APECの存在が身近に 庶民に実益もたらす

 

2014年APEC指導者非公式会議が、北京で成功裏に閉幕した。アジア太平洋で最も重要な政府間経済協力枠組みであるAPECは、一見すると難解な言葉が並べられた敷居の高い存在に思えるが、実は私たちの暮らしからそう遠く離れたものではない。APECは今も昔も変わることなく私たちの生活に深い影響を及ぼしており、将来的にはより多くのサプライズをもたらすだろう。北京晨報が伝えた。

◆海外からの商品購入、通関が便利に

フィリピンから輸送されたバナナが天津港に入った。コンテナ到着から、デリバリーオーダー(D/O)、通関申告、関税徴収、通関許可に至るまでかつては5日の時間が必要だったが、現在は1日で済むようになった。APECの枠組みに基づく便利な通関とゼロ関税により、海外産の果物や野菜がすぐに地元の商店に並べられるようになる。税関の通関が便利になれば、海淘(海外や大陸部外からのインターネットによる商品購入を指す)も国内でますます流行するだろう。海外のお気に入りの商品の配送時間の短縮もまた、APECが一般人にもたらす利益の一つだ。

APECの会合ではこれまで、「アジア太平洋の貿易利便化の支持」という重要な議題が重ねて強調されてきた。そのうち税関の通関の利便化が、最も優先されている。港湾での検査および貨物の通関の円滑化、手続きの規範化の他に、ペーパーレス手続き、法執行基準の相互認証なども、通関をよりスムーズで規範化されたものにする。

◆輸入食品が安価に

韓国や日本の電子製品、ニュージーランドの粉ミルク、チリ産ワインなどが、今後高級品ではなくなる。中国製の衣料品、家電、玩具なども早くから海外市場に進出している。これらの商品を後押しするAPECの力を無視することはできない。

チリと中国の自由貿易について見ていこう。ゼロ関税のチリ産ワインは2015年に中国に進出し、10%の消費税のみ課税される。ゼロ関税は最高のチリ産ワインの中国での普及を促し、チリと中国のワインの価格差をなくす。これはAPEC首脳会議中に両国が取りまとめた自由貿易協定だ。両国の国民は、相手国の最高の製品を手にできるようになる。

中国の消費者は2015年から、低価格で高品質のチリ産チェリー、ブドウ、サーモン、豚肉を購入できるようになる。中国の衣料品、家電、靴、玩具などの製品も海を渡り、チリ国民が好んで選択する用品になる。

◆旅行が便利に

APEC加盟国には、ビジネスマンの間で「神器」とも称される「APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)」が配布される。APEC加盟国のビジネスマンは1996年より、ABTCの申請が可能となった。有効期間は3年間で、カード所持者はノービザでAPEC加盟国間を自由に行き来できる。アジア太平洋では現在、ABTCの所持者が20万人以上に達している。中国の所有者数は、APEC全体の18%に上る。

中国人の2013年の旅行先トップ10カ国のうち、8カ国はAPEC加盟国だった。ニュージーランド、マレーシア、タイ、アメリカ、オーストラリアなどは、中国人の間で人気の旅行先・留学先・出張先だ。APECの枠組み内での観光業の協力は、常に重要な取組内容となっている。二国間の旅行を便利にする措置の可決と実施には、この多国籍枠組みによる後押しが不可欠だ。(編集YF)

 

「人民網日本語版」2014年11月12日

 

 
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