『詩経』は中国最古の詩集で、紀元前11世紀から前6世紀までの詩311編が収められている。そのうち6編は題名しか現存されていない。『詩経』は風、雅、頌の三つのジャンルに分かれている。「風」は「周南」「秦」「魏」など15地域の民謡を収録している。「雅」は貴族の宴会で歌われたもので、さらに「大雅」と「小雅」に分けられる。「大雅」は上位貴族が作った賛美の詩で、「小雅」は主に下位貴族の不平不満や庶民の苦しみなどが反映されている。「頌」とは祖先の廟前で奏せられた神楽だ。
2018年9月8日、中国郵政は『詩経』記念切手6枚1セットを発売した。絵柄は「周南・関雎」「秦風・蒹葭」「秦風・無衣」「小雅・鹿鳴」「小雅・鶴鳴」「魯頌・駉」という6編の代表作。
「周南・関雎」は『詩経』開巻第1の詩で、君子が淑女を求める様子を歌っている。古代の婚礼の席で花嫁を褒めたたえて、結婚の幸せを祝う詩だ。切手には君子が慕う淑女像が描かれている。「秦風・蒹葭」は川の向こう岸に住む意中の人を訪ねようとして果たせない男のやるせない気持ちが歌われている。「秦風・無衣」は団結して敵と戦おうという兵士たちの高い闘志を歌っている。「小雅・鹿鳴」は貴族が宴会を行い、楽しく賓客をもてなす様子を歌っている。「小雅・鶴鳴」は「他山の石」という成語の出典元で、君主は民間にいる賢者を迎えべきだと暗に述べている。切手には同詩の第1句と第2句に歌われた自由に鳴くツルと川を泳ぐ魚が描かれている。「魯頌・駉」は壮健な馬の群れを歌うことで魯国の豊かさと強さを褒めたたえている。