中日の未来のために私たちが出来ること

徐郡(蘇州大学)

 

去年の夏休みに、私は蘇州大学の代表として、日本から来た立命館大学の交流学生たちを接待しました。一か月という短期交流でしたが、あらゆる出来事がすごく刺激的で新鮮で充実した一か月でした。交流に参加して得られた知識や経験は後の学習にも生かされていて、言葉では表せないくらい本当に良い交流だったと感じました。この機会を通して、ずいぶん日本語を練習することができました。

留学生たちのスケジュールは、中国語や中国文化について、書道や太極拳などの授業も受けます。蘇州や上海や南京などの観光名所へ行き、企業訪問をすることもありました。私は彼らに同行することになりました。彼らと一緒に過ごした生活は毎日が新しいことばかりでした。授業が終わると私たちは学校の近くのショッピングモールやダウンタウンへ出かけ、おいしいものを食べたり、買い物に行ったりしました。中国は、日本より物価が安いので、留学生たちがおいしいものをたくさん食べられます。彼らが普段日本でよく食べている「中華」以外にも、屋台でたくさんのローカルフードを食べました。日本人は中華料理が大好きだということがわかり、私はとても満足しました。

フィールドワークでは上海、南京、そして獅子林などの蘇州の観光名所に行きました。南京虐殺の博物館では、この留学生交流団の団長さんは「日本では見ることのできない中国側の歴史が展示されていて、とても興味深かった。同じ歴史でも、伝える側が違うだけで情報量に差があり、一方の側面だけを見て、判断してはいけないと思った。」といいました。この歴史問題は、中国と日本の間に、扱いが難しい問題ですから、最初に皆と一緒に南京虐殺の博物館を参観することを知った時、ちょっと心配しました。しかし、団長さんの話を聞いたら、安心しました。私も初めて南京虐殺の博物館を参観しました。この歴史について、中日の大学生たちが、正しい態度で応対するのを見て、とても感動しました。そのほか、留学生のある学生が中国歴史についての趣味があるため、中国の高校時代の歴史教科書を買ったことも、私にとって感動的なことでした。

しかし、新学期が始まってまもなく、中国各地で大規模な反日デモが起きました。私は実際に目にすることはありませんでしたが、蘇州市内の「観前街」という繁華街でデモが起きたという話を聞いたり、以前食事に行った日本食街が廃墟になったと聞いたり、日中関係について考えさせられることが多かったです。中国のニュース番組では連日、日本のことが報道されていました。メディアによってネガティブな報道がされるのは中国だけでなく日本でもあり、真の相互理解のためにはそういった報道だけでなく、実際の交流が必要だと感じました。中国では「日本が好き」といった学生や先生がたくさんいます。私は日本語科の学生として、今後も日本語の学習を続けつつ、もっと自分の目で日本を知っていきたいと思います。

交流期間中に2泊3日で行った上海旅行も深い印象が残っています。上海では、豫園、東方明珠テレビ塔、雑技鑑賞の観光を楽しむとともにJTB上海やJETROなどの企業訪問に行きました。日系企業だったので、私にとって、中国における日系企業の事業展開がどのように進んでいるのかを理解することができ、大学では学べない興味深い内容でした。将来、アジアを舞台に働きたいと考えているので、今後の中国市場や、求められる人材、大学在学中に何を学べば良いかなど、たくさんのお話を聞くことができて良かったです。

この一か月、本当に充実していました。毎日、交流生たちと日本語で話したので、日本語の能力がますます伸びました。その上、彼らから日常の教科書では学べない日本文化のことを知ることができました。この交流で学んだことは、まずはなんでもやってみること。限られた時間の中で、より多くのことを吸収するには、チャレンジしないと何も始まらないということです。言葉が通じない事を理由にして、閉鎖的になるのではなく、とにかくやってみようとするチャレンジ精神が大切だと思いました。そして、日本人に対するイメージも変わりました。この交流で知り合った日本人の友達は、今でも私とメールのやりとりをし、ソーシャルネットワークであるLineで連絡を取るぐらいまで仲良くなりました。基本的には、日本語を使いますが、時々私の日本語のニュアンスが違うと指摘してくれるので日本語の勉強にもなります。

私は、いかに複雑な中日の国家関係であろうと、中日学生の交流はこれからもきっと友好的関係が続くと思っています。これから私の出来ることは、日本人の友達をいっぱいつくることです。いっぱいの友情は、きっと中日の未来に繋がると信じています。

 

 

 
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