「APECブルー」がもたらせた経済構造改革の加速

 

2014年最後の日、河北省井陘県の上安鎮にある華能上安発電所の発電ユニット5号の運転が停止され、3カ月にわたる脱硫・脱硝・除塵機能の改善が始められた。これにより、現在上安発電所の全発電ユニットの運転は停止され、改善が行われていることになった。

同発電所は総出力が256万㌔㍗。これは河北省で最大の火力発電所の一つであり、井陘県で主な大気汚染源排出の場所だった。長年にわたる排出削減審査において上安鎮が基準に達することはなかった。そのため、井陘県ないし同県が所属する石家荘市も排出削減の目標を実現させることは困難を極めた。

しかし、改善工事がが完了すると、上安発電所からの主要汚染物質の年間排出量がすべて減少する。二酸化硫黄は1万5000㌧から3000㌧に、酸化窒素物は5万㌧近くから7000~8000㌧に、煤塵は2000㌧から600~700㌧まで減少することとなる。

2015年1月1日午前0時、「大気汚染物質特別排出限界値」の実施に伴い河北省は火力発電業界において「史上で最も厳しい」排出基準を率先して行う省の一つとなった。上安発電所は河北省が行おうとしている大気汚染への対応や経済構造の転換、そして、アップグレードの実現に取り組む縮図だといえよう。

河北省の産業は長年、重化学工業を主とし、鉄鋼とセメントの生産量は中国の各省・自治区・直轄市においてそれぞれ1位、2位を誇っていた。しかし、粗放式の経済発展は大気汚染物質の大量排出をもたらした。環境保護部(日本の省に相当)が発表したデータによると、大気質が「比較的悪い都市トップ10」の中で河北省の都市は常に6、7席占めている。

この1年間、河北省のスモッグ対策は同省が実施した「鉄腕治霾(辣腕なスモッグ対策)」により初歩的な効果が現れたと言える。河北省政府が公開した最新データによると、大気汚染物質排出企業はすでに2014年10月末までに、同省は累計で製鉄生産能力1202万㌧、粗鋼生産能力977万㌧、セメント生産能力2813万㌧、ガラス生産能力2176万5000重量箱(重量箱は中国で用いられる板ガラスの計量単位で、1重量箱は約50㌔に相当)を淘汰し、生産能力を大幅に縮小している。

しかし、緊迫したスモッグ対策の下、末端の「引き算」による余地は徐々に狭まってきており、経済構造の転換は焦眉の問題といえる。今回、APEC会議期間中の大気質確保が成功したことにより、産業構造に対する調整の緊急性をさらに証明したといえよう。スモッグを徹底的になくすために、2014年12月初め、中央政府は河北省に産業構造の調整、経済構造の転換・アップグレードを行う方案を制定するように要求した。河北省がこの要求に従うことで、生産操業の制限によるスモッグ対策という角度から経済構造の転換という根本的な問題解決の道を歩み始めることを意味する。

経済構造を転換する道を切り開いたのは河北省だけではない。国家発展・改革委員会の解振華副主任は次のように指摘した。現在、中国は産業構造の調整を行っている。それに対する措置は、大気汚染の改善に非常に役立つ方法を採用しており、「2030年までに、大気汚染の状況は大いに改善されるでしょう。『APECブルー』の常態化は実現できないものではありません」(編集・張春侠)

 

人民中国インターネット版 2015年2月15日

 

人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850