アジア太平洋の安全秩序、米国のルールに任せられるか

 

南中国海の域外国である米国が、南中国海問題への介入を強め続けていることは、争えない事実だ。いわゆる南中国海仲裁案の結果が出た後、米国はさらに積極的に同盟国に働きかけ、同問題で中国に圧力をかけようと試みている。

米国のルール、実際には「米国が認めるルール」

米国は、アジア太平洋には欧州のNATOに似た正式なメカニズムがないとし、そのため「ルールに基づく安全体制」を構築することを主張している。カーター米国防長官は「この体制にはすべての人・国・軍が含まれ、その能力・予算・経験に関わらず参与できる。誰もが声を出すことができ、誰をも孤立させない。また誰もが誰かを孤立化させないことが望ましい」「この安全体制は、いかなる国をも念頭に置かない。米国は平和・安定・繁栄の中国を歓迎し、中国がこの安全体制の中で責任ある役割を演じることを歓迎する」と述べた。

カーター氏は急に矛先を転じ、「多くの人が、中国の南中国海における広範で先例なき行動と、中国の戦略的目標に懸念している。中国の南中国海における行動は自国を孤立化させている。これを継続すれば、中国は自らを孤立させる長城を築くだろう」と話した。

それでは、米国が主張する「ルール」とは何だろうか?カーター氏は、中国の南中国海における島礁の建設と軍事化は、国際法を「順守しない」行動であり、「原則とルールを重視しないアジア太平洋地域の暗い一面を示している」と述べた。いわゆるルールとは、米国が主導し認めるルールである。これが言外の意味だ。

一国が認める時代は過去に

米国は冷戦思考を捨てておらず、世界のパワーバランスの新たな変化に適応しておらず、中国の平和的台頭という新たな状況を受け入れておらず、米国の近年の歴代大統領による中国の平和的発展およびアジア太平洋地域におけるさらなる貢献を歓迎するという約束に背いている。米国は約束を守らないという悪い名声を手にしただけだ。米国は同時に、中国を含む国際社会の、米国がアジア太平洋地域で建設的な力を発揮するという願いに背いており、より無責任で破壊的な「邪魔者」としての役割を演じるようになった。

中国が平和的台頭の道を歩むたびに、米国の友人から非難され、さらには妨害される。しかし中米の南中国海・アジア太平洋地域におけるパワーの差が縮小される傾向が明らかになっており、この流れを逆転させる、もしくは阻止するという米国の計算は空振りに終わるだろう。一国が認める時代はすでに過去になったのだ。

中米は「和すれば則ち共に栄え、争えば共に傷つく」

まず、中国は心理的に、一定の戦略的な観測を持たなければならない。米国と中国は既存の大国と新興の大国を代表している。これは異論の余地なき事実であり、隠す必要もない。既存の大国と新興の大国の間には、必然的に権力競争が存在する。中国はこの過程において得るものと失うものがある。つまり中国の台頭の道が、「ゼロコスト」であることはない。そのため重要になるのは、中国が自国の核心的利益がどこにあるのか、そのためにどれほどのコストと犠牲を支払うことができるか、譲歩するにしてもどこまで譲歩できるのかを理解することだ。これにはまず、戦略的な観測と判断を持たなければならない。

次に、中国は米国となるべく対話と意思疎通を行い、相互信頼を深め、疑念をなくすべきだ。中米両国の関係がいかに発展するかは、今後一定期間に渡る国際関係の動向を左右するのだから。中国は米国と南中国海問題、朝鮮の核問題、台湾海峡情勢など、アジア太平洋の安全問題について真の対話を展開するべきだ。さらに戦略的意図、法とルールなどをめぐり、自国の観点を何度も説明するべきだ。習近平国家主席が今年5月、米国からの客人と会談した際に「中米両国の利益が深く交われば、中米の協力は大きなことを成し遂げることができる」と述べた通りだ。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年7月21日

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