「中日の未来のために私たちが出来ること」

孫琳(ハルビン工業大学)

 

「真の国際社会では、皮膚の色、民族、言語などとは関係なく、皆平等に取り扱われることが求められ、山形の市民も、外国人を特別視するのでなく、平常心で接する時代が早く来るように心から願っている。」

これは、日本に留学している間、『山形紀行』という本から読んだ言葉である。平和というのはいつまでも世界民衆が求める主題だと思う。だから、山形の市民だけでなく、全世界の人々も国際の限界を超えて、お互いに理解すべきだろう。中日は一衣帯水の隣国であり、昔から頻繁な交流が行われていた。今、釣魚島(尖閣諸島)の問題で、中日間の関係は一層深刻になってきたが、長い目で見たら、直ちにこういう状況を変えて、友好関係を結び続けることはとても大事だと思う。両国がお互いに現状をよく知った上、お互いの文化、習慣を理解し、尊重することはとても重要だと思う。

では、中日の未来のために私たちは何ができるだろう。

私は中学校から日本語を勉強してきて、日本語と、日本と、もう10年間以上関わってきた。日本にも2回行ったことがあって、自ら日本という国を感じ、日本人と接した。大学生の私は政治の問題に何もいえないのだが、日本人の中でとても親切で、中国人と友好関係を結びたい人はたくさん存在していると実感した。何を言っても、民衆には罪がない。だから、私たちから両国間の相互理解に力を入れるべきだ。

一:理性愛国

中国人の中には、反日感情を持っていて、侵略の痛みという『感情の記憶』は癒えない人もきっとまだ残っていることも事実だと思う。それに、最近釣魚島(尖閣諸島)の問題で、両国間の関係も一層深刻になってきた。中国でも、日本でも、いろんな矛盾で乱暴な振る舞いをした人がいた。確かに、それらの人は愛国の心を持っているが、扱う方法を間違えている。事実は事実である。誰でも以前の歴史を抹消することは出来ない。中国人の私にとっては、昔の残酷な現実を思えば、きっと心が痛くなるのだが、ずっと恨みを持って、両国の間の発展や、平和に悪影響を与えることもよくないと思う。だから理性を持って、国を愛する必要があるのだ。中国に来ている日本人でも、中国で発展している日系企業でも、中国と友好関係を作るという理念を持っているだろう。だから、中国人は、もっとこういう人、こういう企業を歓迎すべきだ。逆にしても同じである。日本人も日本にいる中国人、日本マーケットを開拓しようとする企業を歓迎すべきではないのか。

二:誠実に伝える

人と人の間の付き合いで、最も重要なのは、誠実さと信実だと思う。国と国も人と同じだろう。留学しているうちに、日本人の多くはまだ中国の現状をよく知らないのだと気づいた。中国は近年目覚しく進歩してきているのに、ある焼き鳥屋さんに「中国って、今でもみんな自転車に乗っているの。」と聞かれたこともあった。

中国人としての私は、もっと日本人に中国の本当の姿を知ってほしい。政治の問題にもかかわらず、どの国でも、人々の幸せが一番だと思っている。やはり平和を願っていて、国と国が仲良くしてほしい人は多いだろう。だから、私はどうしても、自分の感じた日本人の優しさ、礼儀正しさ等を中国人に伝えたい。それに、中国人の正直さと熱情も日本人に示したい。中国の本当に姿を知ってほしいし、平和を願って、友好関係を作りたいという気持ちを伝えたいと思っている。

お互いに、誠実に接し、お互いによく理解し合うことこそ、友好関係を結ぶための第一ステージなのではないか。我々日本語学習者は留学、交流イベント、就職、旅行などの形でもっと真実な自分、真実な中国を日本の民衆に伝えよう。

三:交流を深め、相互理解

ちょうど今年の7月、私は日本科学協会に招待され、日本を一週間見学した。東京での二日間、多くの日本大学生はボランティアとして、私たちを連れてあちこちで遊んだし、討論会、料理大会、カラオケ大会などを行って一緒に楽しんだ。みんなの親切さと情熱に強く感動した。こういう中日関係が深刻な時期こそ、こういう民衆間の交流は極めて重要だと実感した。

今は、様々な交流や、観光旅行も盛んになってきた。日本の企業も中国で多く展開している。これらは全部交流の架け橋になると思う。どんな状況でも、こういう交流を絶えず、お互いに友好のために、手をつなぐことができれば、両者の関係はますます親しくなれるだろう。

私たち一人ひとりの力はわずかだが、みんなの力は大きい。自分から出発して、自分から平和の理念を伝えよう。

 

創作のインスピレーションと受賞の感想 

ハルビン工業大学の孫琳と申します。このたび、第6回笹川杯作文コンクールで優勝賞を頂き、誠にうれしく光栄に存じます。まずは、主催者の人民中国雑誌社と日本科学協会、親切に指導してくださった関根稚恵先生および各選評委員に感謝の意を表したいと存じます。

今度のコンクールは中日間の文化上の交流を深めたし、ある意味から言うと、中日関係を改善し、中日間の友好発展を促進できるルートでもあるでしょう。中日関係が深刻になっているに当たり、新世代の後継者として、どのように平和世界を造れるのか、どのように中日の友好関係を発展していくのかという問題に直面しています。私の創作のインスピレーションは極めて簡単です。今の私たちはまだ現状を変え、全般をコントロールするという力を持っていないです。しかし、私たちは正確的な人生観を持って、問題を認識し、衝動に駆られなく、無鉄砲でなく、他人の身になって思考し、判断すべきだと思います。それに、自分経験から民衆間の交流は相互理解に極めて重要だと深く感じております。不安定な情勢で中止することのなく、無鉄砲で悔しいことのないように自分の力を尽くし、皆さんと一緒に平和の未来を造っていきたいと思います。どうもありがとうございました。 

 

 

 

 

 
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