「竜」が生きる町

 

ここには清代前後の成都平原の古典的な家屋が大量に残され、彫刻が施された欄干や先のとがった軒反りの建物があちこちにある

成都市から南へ約40㌔先の双流県内にある黄竜渓古鎮(古い町)は1700年以上の歴史を持つ水郷だ。三国時代の蜀漢の丞相諸葛亮がここに駐屯地をつくったと伝えられている。千年以上の発展と変遷により、現在の古鎮には成都平原の異なる時代の特色のあるさまざまな建築物が集まっており、成都の建築文化の魅力を人々に教えてくれている。

歴史の息吹と民俗文化の蓄積を感じさせる黄竜渓古鎮は映像業界からも注目を集め、有名な映画監督の謝晋がこの地で『芙蓉鎮』(1986年)を撮影した。「黄竜渓古鎮が映画界から注目されたのは、ここに明代や清代の趣きを残す街道がほぼ完全な形で保存されていたからです」と黄竜渓古鎮観光地区のスタッフが教えてくれた。

 水遊びする観光客

黄竜渓古鎮の湾曲した石畳の小道を通ると、灰色の瓦をふいた木造の楼閣、精巧な彫刻が施された欄干、街角の茶館、お堂に立ち上る線香の煙など、成都古鎮の雰囲気や情緒あふれる景色が広がり、人々に素朴だが新鮮な思いを抱かせる。古鎮に現存する鎮江寺と潮音寺と古竜寺の三つの古刹は旧暦の6月9日と9月9日に祭りを開き、昔日のにぎやかな風景を再現する。 ここは錦江南の岸辺で川に沿って建造された町で、その後の修築工事によって独特な「竜」の形が目立つようになった。西寨門と竜潭広場が竜の頭部を、真竜街を流れる小川が竜の体を、その小川が竜潭湖を経由して曲がりくねって北の錦江へと流れる様子が竜の尾を表し、全体で黄竜を形成している。竜の背中を流れる小川の水の流れはうねうねした起伏に沿って変化に富み、面白みがある。水の流れを追うと、穏やかで非常に静かかと思えば、水のせせらぎや清流のさざめきが聞こえ、それが滝となって石橋の下を流れ、ごう音を立てながら四方へ飛び散る。ここは夏に観光客の水遊びの場所となる。彼らは水鉄砲でお互いを撃ち合うが、水をかけられた人は邪気が払われ福が訪れるといわれている。観光客は全身で涼を味わい、水面に映るほどのまぶしい笑顔を浮かべ、心の底から水遊びを楽しむ。

 

 

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