地元で愛されるヤマモモの酒

 

中国で楊梅(ようばい)と呼ばれるヤマモモは余姚の特産だ。毎年6月中旬から7月初めまでが旬で、新鮮なヤマモモを味わう最も良い時期でもある。しかし、この時期以外に余姚を訪れたとしてもヤマモモを味わう方法はある。それが「楊梅酒」だ。

これはいわゆる果実酒で、ヤマモモを「白酒」(穀類を原料とする蒸留酒)に1カ月ほど漬ければ飲み頃になる。余姚では瓶詰めで市販もされている。ただし、アルコール度数が40度以上もあるため、「一気に飲むと酔いやすいので、ゆっくり味わったほうがよい」そうだ。楊梅酒を飲み終わった後は、中のヤマモモを取り出して食べてもいいが、相当量のアルコールを含んでいるので注意が必要だ。地元の人に言わせると、保存時間が長いほどヤマモモの中のアルコールは強くなり、ヤマモモを漬ける白酒の味はだんだん淡くなってしまうのだそうだ。

ヤマモモはみずみずしい果実だが、そのぶん日持ちがせず24時間ほどしか保存がきかないという。地元の人々はこの問題を楊梅酒という方法で解決し、これによって一年中ヤマモモを楽しめるようになったのだ。実は、楊梅酒は暑さ負けに効果があり、漬け込んだヤマモモを1個食べるだけで暑気払いになるのだそうだ。これも、楊梅酒が蒸し暑い南の町に住む人たちに愛される理由の一つだろう。

 

余姚の人は来客に楊梅酒を勧める。値段の張るものではないが、味が良く体にもいいものを味わってもらおうというもてなしの心が込められている

余姚のヤマモモは粒が大きく鮮やかな赤さをしており、甘さも強い。食べると甘酸っぱい果汁が口中に広がる 毎年6月中旬になると、「中国のヤマモモの里」と呼ばれる余姚ではヤマモモ祭りが行われる。観光客は新鮮なヤマモモを摘み、味わうことができる

 

人民中国インターネット版 2014年6月

 

 
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