まもなく開幕する中央経済政策会議 重点は構造転換と改革

 

年に1度の中央経済政策会議がまもなく開幕する。この会議は次年度の経済発展の枠組を描き出す場となるため、「中国の年間最後の一大イベント」などと呼ばれている。有名な経済学者で元北京大学経済学院副院長の曹和平氏は取材に答える中で、「今年の中央経済政策会議では、構造のモデル転換、環境問題、そして社会保険、医療保険、戸籍などの分野での深いレベルの改革に関心が集まり重点が置かれることになる」と述べた。

5日に行われた中国共産党中央政治局の会議では、2015年の経済活動についての分析と検討が行われた。会議では、15年は第12次五カ年計画(2011-15年、十二五)を全面的に完成させる納めの年であり、経済発展の「新常態」(ニューノーマル)に主体的に適応し、経済運営を合理的な範囲で維持する必要があることが指摘され、また「安定の中で前進を求める」という活動の全体的な基調が明確にされた。会議を通じて、15年の中国の経済路線が、その神秘的なベールの向こう側を少しずつ見せ始めた。

曹氏は、「安定の中で前進を求めるというのは、実のところ中国が過去10年間にわたり一貫して行ってきた政策だ。来年もこの全体的な基調を継承し、基本的な土台をしっかりと守りつつ、前に向かって進んでいく。経済成長については、グローバル経済の復興に不確定さがつきまとい、世界の政治や経済の局面が大きな変革を迎える時代にあって、安定の中で前進を求めるのはよい戦略だといえる」と述べた。

これまで市場には政策環境は緩和傾向に向かうとの見方が出ていた。これと一致するように、5日の中央政治局の会議では、積極的な財政政策と緩やかな金融政策を引き続き実施する必要があるとの見方が明確にうち出された。この政策の組み合わせはすでに5年続けて行われているものだ。

中国人民大学財政金融学院の趙錫軍副院長は、「これまで中央経済政策会議になって初めて財政政策と金融政策が明らかにされていたのに比べ、今回の中央政治局の会議では前倒しで基調がうち出され、これは社会の予想を明確にし安定させるのにプラスになる。マクロ政策の持続性と安定性を維持することは、新常態の下での経済発展における現実的な需要に対応することでもある」と話す。

中央政治局の会議では、「中国は経済発展が新常態に入り、経済の柔軟性が高く、潜在力は十分で、運営の可能性は大きい」ことが特に指摘された。これについて曹氏は、「8.5%から11.5%という超高速の成長経済ペースが、6.5%から8.5%の成長ペースへ移り、経済発展の新常態がすでに形成されている。新常態は次の3つのバランスを兼ね備えるものだ。第1に成長と消費のバランス、第2に成長と環境の受け入れ能力のバランス、第3に成長と社会の公平性とのバランスだ。この3つのバランスはもっとよくなるとみられ、これも新常態の下でのモデル転換の合理性の現れだと言える」と話す。

15年は十二五の納めの年であり、どのような回答が出されることになるだろうか。曹氏は、「十二五計画でうち出された経済成長目標の達成は問題ないが、環境や汚染物質排出削減の分野での任務は達成出来ない可能性もある。来年の国内総生産(GDP)の成長率目標は7%前後に設定される見込みだ」と話す。

趙副院長は、「中国は新常態に入り、経済成長ペース、経済構造、発展モデルがいずれも変化のさなかにある。このたびの会議で新常態が強調されたことは、中国が昔のような『経済が下ぶれすれば急いで刺激策をうち出す』というやり方にはもう戻れないことを私たちにはっきりと教えてくれ、また経済発展の新常態に主体的に適応しようとする中央政府の決意と確信を十分に明らかにするものだ」と話す。

曹氏は、「続いて、今年の中央経済政策会議では次の点に注目が集まる可能性がある。第1に構造のモデル転換、第2に環境問題、第3に深いレベルの改革で、たとえば社会保険、医療保険、戸籍制度などの分野での改革だ。金融政策と国際貿易政策はこれまでと同じような話し合いになる可能性があるが、ここに挙げた内容に重点が置かれるはずだ」と話す。

過去数年間の中央経済政策会議を振り返ってみる。

▽2013年:12月10~13日

14年の経済活動の任務をうち出した。国の食糧の安全を着実に保障する。産業構造の調整に力を入れる。債務リスクを着実に防止する。地域のバランスの取れた発展を積極的に促進する。国民生活を保障・改善する取り組みを着実に行う。対外開放水準を絶えず向上させる、など。

▽2012年:12月15~16日

13年の経済活動の任務をうち出した。マクロ調整を強化し改善し、経済の持続的で健全な発展を促進する。農業の基礎を着実に固め、農産品の供給を保障する。産業構造の調整を加速させ、産業の全体的な質を向上させる。都市化を積極的かつ安定的に推進し、都市化の質を着実に向上させる。国民生活の保障を強化し、国民の生活水準を向上させる。経済体制改革を全面的に深化させ、開放を揺るぎなく拡大する、など。

▽2011年:12月12~14日

12年の経済活動の任務をうち出した。マクロ調整を継続的に強化・改善し、経済の安定的で急速な発展を促進する。「三農」(農民、農村、農業)の取り組みを揺るぎなくしっかりと進め、農産品の供給保障能力を増強する。経済構造の調整を加速し、経済の自主的でバランスの取れた発展を促進する。重点分野と重要部分の改革を深化させ、対外開放水準を向上させる。国民生活の保障と改善に力を入れ、社会の管理を強化し刷新する、など。(編集KS)

 

「人民網日本語版」2014年12月8日

 

 
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