モラルと法と

 

1820年代から80年代にかけて、米国は腐敗が極めて深刻な国で、政府高官の職権乱用による腐敗がまん延していた。19世紀末、我慢し切れなくなった国民の30年に及ぶ闘いを経て、立法機関に新法制定を迫り、腐敗をある程度減らすことができた。第2次世界大戦後、米国は対策を講じ、徐々に効果的な腐敗撲滅のシステムを構築した。

米国の反腐敗システムはモラル向上と法律によって構成され、以下の三つの部分から成っている。第1に、大統領令の形で通達された「政府モラル規則」であり、規則違反を犯した官僚、スタッフは譴責処分あるいは免職に処せられる。第2は議会を通過した「政府モラル法」であり、違反者は法的な制裁を受ける。第3は「連邦選挙法」で、選挙関連の腐敗防止を目指した。

注目に値するのは、米国人が利益上の衝突を主な腐敗の根源だとみなしたことだ。利益上の衝突と言うのは、ある人がある政策に利害関係が生じた場合、もしこの人物がこの政策に関する決定権を持っていると、自らの利益を図るために政策を決定するものであり、公共利益の立場から決定することはあり得ないからだ。そこで、腐敗防止の第1歩として、利益上の衝突を避ける方法を考えた。例えば、大統領が指名した主要官僚候補の資格審査の際に、重要な前提条件にしているのは担当職務権限と個人的な利益の間に衝突があってはならないということだ。

米国では、反腐敗の職能を持つ政府機関は二つに大別できる。第1は腐敗行為に対する法執行機関の連邦捜査局(FBI)、検察系統等を含み、摘発、調査、起訴に責任を負う。

第2は公共モラルと法律の解釈機関で、司法省法律顧問事務所、政府モラル事務室等を含む。こうした機関は公共モラルに関する論争の最終調停者の役割を果たすまでに発展している。

 

 

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