文化の香り漂う竹林

 

 早朝の望江楼公園で、仲間たちを率いて太極拳の練習を行う張さん

朝日に照らされた錦江はきらきらと輝き水は澄んでいる。新九眼橋のたもとにある望江楼は青竹と引き立て合い、詩情や絵心に満ちている。この高さが30メートルもある古建築は、成都が現代化建設を開始した最初の高楼だった。西晋(266~316年)の文学者左思の『蜀都賦』の中で「既麗且崇、実号成都」と成都を描写しており、「崇麗閣」は望江楼のかつての名前だ。

望江楼は清の光緒年間(1875~1908年)に唐代の女流詩人薛濤を記念して建てられたもので、有名な芸妓でもあった彼女は当時の元稹、白居易、劉禹錫といった詩人たちと唱和した。彼女が生涯竹を愛したことから、後世の人は望江楼の周囲に各種の竹を植えた。この竹林は次第に国内でも珍しい竹が集まる地になっていった。民国時代、望江楼一帯は公園として切り開かれ、人々が薛濤をしのんだり川の景色を楽しんだり、あるいは竹林を散歩するのに最適の場所になった。

毎朝7時半、張さん(67)は仲間たちと望江楼公園の竹林の中に来て太極拳をしている。幼い頃から武術が好きだった張さんはみんなを指導する先生となっている。8時15分、中国風の太極拳練習着を着た仲間たちは張さんについて姿勢を取り型を行うなど、練習を始める。「私たちは錦江区武術協会の会員で、ここに集まって太極拳をするようになって十数年になります」。張さんによれば「実は多くの人が公園の近くに住んでいるわけではないのですが、ここは地面が柔らかく、空気がすがすがしく、太極拳の早朝練習にもってこいで、その上環境は終始良好に保たれています」ということだ。

まさに張さんの言うように、望江楼公園は百年を経ているが、当初のように美しいままで、高層ビル・大型ビルの中でオアシスのように、成都人に極めて良好な余暇を過ごす場所を提供している。

望江楼公園の竹林で、茶を飲みおしゃべりを楽しむ市民 

 

午後になると、錦江の岸辺の露天茶座は茶を飲みおしゃべりをする客で満席になる。魔法瓶を下げた店員がテーブルの間を行き来し、忙しく客に湯を注いでいるのだけが見え、時に笑い声やマージャンをする音が響いたり、耳かき師の使う道具が立てるカチャカチャという金属音が耳に入って来たりする。広場の一角の電子スクリーンにはリアルタイムの音量がデシベル単位で表示されており、人々は静寂な公園の雰囲気を壊すことを恐れ、伴奏音楽の音量を自主的にしっかりコントロールしている。

歴史は成都人に優雅で心地よい生活空間を残したが、成都人はこの貴重な財産を継承するだけでなく、より慈しみ、大切に守っている。

 

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