中米気候変動共同声明

 

一、中華人民共和国とアメリカ合衆国には地球規模の気候変動という人類が直面する最大の脅威への対応で重要な役割がある。この課題の重大性から、中米双方は共通の利益のため一緒に建設的な努力を払うことが必要になっている。

二、このため、中国の習近平国家主席と米国のバラク・オバマ大統領は気候変動の二国間協力強化の重要性を再確認した。また2015年の国連パリ気候変動会議において、条約下ですべての締約国に適用される議定書、その他の法律文書又は法的効力をもつ合意の成果を採択するため、手を携えて他の諸国と一緒に努力する。双方は共通だが差異ある責任と各自の能力の原則を体現し、各国の異なる国情を考慮した野心的な2015年の合意に達するために力を尽くす。

三、本日、中米両国元首は両国の2020年以降の気候変動対応行動を発表した。双方は、これらの行動は低炭素経済に向けた転換の長期的努力の一環であると認識し、また地球の温度上昇目標セ氏2度も考慮している。米国は2025年に、2005年比26%~28%減というすべての経済範囲の排出削減目標を予定し、28%削減に努力する。中国は2030年前後に二酸化炭素排出がピークに達することを予定し、早期のピーク到達に努力する。また2030年には一次エネルギーの消費に占める非化石エネルギーの割合を20%前後に高める予定。双方とも、引き続き努力して時間の経過と共に削減の度合いを高めることを予定している。

四、中米両国は、いま上記目標を発表したことが全世界の気候変動交渉に原動力を与えるとともに、他の国もできる限り早く、そして最もよいのは2015年第1四半期に力強い行動目標を示すようになることを希望している。両元首は来るべき年に緊密に協力して、パリ会議で首尾よく、地球気候変動の合意に達することを妨げている重大な問題を解決することを決定した。

五、世界の科学界は、人間の活動が世界の気候システムを変えつつあると明確に指摘している。加速する気候変動はすでに深刻な影響をもたらしている。より高い気温と異常気象は食糧生産を損ないつつあり、上昇する海面とより破壊的な暴風はわれわれの沿海都市の危険を激化させている。また気候変動の影響は中米両国を含む世界経済に被害を与えている。これらのことから、気候の課題に対応する行動の強化が差し迫って必要になっている。

六、これと同時に、経済の証拠から、現在気候変動対応の賢明な行動をとれば、イノベーションを促進し経済成長を高めるとともに、持続可能な発展、エネルギー安保の強化、公衆衛生の改善と生活の質的向上などの幅広い効果をもたらすことができることが日増しにはっきりしている。気候変動対応によって、国家安全保障と国際安全保障も同時に強まるだろう。

七、技術革新は現在の排出削減の技術コストの引き下げにとって極めて重要であり、それは新しいゼロ炭素、低炭素技術の発明と普及を引っ張るとともに、各国の排出削減能力を強めるだろう。中国と米国は世界の2大クリーンエネルギー投資国で、すでに熟したエネルギー技術協力計画がある。その他に、双方は以下のような活動を繰り広げている。

―中米気候変動作業グループ(CCWG)を設置し、この作業グループの下で、自動車、スマートグリッド、二酸化炭素回収利用・貯留、エネルギー効率、温室効果ガスデータ管理、林業及び工業ボイラーに関する行動イニシアチブをスタートさせた。

―ハイドロフルオロカーボンといった温室効果の強いガスの全地球的削減について提携、協力することで合意した。

―中米クリーンエネルギー研究センターを設立し、双方の二酸化炭素回収・貯留技術、建築エネルギー効率及びエコカー面の協力を促進した。

―20カ国・地域グループ下で、低効率化石エネルギー補助金について共同ピアレビューを行うことで合意した。

八、双方は、政策対話並びに先進的石炭技術、原子力、シェールガス及び再生可能エネルギー面の協力を含む実務協力を引き続き強化する予定であり、それは両国がエネルギー構造を改善し、石炭由来のものを含む排出を減らすのに役立つだろう。両国の野心的な気候目標の実施をさらによく支援するため、双方は本日、既存のルート特に中米CCWG、中米クリーンエネルギー研究センター及び中米戦略・経済対話を通じて両国の協力を強化、拡大する一段の措置を発表した。それには次のものが含まれる。

