王外交部長が米日豪の共同声明に反論、「平和の守護者か邪魔者か」

 

東アジアの協力をめぐる一連の外相会議は26日に最終日を迎え、南中国海の話題が注目を集め続けた。中国外交部の王毅部長は同日、ASEAN・中日韓外相会議、東アジアサミット外相会議、ASEAN地域フォーラム閣僚会議に出席した。王部長は東アジアサミット外相会議で、南中国海仲裁案に関する中国側の立場を説明し、「多くの国が仲裁案の本質と危険性を認識し、直接的な協議と交渉により係争を解決するという中国側の立場を理解・承認し始めている」と述べた。王部長は米日豪が25日夜に、南中国海問題に「深刻な懸念」を表する声明を発表したことについても、26日に厳しく反論した。ケリー米国務長官は同日、米国は南中国海の係争で特定の立場を持たないが、法的手続きと外交手段による対立の解消を「絶対に支持」すると表明した。

王部長は26日、南中国海仲裁案について、中国側の立場は国連海洋法条約の権威と公平性を守るためだと表明した。王部長は仲裁の「3つの非合法」について▽仲裁の申し立ては非合法▽仲裁裁判所の設置は非合法▽仲裁結果は非合法――とまとめた。「時間の流れと共に、このいわゆる南中国海仲裁案の違法性がさらに明らかになり、臨時仲裁裁判所の裏に隠されている政治的操作も明るみに出ることだろう」

ケリー長官は25日、王部長との会談中に、フィリピンが一方的に申し立てた仲裁案の内容に対して、米国が特定の立場を持つことはないと明言した。しかしAP通信によると、米日豪は同日夜に共同声明を発表し、「緊張情勢をエスカレートさせるすべての一方的な行動に強く反対する」とした。声明は中比に対して、法的拘束力を持つ仲裁結果を遵守するよう呼びかけた。AP通信によると、米日豪は仲裁後、中国に対して「最も強く具体的な」警告を出した。インドのビジネス紙『Business Standard』は26日、同声明はASEAN外相による共同声明が、南中国海問題で明確な立場を表明しなかった「空白」を補ったと報じた。

王部長は米日豪の声明について、26日に厳しく反論した。「地域諸国が南中国海情勢の沈静化に期待しているが、この3カ国の声明はエスカレートを煽っている。地域諸国がこれを中比の二国間問題と判断しているにも関わらず、この3カ国の声明は物議を醸しているいわゆる裁決が法的拘束力を持つと言い張っている。世界の70数カ国がさまざまな形式により中国の正当な立場に理解を表し支持しているが、この声明は表と裏から中国を批判している。これが近日、目にしていることだ。この声明の発表は時宜にかなわない。3カ国が心から南中国海の安定を願うならば、中国とASEANが『南中国海各方行為宣言』を履行し、直接的な当事国の対話と交渉による係争解決を支持するべきだ。あなたたちが平和の守護者か、それとも邪魔者であるかが試される時が来た」

中国外交部の劉振民副部長は26日、「ASEAN諸国は仲裁案を棚上げにし、交渉の軌道に回帰することを願っている。米日豪の声明は当事国の意見を無視しており、勝手にあげつらっている。実際には関連する二国間の接触において、米国も中比が対話と交渉により問題を解決することを奨励し、支持している。米国が二国間で中国側に言っていることと、米日豪の声明の基調が異なっているが、何を考えているのか不明だ」と話した。

AFP通信の26日の報道によると、フィリピンのヤサイ外相もメディアに対して、南中国海仲裁案は中比間の問題だと表明した。劉副部長は「他国は仲裁案の一部ではないのだから、我々がこれを共同声明に盛り込む理由はない。二国間交渉は正式に始まっていないが、中国は中比間の対話に自信を持っている。ヤサイ外相もASEAN外相会議で、中国側との二国間協議の意欲を示した。ヤサイ外相は中国との対話を歓迎し、調整を進めると表明した。これは前向きな情報であり、彼らも対話と交渉が正確な軌道だと感じている」と述べた。

南中国海をテーマとする宣伝動画が、今月23日から来月3日にかけて、米NYタイムズスクエアの「チャイナスクリーン」で毎日120回上映される。動画は中国の南中国海における主張と立場を宣伝する。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年7月27日

 

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