上海自由貿易区で「海淘」正規軍始動 価格の利なし

 

中国(上海)自由貿易試験区で28日、国境を越えた電子商取引(eコマース)のテストプラットフォーム「跨境通」が正式に始動した。カバン・服飾品、食品、子ども用品、化粧品の四大分野の商品約500種類をオンラインで販売するという。跨境通は「海淘」(ネットを通じて海外のサイトで買い物すること)の正規軍と呼ばれており、ここ数年ずっと「半地下」に閉じこめられていた海淘産業がついに日の目を見ることになったといえる。翌29日、試しに跨境通で買い物し、価格を公式サイトでの価格、国内の一般eコマースサイトでの価格、海外eコマースサイトでの価格とを比較したところ、跨境通には現在、価格面での優位性がないことがわかった。また取り扱い商品の種類が少ない、品切れが多い、実体店舗と同じアフターサービスが受けられない、といった問題があることがわかった。「北京青年報」が伝えた。

 ▽出来事:「海淘」正規軍が始動

 同区関連部門の責任者によると、跨境通は淘宝のような店舗を引き込んで海淘業務を展開したいと考えている。現在、消費者が跨境通で食品、化粧品、子ども用品、カバン・服飾品を注文した場合、代金は国外で外貨建てで支払い、跨境通に参入した関連会社が税関手続きや検査を済ませ、さらに税関で個人の行郵税(入国する旅行者の荷物や個人の郵便物に対する輸入関税)を支払うと国内に運ばれ、宅配便業者が消費者の手元へ直接配送するという流れを踏む。

 跨境通の運営を担当する上海跨境通国際貿易有限公司の顔静副総裁によると、伝統的な輸入貿易では関税コストをはるかに上回る価格の上乗せがなされていた。一般の消費者が跨境通を通じて海外サイトで買い物した場合、関税は支払うものの、これは合法的な消費であり、価格にも引き続き競争力がある。現在の試算では、同じ国際的ブランドを取り扱う店舗の場合、跨境通での価格は国内の実店舗より約30%安いという。

 ▽価格比較:同じサイフ、跨境通の価格は安くない

だが海淘が好きだという侯さんは次のように話す。海淘がもつ最大の優位点は国内の小売価格より安いことであり、一番の関心事は価格だ。国内の実店舗では価格設定が高すぎるので、跨境通の価格が実店舗より30%安かったとしても、それほど魅力は感じない。

 一般の個人消費者にとって、海淘の正規軍はより安い価格とよりよいサービスを意味するだろうか。試しに買い物したみたところ、商品の価格は海外サイトで直接購入した場合や国内のeコマース店舗で購入した場合に比べ、決して安くはなかった。

 実店舗での定価が4280元のフェンディの婦人用ロゴ入り長サイフの場合、跨境通では2750元で売られているが、これに輸入税275元が加わり、実際に支払う金額は3025元だ。おまけに商品発送まで最短で2週間もかかる。京東網では同じものが2800元で225元安いだけでなく、注文してから最短2日で商品が発送される。

 また跨境通での取り扱い商品は現在は500種類にとどまり、カバン、粉ミルク、子ども用品、化粧品などごく一部の分野に偏っている。商品の種類を増やすことがぜひとも必要だ。また時間の問題を解決するだけでなく、アフターサービスや買い物体験を充実させることが必要で、できれば跨境通にとって強みになる。

 跨境通で買い物をして、品質などの問題が起きた場合に各ブランドの実店舗でアフターサービスが受けられるかどうかという問題について、跨境通の顧客サービス担当者は次のように述べた。跨境通はeコマースプラットフォームの一つであり、問題が起きた場合、商品を購入した店舗に連絡して解決策を講じることができる。店舗が見つからない場合は、跨境通が記録を確認して店舗を探すのを助けるが、国内の実店舗で相応のアフターサービスを受けることはできない。

 ある業界関係者によると、跨境通には問題点もあるが、一般の消費者にとってはやはり一定の価値がある。最大の優位点は正規品が保障されることだと考えられる。跨境通は買い物の全過程を電子化して管理するシステムを備えており、買い物の流れが規範化され透明性が高く、基本的に正規品の購入が保障されるという。

 

 「人民網日本語版」2013年12月31日

 

 
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