―クリーンエネルギー共同研究開発の拡大。建築エネルギー効率、クリーン自動車及び先進的石炭技術の3大既存研究分野への資金支援を継続することを含め、中米クリーンエネルギー研究センターを引き続き支援するとともに、エネルギーと水を結びつけた新しい研究分野を開拓する。

―二酸化炭素回収、利用及び貯留の大型デモ推進。工業排出二酸化炭素を利用した炭素回収を掘り下げて研究し、モニターするため、中米両国が主導するパブリック・プライベート・コンソーシアムを経て、中国で大型二酸化炭素回収の新プロジェクトを立ち上げるとともに、深塩水層に二酸化炭素を注入して淡水を得る新EWR(Enhanced Water Recovery)試験プロジェクトについて協力を進める。

―ハイドロフルオロカーボン(HFCs)に関する協力の強化。習主席とオバマ大統領がサニーランドで温室効果の強いHFCsガスについて得た歴史的な共通認識を基礎に、両国は高GWP(Global Warming Potential)ガスであるHFCsの削減について二国間協力を強化するとともに、両元首が2013年9月6日サンクトペテルブルクで得た共通認識に従って多国間の枠組みの下で手を携えて協力する。

―気候スマート型/低炭素都市イニシアチブのスタート。拡大中の都市化及び日増しに増大する都市温室効果ガスの排出を解決するため、また地方指導者の重大な気候行動の潜在力を認識して、中米両国はCCWGの下に、気候スマート型/低炭素都市に関する新イニシアチブを立ち上げる。第一歩として、中米両国は気候スマート型/低炭素都市サミットを開催する。その時、この分野をリードする両国の都市が最良の実践を共有し、新たな目標を設定するとともに、都市レベルの炭素排出削減と適応能力構築面の指導力を示すだろう。

―グリーングッズ貿易の推進。持続可能な環境物品とクリーンエネルギー技術面の二国間貿易を奨励する。これにはモニズ米エネルギー長官とプリツカー商務長官がスマート低炭素都市とスマート低炭素成長技術をテーマにした通商代表団を率いて2015年4月に訪中することが含まれる。

―クリーンエネルギーの実地デモ。建築エネルギー効率、ボイラー効率、太陽エネルギー及びスマートグリッド面でより多くの試験活動、事業化調査(FS)その他の協力プロジェクトを展開する。

http://www.japitkyoto.jp/topics.html

中英が気候変動共同声明を発表

中国とイギリスはロンドンで『中国・イギリス気候変動共同声明』を発表した。声明では、「両国政府は、気候変動がもたらした脅威は、私たちが直面する最大の試練であることを認識している」とした。

 報告では、「人類が今から行動に立ち上がらなければ、気候変動がもたらす悪影響は今後の数十年で更に悪化することになる。また、化石エネルギーの使用は重大な大気汚染をもたらし、幾千万人の生活水準に影響を与えている。両国政府は、気候変動と大気汚染の源は同じで、同じ解決法で解決できる。したがって、直ちに行動に移るべきだ」としている。

 声明は、「中国とイギリスは特に、2015年のパリ『国連気候変動枠組条約』締約国会議は環境改善に取り組む世界諸国にきわめて重要な契機を提供することを認識している。従って、両国はグローバル共通認識の達成に更なる努力を払い、パリで全ての締約国に適応する議定書や法律文書、また法的効果のある議定成果を出すようにすべきだ」と強調した。

 声明はまた、「国連事務総長が今年9月に召集する首脳サミットは重要な一里塚である。中国とイギリスは、国連事務総長を支持し、この勢いを2015年のパリ会議まで保っていくよう、共に努力することを約束する」と述べた。

 

人民中国インターネット版 2014年11月

 

 
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