三中全会 改革バージョンアップ時代に

 

晩秋の北京で中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議(三中全会)が開かれ、11月12日、4日間の全日程を終え閉幕した。内外の注目を集めた同会議は35年前の同じ三中全会(第11期)で打ち出された「改革開放」をさらに推進させるために中央直轄の改革指導チーム「全面深化改革領導小組」を設置し、また複雑化している国際情勢に対処するために「国家安全委員会」(国家安全委)の設置も決定した。またコミュニケでは経済、政治、社会、文化、エコ文明などの各分野における改革の方向と解決方法を明記し、7年後の2020年までに「決定的な成果」を挙げるよう求め、新体制が描き出した青写真の実現に向けて決意を表明した。

これまでの三中全会も重要政策を決定してきたが、今回は中国が国内総生産(GDP)世界第2位の経済大国に躍進して初めての三中全会だったことから、特に関心が集まっていた。今回の会議に対する海外の評価を見ると、打ち出された新方針は中国の発展に新たな活力を注入し、その結果、世界に対してもさらに多くのチャンスをもたらすだろうという点で一致している。

三中全会が発表したコミュニケには「改革」が59回、「制度」が44回、「深化」が30回登場し、世論は今回の会議の歴史的な位置付けを「改革開放時代」入りを象徴する第11期三中全会に匹敵すると評価している。中国の改革はバージョンアップの時代、言わば、より高度な「2・0時代」に突入したと言えよう。

会議の席上、習近平中国共産党総書記(国家主席)は『改革の全面的な深化についての若干の重大問題に関する党中央の決定』の中で、「改革の全面的な深化(中国語は全面深化改革)」をテーマとして提起し、「中国の特色ある社会主義制度の整備と発展、国家管理(中国語は治理)体系と管理能力の現代化推進」を「全面的な深化」の目標に据えた。「全面深化」と「治理」がキーワードであり、今回の三中全会の重要な意義と全く新しい内包を浮き彫りにした。

党大会方針を実践に移す

今回の三中全会は11期以降の同会議と同じだったとは言えない。従来の三中全会ではある一部の分野における改革を取り上げたに過ぎなかったが、今回、「全面的」と表現したのは、経済、政治、文化、社会、エコ文明を包括する「五位一体」の改革方針を打ち出しているからだ。中央財経指導チーム弁公室の楊偉民副主任は「この方針はすでに第18回中国共産党全国代表大会(十八大、党大会)で確立されている中国の建設と発展の全体的な政策配置と合致しており、実践が求められている。全面的な改革を堅持して初めて、改革の進化を継続できる」。

中国人から見ると、かなり以前から「管理」という言葉は聞き慣れていたが、今回の会議では「治理」が使われた。どちらも、日本語では「管理」と訳されるが、この用語も今回の大きな特色のひとつと言える。

この点について、国家行政学院政策決定諮問部の陳炳才副主任は「改革思想上の大きな変化だ」との認識を示し、次のように分析した。「治理」には成熟した制度体系が必要であり、変化しやすい管理体制に比べてさらに安定している。また「治理」は政府、市場、社会などの多元的な主体に依拠して共同して実現しなければならず、一種の民主的表現と言える。「治理」の方法は法治であり、単なる行政命令ではない。制度の現代化の側面から提起された目標であり、発展目標と制度的な目標をリンクさせなければならない。

日本も制度改革の手本に

日本の科学技術振興機構中国総合研究交流センターの角南篤研究員は、日本政府も最も困難と言われている制度改革に取り組んでいるが、中国が改革実現に成功すれば、日本にとって有益な手本になる、としている。

 

人民中国インターネット版 2013年11月18日

 

 
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