APECで注目された中国の改革

 

1.経済発展に現れた新常態 

11月9日、習近平国家主席はアジア太平洋経済協力会議(APEC)商工指導者会議の演説で、初めて「中国経済に現れた新常態(ニューノーマル)」に言及した。この新常態こそ中国の経済改革の結果だ。速度は「高速成長から中高速成長に移行」、構造は「経済構造は絶えずバージョンアップ」、原動力は「資源や労働力、資本の投入による経済成長からイノベーションによる経済成長に方向転換」するということだ。 

中国が第一四半期から第3四半期までの経済成長率を7.4%と発表した時、中国経済の減速は世界が直面する最大の挑戦の一つだとして、一部の人々の間に中国の経済発展への憂慮を引き起こした。 

しかし、中国の国内総生産(GDP)の成長速度が下がることは決して失業率の上昇を招かず、逆に1000万人分の雇用創出という年度目標を予定より早く達成した。このほか、第一四半期から第3四半期までの中国の経済成長に対する消費の貢献率は48.5%で、投資の貢献率より7%高かった。これは、需給構造に積極的な変化が現れており、中国経済が再びバランスを取るのがいっそうはっきりしたことを示している。中国経済の安定は世界にとって良い知らせだ。

2.食糧の被援助国から援助国に 

李克強国務院総理は9月15日、国連食糧農業機関(FAO)本部を訪問した際、中国は将来の5年間、FAOに5000万㌦(約57億6800万円)を寄付し、発展途上国同士の南南協力を展開し、世界食糧計画(WFP)と国際農業開発基金(IFAD)への支援を拡大すると明らかにした。これは中国がすでに農業と食糧の被援助国から持続的な援助国へと変わり、外国の大量の人口を養っていることを示している。 

評論家は、中国が積極的に「農業外交」「貧困救済外交」を展開し、農業の被援助国から援助国に変わったのは、中国の農業発展史上の新たな前進であり、責任ある大国としての立場を体現していると説明する。中国は科学技術の進歩により、14億人の食料問題を解決した。農業部(部は日本の省に相当)の統計によると、2013年に農業分野で科学技術の進歩が貢献した割合は55.2%に達し、10年前と比べて12ポイント近く上昇した。耕作や収穫などの総合的な機械化レベルは59.5%に達し、10年前より27ポイント近く上昇した。

3.行政審査の簡略化 

李克強国務院総理は9月9日、夏季ダボス会議で、現政権は「簡政放権」(行政のスリム化と権限委譲)を「先手」とし、昨年の新政権成立から現在まで、取り消したり下級機関へ委譲したりした審査事項がすでに600項目以上に達したと指摘した。現政権は、現在1700以上ある審査事項について、中央政府が5年以内に少なくとも3分の1減らすことを約束している。 

現在、行政審査制度と商務制度の改革などで新規参入の敷居が下がったため、社会全体で起業ブームが巻き起こっている。今年上半期、新しく登記されたサービス業の増加幅は70%以上に達している。ハイテク企業と先進設備の製造業の成長は工業全体の成長と同程度の速さだ。

4.「法による国家統治」が新たな高みに 

中国共産党第18期中央委員会第4回全体会議(4中全会)が10月20~23日、北京で開かれた。会議は「法による国家統治」を中国共産党執政以来かつてなかった高さにまで掲げた。「国家統治システムと統治能力の現代化の促進」に関わり、「中国の夢」を実現させる努力目標に関わる高さだ。 

4中全会は「法による国家統治を堅持するには、まず憲法による国家統治を堅持しなければならず、法による執政を堅持するには、まず憲法による執政を堅持しなければならない」と強調した。その核心は全面的な憲法の実施で、社会全体に憲法の権威を樹立することだ。 

法による国家統治の推進は、モデルチェンジの難題に直面する中国経済に新しいボーナスをもたらすだろう。法治は市場経済の有効で秩序ある運営の基本的な条件だ。現在、中国経済の多くの問題と各レベルの矛盾は法治の欠点と関係がある。以前、薄熙来や徐才厚、周永康らの事件の捜査も、執政党が法による国家統治を最大の決意で全面的に推進することを示している。

 

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