各地の大気汚染対策

 

全国的な「大気汚染防止・制御行動計画」の登場によって、各地方も相次いで現地の実情に即した汚染防止・制御計画の制定を始めた。

三面が山で、もう一面が川に囲まれた「ちりとり形」の地理的特徴に応じて、南京市政府は汚染防止・制御計画において「クリーンエア通路」の概念を初めて打ち出した。南京市には主に南東の風、北東の風が吹くが、同市は山や谷の向きに基づいて、六つの風の通り道を考案した。これらの道が都市の「換気口」となり、郊外の新鮮な空気がそこから市内に流れ込み、汚れた空気を吹き飛ばす。2014年末までに、同市は「クリーンエア通路」の具体的な範囲を定め、その地域および風上地域での工業企業・プロジェクトの展開を厳格に制限し、2017年末までに、排ガスを排出する企業をすべて「クリーンエア通路」から移転させる。

2013年に大気の質のモニタリングが行われた74都市の中で、海南省海口市は最上位だった。それでも、海口市は少しも大気の質の改善への重視をおろそかにしていない。3月7日に発表された「海南省大気汚染防止・制御行動計画実施細則」では、全省の大気の質を引き続き「良好状態」に維持し、2017年末までに、年間の大気の質が「良好レベル」の日の割合を95%以上にするという計画が打ち出された。海口市、三亜市は2015年までに蒸気発生量が1時間あたり10㌧以下の小型石炭ボイラーを基本的に撤去し、石炭ボイラーの新規建設を禁止し、各市・県におけるすべての土砂運搬車両の密閉化措置を施し、逐次衛星測位システムを設置する。また、重要な建設工事現場に監視カメラを設置し、オンラインによる監視・管理を実施する。そのほか、都市部での露天での炙り焼き調理などを厳格に制限する。これは隅々まで厳しく監督するといってもよいくらいである。

中国の北方における冬季の石炭燃焼による暖房供給を原因とする汚染について、10以上の省・自治区・直轄市が「石炭から天然ガスへの転換」計画を打ち出している。新疆ウイグル自治区のウルムチ市は石炭燃焼により暖房を提供している189の機関で石炭から天然ガスへの転換を実現し、現在、同市における天然ガスによる暖房供給率は76%以上になっている。天然ガスの埋蔵量が豊富な吉林省では、「石炭から天然ガスへの転換」を行う意欲が高まっているが、現在、省都である長春市の天然ガスによる暖房供給率はわずか6・9%にとどまっている。もし同市が石炭を完全に天然ガスに転換させると、天然ガスの年間消費量は同省の年間生産量を上回ってしまう。「石炭から天然ガスへの転換」が全国的に展開されるにつれ、「天然ガス不足」は中国のエネルギー構造の調整を制限する重要な問題となり、クリーンエネルギーが石炭のような高汚染エネルギー消費パターンに取って代われるように、新エネルギーの開発と普及が差し迫った課題となっている。

 

人民中国インターネット版 2014年9月23日

 

 
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