専業主婦にはなりたくない

 

王楽さんと羅茜さんはそれぞれ内蒙古自治区と四川省の出身で、北京で出会い、結婚し、今は3歳になる息子を育てている。王さんは姉が2人おり、子どもが多い生活に慣れている一方で、羅さんは一人娘のため自分の子どもも1人で十分だと思っているようだ。

羅さんは以前、ウェブサイトでの編集の仕事をしていたが、妊娠初期のつわりがひどく、仕事ができない状態になってしまったため、思い切って仕事をやめて休むことにした。その時は思いもしなかったが、すでに4年間にもなっている。王さんは航空会社に勤めており、いつも飛び回っている。羅さんの母親と姑が手伝いに来てくれるのは1年間に数カ月しかないため、妊娠してから出産、子育てまで、ほぼ羅さん一人で頑張ってきた。「子育てをしていると、一つの生命が自分だけを全面的に頼ってくれるのが心から嬉しいんです。子どもに甘えた声で『ママ』と呼ばれるたび、これまでの人生30年間で体験したことのないような満足感を覚えます。でも、最も嫌なのもこの「依頼」なのです。時々、重過ぎる負担に耐え切れず、逃げようかと思うこともあります。子どもがまだ1歳を過ぎたころ、真夜中でも1、2時間ごとに起きて、母乳を飲ませなければなりませんでした。その時期はひどい睡眠不足で、狂いそうな3カ月でした。その後、結局は病気になってしまいました」

そのため、2人目の子がほしいと王さんに言われたとき、羅さんは「もう二度と経験したくない。産むなら自分で産んで!」と言い返した。

普段の子育てを両親に手伝ってもらえない若い夫婦にとって、もう1人子どもを産むということは、1人目を出産した時の倍の精神力と体力が必要だということを意味するのです。また、羅さんのような若い女性は長期的には専業主婦になりたくないために、「2人目」を拒む家庭が多い。

「これまでで一番疲れを感じたのは、子育てをしているこの数年でした。休みは永遠になく、病気にかかっても会社のように病欠するわけにはいきません。本を読んだり、歌を聞きたい時でも、わずかな時間を利用するしかありません。専業主婦がよくないとは言いません。よく夫に言っているのですが、私はこの数年間、仕事をしていないわけではなく、この世界で最も重要な仕事、すなわち、次世代を育てるという仕事をしているのです。でも、子どもが幼稚園に入園したら、私も何かを学んだり、仕事をしたりして、社会とのつながりを持ち、自分自身のライフスタイルを築かなければならないと思っています」と羅さんは言う。

このほかにも、多くの家庭が2人目の出産をあきらめた要因の一つに、経済力の不足がある。「私のような普通の家族にとって、経済力は実際に大きな問題です。まず、子どもが増えるとより大きな家が必要です。次に教育費ですね。今のところ、わが子に最もかかっているのは教育費です。私立幼稚園の学費だけで毎年6万8000元(1元約19円)も必要で、子どものために使った金額は年間約8万元ほどになります。これは、その他の習い事の費用を計算しない場合の話です。小学校に入学すると、一年の学費は少なく見積もっても15万元にはなるでしょう」

ずっと2人目は要らないと言ってはいるものの、隣の家のお兄ちゃんお姉ちゃんが放課後、幼稚園に弟や妹を迎えに行ったりするのを見かけたりするとくすぐられるような気持になると言う。羅さん夫婦はとりあえず「子どもが小学校に上がってからまた考えてみよう」としているそうです。(文=高原 写真=馮進)

 

 

人民中国インターネット版 2015年1月

 

 
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