『日中未来遺産』 

2019-10-11 16:52:42

岡田実 著

 

 中国は昨年、改革開放40周年を迎え、世界第2の経済大国へと急速な発展を遂げたが、その初期、「草の根」で黙々と汗を流し、農村の発展を支えた日本人たちがいた。同書は黒龍江省方正県で寒冷地稲作技術協力を伝えた藤原長作、中国全土で米の増産に貢献した原正市、スイカの品種改良に心血を注いだ森田欣一、「一村一品」運動(各地域が特産品を作り、地域振興を図ろうとする運動)で中国でも広く受容された平松守彦元大分知事といった4人の取り組みを巡り、資料や関係者への聞き取りをベースに書かれている。著者は、「日中の戦後和解プロセスはいまだ『未完のプロセス』だ。『戦争の記憶』と『日中開発協力の記憶』は有機的に絡み合い、実質的に和解プロセスの一部を形作ってきている」と話し、同書を通して「両国の未来に向けた課題と提言」を論じているという。

 

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