧米などの先進国は知的財産権、労働基準などの方面で新しいルールを制定し、由貿易区のメンバーではない国が出入りするハードルを高くするに違いない。また自由貿易区には、対内開放、対外規制の特徴があり、域外の経済体により高い障壁になる。これも中国の貿易、投資などの国際競争の圧力が強まることを意味する。

そうした中、上海自由貿易区の設立は明らかにグローバル化の視点に立っている。中国は一方で世界の自由貿易区交渉に積極的に参加する準備をし、中国の全面的な自由貿易区戦略を推し進め、中国のグローバル化の利益を確保。もう一方で上海の貿易、金融、投資、水上輸送、港湾、関税、オフショア市場などの分野の改革およびサービス業の開放、政府の職能転換加速、試験区にふさわしい監督管理などの制度環境を構築するなど制度面の重点的な革新はまさに自由貿易区の設立をきっかけに、国内の市場化改革を強制し、新たなグローバルルール体制とのリンクを促したい政府の戦略的狙いがある。

(中国国際経済交流センター戦略研究部副研究員 張茉楠)

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年9月22日

 

 
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