友好の隣人になれ

兪熠麗(同済大学)

 

中国の新聞やマスコミで、中日関係と言えば、かならず「一衣带水」という言葉が出てくる。この言葉は文字通り、帯のような狭い川のことで、とても近いという意味だ。

確かに地図から見れば、中国と日本の距離はとても近い。私が住んでいる上海から日本の成田空港まで、飛行機でただ二時間半かかるだけで、もし北京へ行くなら飛行機で二時間、高速電車で五時間もかかる。そういう点から見ると、中国と日本はたしかに「隣人」だ。

位置が近い上に文化も近い。小学校二年生の時、叔母さんの家で日本の化粧品を見た。その化粧品の瓶には日本語の説明がついていた。漢字を使っているので、当時の私でも読める。そして、あの時の私には、日本は中国と同じ漢字を使う国だという印象が強く残った。それはとても交流には便利なことである。

日本人の留学生との交流会で、もし言いたいことがうまく伝わらない時、漢字で書くと、相手は大体わかる。また、お互いの名前を読むとき、欧米人だと英語の発音を真似するか、お互いの国の流儀で名前を作らなければならないが、中国と日本の間では、両国のそれぞれの漢字の発音によって直接お互いの名前を呼べばいい。そして、日本語の音読みは中国語の読み方に似ているので、英語より覚えやすいと思う。漢字は天然の中日の架け橋で、また、文化が繋がっている証拠だ。

漢字だけではなく、ほかにも似ているところはたくさんある。留学生と交流した後、「三国演義」、「西遊記」などの中国の古い小説が、日本で多くの人に読まれていると知って驚いた。留学生の中に「三国演義」が凄く好きな人がいる。彼女が一番好きな人物は趙雲だ。私と話す時、彼女は趙雲についていろいろ話したが、その詳しさには本当にびっくりした。実は、私は「三国演義」はきちんと読んでいないから、彼女のようにそんなに詳しくはない。中国人として恥ずかしいことだ。

漢字や古い小説の知識を共有しているのは、昔の中日交流の結果である。現在ではどうであろうか。今、20代、30代になる若者達は、小さい頃から日本のアニメを見て成長してきた。私が小学生の時、テレビで午後五時から必ず日本のアニメが放送されていた。「テレビを見るのは宿題を済ませてから」というのが母の要求だから、私は早くアニメが見られるように、学校でいつも昼休みや、授業が終わったあとの10分休みを利用して宿題を終わらせた。「ポケモン」、「デジモン」、「ドラゴンボール」などのアニメは、私にとって幼少時代のとても大切な思い出だ。

私はあの時から今までずっとアニメを見ている。アニメによって、日本に強い興味を持つようになった。高校三年生の時、大学の志望を決めたが、日本のことをもっと知りたいという気持ちから、日本語科を第一志望として選んだ。周りの友達は私が日本語科の学生になったと知ると、必ず、「じゃ、今字幕を見ないで、アニメの日本語が分かる?」と質問する。それは、まだ私には難しいことだが。また、時々高校のクラスメートから小説やビデオなどの翻訳を頼まれる。これらは私が日本語を習う動力の一つになっている。

アニメやドラマから日本に興味を持つ若者は決して少なくない。また、その中で多くの人はインターネットで日本語を独学している。日本語を独学する人のためのウェブサイトも多く、五十音図を教えるビデオはとても流行っている。これは中日民間交流のよいベースになると思う。

これからは私達若者の時代だ。中国の若者として、また日本語科の学生として、具体的に中日民間交流で何をすればいいであろうか。多分、直接の交流が一番いい方法ではないかと思う。

ある留学生の友達が私に次のように言った。「上海に行く前、テレビで中国の悪いニュースばかり見たから親が凄く心配したんだけど、でも上海で二か月ほど住んでみたらテレビのニュースと全然違う」。彼女の話は私に直接交流の重要性を認識させた。中国のマスコミも日本については良いニュースより悪いニュースの方が多く、いろいろな誤解を招いている。誤解を解くためには直接交流が一番便利な方法だと思う。私は今日本語クラブの一員で、部長は私のクラスメートだ。私達は全学校合同の中日交流会を行うつもりだ。また、毎週木曜日必ず小さな交流会を開いている。それは日本に興味がある中国人と、中国に興味がある日本人の直接交流の機会を増やすためだ。こうした活動から理解や友情も深まるように思う。

中国と日本は隣国である、たとえ、両国の政治上の矛盾がたくさんあるとしても、一般市民の私達は友好交流ができる。中国には「遠親は近隣に如かず」という言葉がある。日本語では「遠い親戚より近くの他人」と言う。今後、私も日本語科の同級生と一緒にもっと交流会を行い、中日民間交流の小さな力となることを願っている。いつかきっと、中国と日本は真の友好ある隣人となることを信じている。

 

【創作のインスピレーションと】

 2015年笹川作文コンクールで二等賞をいただきまして、本当に嬉しいです。まず、主催団体および全体の関係者たちに感謝申し上げます。また、作文を指導してくださった宮山昌治先生に感謝したいと思います。

 そのような長い文章を書くことは初めてで、最初は、作文の練習のために応募しました。賞を取ることは考えませんでした。ですから、電話がかかってきた時、本当に驚いて、嬉しいです。改めて、二等賞をいただけることに本当に光栄に思い、感謝しております。

 私は小さい頃から、日本のアニメを見ています。大学に入った後もよく留学生と交流し、小さな中日交流会を行っています。この作文は自分の経験を基づいて、一生懸命書いたものです。日本と中国は隣国ですが、互いに大きな認識の違いを抱えております。私はこの文章によって、中日が友好の隣人になる願いを伝えたいんです。

 これからは、日本語の勉強をもっと頑張りたい、中日友好の小さな力となることを願っています。

 

人民中国インターネット版 2015年12月

 

 

 

 

 

 
人民中国インターネット版

人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850