中日の未来のために私たちが出来ること

王婧瑶(吉林化工学院)

 

「中日未来のために出来ること」という話題を聞いたかと思うと、背があまり高くないし、美人でもなんでもないけれど、豊な経験を積んだ日本女性―奥山先生というやさしい笑顔が目の前に浮かんできたような気がする。なぜなら、彼女は一人でランドセルを背負って、世界の多くの国へ行ったことがある。いや、異文化コミュニケーションに身を置いたここ数年来、自国の伝統文化を世界の多くの若者に伝えようとしているからなんだ。そして、幸いなことに、私はその学生達の一人になったのだ。

愛情のカード

私は言語音痴な子だと思っていた。日本語を勉強し始めた時、仮名を覚えるのが苦手なので、一か月でも4つの仮名しか覚えなかった。最初、奥山先生に仮名の発音を教えてもらった。でも、授業が終わったら、仮名をすんなり言い出せる学生は多かったのに対して、私は全然できなかった。悲しみや焦りという気分は言うまでもなく、その時、自分がやっぱり駄目だなという疑問を抱くようになり、頭の中を諦めようという念さえちらつかせて、なかなか消え去らないような始末だ。その場合、先生が人の腹を読む術があったらしい。言葉が通じないから、お互いに英語で話し合うよりしかたがなかった。「what’s wrong?」と先生が聞いた。「I want to give up ,I’m too stupid to have the language talent」と私はきっばり言った。「come on ,girl」と先生がにっこりしていた。次の日、先生は私の机に立ちとめて、仮名が書かれてあるカードを数十枚渡しながら、「人によって、新しい知識を受ける能力が全然違うから、王さんは王さんなりに努力し続けばいい。人の優劣さは他者との比較で、決めるものじゃなくて、自分の中で決定されるものだわ。まして、あなたの英語が上手じゃないか?元気を出して、よく頑張ってね」と励ましてくれた。

そのカードを受け取ると、今までの焦りなどの情緒がすぐ消えていくような感がするのではないかと、落ち着いて勉強するようになった。それ相応の大きな進歩を取った。その時、もしカードの支えや付き添いはなかれば、日本語の勉強に夢中した今の私がないと言っても過言ではあるまい。生活を送っているうちに、何かの困難にあったら、やたらに悲しんだり、焦ったりするより冷静にその原因を分析し、解決方法を見つけたほうが肝心だということは奥山先生に教わったものだと今でもしみじみと感じられている。

奥山先生と付き合い

二年生になって、会話のレベルがアップすると共に、先生と付き合うチャンスも増えてきた。先生は中国語ができないので、買い物をするとき、時々目に遭うことがある。それで、週末、私と同年生の何人かが先生と一緒にショッピングすることになっていた。みんな朝ラッシュ‐アワーのバスに乗って、先生のために座を取ったり譲ったり、買い物する時、積極的に売り手と値切ったりしてあげたのだ。夕日が沈んでかけて、私達が歓声を上げて先生と共に寮へ帰ってきたという満足な喜びは一日の疲労を取り除いたようだ。

また、私達は時々先生のお宅を訪ねた。先生の手作りの日本料理を食べながら、日本飲食文化のマナーやら、浅草の舟和、根津のたい焼きといった日本の有名なお菓子やら、日本人長寿の秘訣などの日本人社会生活やら、「わがままな男」や「風小僧と子供たち」といった日本の民間伝説などを先生に聞いてもらった。私達を腹を抱えて大いに笑わせたり、思わず涙をぽろぽろ溢せたりすることもよくある。それで、日本文化という科目をまだ開設しない前、この方面の知識をたくさん学んだ。「それは面白そうね、将来大学院生になったら、日本文化の分野に研究したい」と言った学生もいた。それは先生のおかげだと思っている。

ある週末の夕べ、「ありがとう、皆。私は中国に滞在中、皆のご親切さやお世話になってこそ、寂しくないし、ホームシックが感じないんだ。皆と一緒にいたら、私の青春がずっと残ってる」って先生が話した。幼いせいか、異国で暮らした先生の言ったその言葉に掛かった深い意味が理解しきれなかったけれど、その時、先生の顔に溢れた満足感と幸福感が夕日の下で特別静かそうで美しそうに見えていた。生活の中でこれらの助け合い、信用、関心と理解があってはじめて私達を以心伝心させたりして、異国の家族になれるかもしれない。旅人はその国で自分の帰属感が感じれらるというのは何よりじゃないか?

今更、先生は中国を離れてもう2年になったけれど、私達は時々E-mailで連絡している。先生は相変わらず国々を歩んで、日本文化を世界の各地に伝えようとする教育事業に携わっている。日本と世界諸国の友好交流のために黙々と頑張っている。平凡人の偉さというのは、彼女の裏にどれほどの賛美や光の輪があるのじゃなくて、平凡の職場でどんな偉いことをしているんじゃないだろうか?今日は、この「中日未来のためできること」という質問に答えさせたら、奥山先生のように、教育事業に従事するつもりだ。二年前、その方がひそかに私の世界に潜んできて、勉強の真諦を教えたり、異文化の面白さを味わわせたりしてくれたことがあるのだ。今、私はまだ若くて、知識がしっかりしないにもかかわらず、奥山先生を手本として精一杯歩き続き、日本語と中日両国の文化をよく勉強し、立派な中日文化メッセンジャーになろうと力を尽くしたいと思っている。友愛と真剣な心を持って、もっと一人でも多くの中日両国の若者に異国文化の姿や魅力を了解させるために、生活にお互いに助け合ったり、学習にお互い励まし合ったり、肩を並んで素晴らしい中日未来が創れるように頑張ろうではないか。

 

 

 
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