文化交流の拡大、中日の交流の不足を補う

 

第11回北京−東京フォーラムは10月24日、メディア・文化分科会を開いた。同フォーラムは今回、分科会のテーマに初めて「文化交流」の内容を追加した。出席者は中日の文化交流の現状、両国の文化交流の強化に関する措置などを巡り、白熱した議論を展開した。 双方の出席者は、中日の文化交流の展開は、優れた条件に恵まれていると判断した。まず、中日両国の文化交流には、悠久な歴史がある。中国宋慶齢基金会常務副主席の井頓泉氏は、中日の文化交流の歴史の長さ、幅の広さ、規模の大きさは、世界の発展の歴史において極めて稀だと指摘した。東京大学前理事の江川雅子氏は、日本の小中学生は義務教育の段階で論語や漢詩などの中国文化を学ばなければならず、日本人は一般的に中国文化に親しみを持っていると述べた。

また双方の出席者は、中日の文化交流が一定の現実的な制約を受け、両国の経済などの分野の交流と比べると明らかに不足しており、中日の交流における弱みだと判断した。文化交流に対する重視と取り組みが不足している。国際交流基金理事長、元駐フランス大使、青山学院大学客員教授の小倉和夫氏は、国際交流基金の文化交流に用いられる経費が、近年減少を続けていると指摘した。また、文化交流は政治や経済などの要素からの影響を受けやすい。中国社会科学院研究所研究員の金瑩氏は、「中日の国民感情が良好だった時、大衆文化の交流、例えばテレビドラマの導入などは非常に優れた効果を発揮した。また中日合作のドキュメンタリー、『シルクロード』『敦煌』などは、両国の国民の間で非常に大きな影響力を生んだ。しかし今日、中日間の大衆文化の交流が欠如している」と述べた。

双方の出席者は現在の両国の文化交流における問題をめぐり、文化交流促進の次の方法を提案した。

◇文化交流の手段の革新と豊富化

日本放送協会解説委員の加藤青延氏は、両国の人文レベルの交流は芸術、歴史、学術などに限られるべきではなく、交流の形式と内容の革新・豊富化に取り組むべきだと主張した。零点研究諮問集団董事長の袁岳氏は、マンガ・アニメ・ゲーム文化は中日両国の若い世代に深い影響を及ぼしており、ゲームやアニメに登場する多くの武士は、若者の間で高い知名度を誇ると指摘した。中国網(チャイナネット)編集長の王暁輝氏は、新メディアの文化交流における重要な力に触れ、「新メディアには音声や動画などの豊富な表現形式があり、文化資源を伝播しやすい。中国も日本も、この面で取り組みを進めていくべきだ」と述べた。

◇文化交流の取り組みを強化

小倉氏は、「政府の文化交流への取り組みは、両国の文化交流の成果に直接的な影響を及ぼす。中日交流センターは10年前、両国の中高生の交流を支援し、相手国でホームステイさせるため、基金を設立した。このプロジェクトは、非常に優れた効果を発揮した。しかしさまざまな原因により、国際交流基金が文化交流に用いる経費は、今年やや削減された。同フォーラムを通じて両国政府に呼びかけ、文化交流の取り組みをさらに拡大するよう求めたい」と話した。

◇開放的で寛容な文化交流

出席者は、文化とは国境のない全人類に共通する精神の富であり、双方はより開放的かつ寛容な心、より広い視野によって文化交流を促進すべきだと指摘した。北京劇曲評論学会会長の勒飛氏は、「文化交流は一国のみに限られるべきではない。例えば一帯一路(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)だが、古代シルクロードによって多くのモノが中央アジアから中国に、そして日本へと伝わった。日本はおそらく、シルクロードの終点だった。文化交流において、双方は心の狭いナショナリズムを回避するべきだ」と述べた。

◇若者の参与を拡大、両国の文化交流に新たな活力を注ぐ

中国人民大学国劇研究センター執行主任、北京外国語大学芸術研究院院長の孫萍氏は、「若者は両国の交流における永遠の話題、両国の希望と未来だ。両国の若者はより広く文化交流に参与するべきだ」と指摘した。一橋大学教授の江川雅子氏も、「東京大学と北京大学の学生は、定期的に討論会を開く交流枠組みを設け、中日関係が困難に直面している時期でも対話と意思疎通に取り組んだ。両国の若者の間でこのような交流を増やし、両国関係の美しい未来を築ければと思う」と話した。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年10月26日

 

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