今なお残る功績

 

 毎日観光地区で上演される「道解都江堰」では当時の工事の光景を再現し、2000年前にここで幸せに暮らしていた人々を演じて、臨場感あふれるショーを披露する

都江堰では李氷父子を記念して毎年「放水節」のイベントを開く。記録によると放水節が始まったのは978年のことであり、すでに1000年以上の歴史を持つ。毎年清明節(4月5日前後)の時期になると、数百人が当時の建設労働者に扮して古代の都江堰の治水工事の光景を再現するとともに、五穀豊穣と国家の安寧を祈願する。

2000年以上前、李氷父子は竹を編んだ竹籠に石を詰めて川へ沈めた。竹でできた籠は水の中に入れても腐らず、水の流れが大きい時には土砂が竹籠の隙間を通って流れていき、小さい時には流れて来る石ころが竹籠の中に残り、自然に水圧を調整する。竹籠はテトラポッド状の「木枠」に入れられ、糸で縛られ、木で覆われ、竹のござが巻かれ、外側にはさらに粘土をかぶせられる。これが古代の効果的な水流調節装置だった。

 竹籠を編む肖さん

当時の李氷父子が使っていたこれらの水利施設建造技術はまだ現地に伝わっている。肖さん(70)の家は先祖代々竹籠を作っており、材料となる慈竹を山から取って来る。この道50年以上の肖さんの武骨な手にかかり竹ひごが瞬く間に編まれていき、見る見るうちに十数㌢大の竹籠が出来上がった。肖さんはこのような竹籠を毎年合計四、五千㍍分編むという。完成品の大部分は都江堰の観光地のエコ運動のために売られる他、現在でも都江堰を含む多くの水利工事で川底を整理する際にはこの竹籠が使われるという。 都江堰の水利施設がこの地に住む人々に残したものは、治水工事の技術と経験、または世界文化遺産だけではない。世界を見渡しても都江堰と同じ時期に建造された水利施設は全て地形の変動または歳月の変遷によって消え去ったり、または不用となり、今では都江堰だけが残されている。2008年に四川で起きた汶川大地震の時でも、被災地の都江堰は強い揺れに襲われたが水利施設はほぼ無傷であり、人々を感嘆させた。2000年の時を超えても都江堰をこんこんと流れる清流は今でも万里に及ぶ「天府の国」の美田を潤し、民衆に幸せをもたらしている。

 

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