王衆一=聞き手
程暁明(ていぎょうめい) 日立建機(上海)有限公司董事総経理
浙江大学電気機械工学部卒、早稲田大学で資源工学博士取得。キャタピラー社を経て、2015年に日立建機入社、企画部長、18年に中国事業部副本部長、日立建機(上海)有限公司董事総経理を兼任。
今年1月に急拡大した新型コロナウイルス肺炎は、中国と世界の経済を揺さぶっている。湖北省の武漢は、新型コロナウイルスがもたらした大きな試練を乗り越え、4月8日に封鎖を解除。中国全体が全面的な職場復帰と操業再開に動き出している。
現在は経済発展の特別な時期で、中国は、大きな自然災害や経済的ショックに対して、大規模な経済振興策を通して損失を回復する必要がある。今回の新型肺炎ショックも同じだ。先月から中国では、過去2カ月余りの損失を取り戻そうという強い社会的なムードが感じられる。第5世代移動通信システム(5G)などの新インフラ建設を強力に推し進めるとともに、道路交通などの社会インフラのさらなる整備も整然と進められている。建設機械のリーディング企業である日立建機は、もちろんこの新しい建設の力強い勢いを感じている。
そんな中、私たちは日立建機理事で、日立建機(上海)有限公司董事総経理の程暁明氏に話を聞いた。
――4月から、中国は全面的な生産再開の段階に入りました。建設機械の企業は、より先行する必要がありますね。
程暁明 今回の感染拡大の収束後、新たなインフラ建設の波がすぐにやって来て、建設機械の発展に新たなチャンスをもたらします。
私たちは中国の建設機械業界を自分たちなりに理解しています。サプライサイド改革、アセットライト(保有資産の最小化)運営、第14次五カ年計画(2021〜25年)などの政策の推進に伴い、将来の国際レンタルやファイナンスレンタル、知能化の応用、機械レンタル、レンタル全般のソリューション(解決策)が巨大な発展チャンスを迎えると信じています。これと同時に、工事用機械の保有と使用方法に対する顧客ニーズの多様化に伴い、建設機械の流通やサービスモデルが歴史的な転換点を迎えています。
こうした変化に対応するため、日立建機はすでに2年前から顧客ソリューション本部を設置し、世界的に成熟しているレンタルTOパーチェス、レンタルTOセールス、オペレーティングレンタルなどの取引モデルを中国に持ち込むよう力を尽くしました。
このたびの新型肺炎のまん延は、顧客の建設機械の選択・購入、経営方式の転換に新たな考え方をもたらす可能性があります。日立建機も顧客の課題を解決するため、レンタルというモデルの導入も含めて十分な準備をしています。レンタルは単に販売の一つの方法というだけでなく、一つの資金運用の方法でもあります。レンタル業務の流れは複雑で、資産の投入から設備の貸し出し、現場サービス、修理、資金回収、設備の下取り、処分などの最終段階まで、全てに経営資源の投入と運営管理のバージョンアップを必要とします。
――マーケティング面での改革のほか、建設機械自体にも変化はありますか。
程 こうした変化と反応は、日立建機では情報通信技術の大量使用にいっそう現れています。
日立建機が建設機械に搭載した知能化総合システム「ConSite(コンサイト)」は、遠方から稼働を支援できます。このシステムは最新の情報通信技術を運用し、緊急の故障報告や毎月の報告を通して顧客に建設機械の稼働状況のレポートを提供します。特に緊急の故障報告は、故障発生時に日立建機のサービススタッフと建設機械の所有者に同時に情報を通知します。これにより、サービススタッフは遠隔地でも速やかに故障状況について支援できます。同時に、対応する部品を現場に向かう前に準備し、素早く修理するという目的を達成できます。
私たちはこうした改善によって、燃費を良くし、環境への負荷を軽減することに貢献します。私たちは昨年、石油製品監視モニターを中国市場に導入しました。同時に、人工知能(AI)を使って設計データを建設機械にインプットし、施工時に建設機械が設計データに基づいて掘削の角度や深さ・長さを微調整するようにしました。こうした新技術は、新型肺炎ショック後の労働力不足の問題をある程度解決できます。
昨年上海で開催された中国国際輸入博覧会で、多くの来場者が日立建機のブースに足を止め見入っていた(写真提供・日立建機(上海)有限公司)
――現在の中国市場には古い建設機械が少なくありません。
程 新品の販売と同様に、私たちは修理やオーバーホール、リサイクルなどを含む中古機械業務を顧客への総合ソリューションの一つとして推進しています。
――研究開発から生産、販売、メンテナンスなどを順調に安定して進めるために、どんなことを実施していますか。
程 従業員の安全と生産再開を同時に推し進められるよう保証するため、日立建機(中国)の合肥工場は工場エリアに入る従業員に対し、体温測定やマスクの支給、各種の情報登録を実施しています。同時に、従業員食堂を改造し、毎日の会議方式を調整するなど、安全で秩序正しい環境の中で従業員が職場復帰するよう確実に保証しています。
実は、販売業務は春節(旧正月)以降すでに推進しています。インターネットが発達した現在、顧客訪問はもはや従来の対面方式ではなく、ネット上での訪問や購入になっています。これは従業員の安全な就労を保証するだけでなく、顧客の後顧の憂いを取り除きます。
新型肺炎がまん延する中、日立建機ではさまざまな感染防止策を実施し、職場の会議も室外で間隔を空けて行った(写真提供・日立建機(上海)有限公司)
総編集長のつぶやき
日立建機は今年、建設機械の生産開始から70周年を迎える。戦「疫」後に中国経済が迎える新インフラ建設の高まりへの準備から、製品技術のバージョンアップや販売革新、生産自体の安全の保証まで、この企業は一貫して、顧客のために価値ある商品とソリューションをつくり出そうと、絶えず努力をしている。
今年1月に急拡大した新型コロナウイルス肺炎は、中国と世界の経済を揺さぶっている。湖北省の武漢は、新型コロナウイルスがもたらした大きな試練を乗り越え、4月8日に封鎖を解除。中国全体が全面的な職場復帰と操業再開に動き出している。
現時は経済発展の特別な時期で、中国は、大きな自然災害経済ショックに対して、大規模な経済振興策を通して損失を回復する必要がある。今回の新型肺炎ショックも同じだ。先月から中国では、過去2カ月余りの損失を取り戻そうという強い社会的なムードが感じられる。第5世代移動通信システム(5G)などの新インフラ建設を強力に推し進めるとともに、道路交通などの社会インフラのさらなる整備も整然と進められている。建設機械のリーディング企業である日立建機は、もちろんこの新しい建設の力強い勢いを感じている。
そんな中、私たちは日立建機理事で、日立建機(上海)有限公司董事総経理の程暁明に話を聞いた。
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