手助け

2018-10-31 17:23:11

劉忠学=文 砂威=イラスト

 

  かつての同級生の亮が新しい家の内装をするというので、何か手伝いたいと思った。亮は内装業者に全て任せたので、自分は何の心配をする必要もなく、出来上がったら引き渡してもらうだけだと言っており、引っ越した後にお祝いパーティーをやるから楽しみにしておいてくれとも言った。何も手伝えず、亮に申し訳ないと思った。

  昨年、私がマンションを買い、内装をした時、亮はまるで自分のことのように、半月以上にもわたり、いろいろな手伝いをしてくれた。まともな食事のごちそうすらしておらず、ずっと申し訳ないと思っていた。間もなく内装が終わるという時にようやく亮は私のところにやって来て、「電気屋さんの友達がいるって言っていたよね」と言った。私は「そうだよ、親友が家電売り場の責任者なんだ」と言った。亮は「今まで使っていた電化製品を全部捨て、新しいのに買い変えたいので、口を利いてくれないか」と言った。私は「もちろん、一番いいものを一番安く買えるよう、手伝うよ」と請け負った。

  家の内装が済み、私は亮を連れて友人の開いた家電売り場へやってきた。来意を説明すると、友人はその場で承諾し、一律卸値だと請け合った。亮は私の顔が利くのを見て、値切り交渉もせず、ただ買いたい物のリストを挙げていった。リアプロジェクションテレビ、全自動洗濯機、温水機、食器消毒機、電気炊飯器、IHクッキングヒーター……。計算してみると、合計18268元になった。私が「丸めて18000元でいいだろう」と言うと、亮は申し訳なさそうに、私の友人が割を食うのを恐れ、こっそり私の耳元で「200元くらいいいよ」とささやいた。友人は私を見て、「マブダチだから仕方がないな、18000元でいいよ」と言った。

  家電が家に届き、据え付けも終わると、亮はぜひ食事をごちそうして礼をしたいと言った。断るにも断れないし、その日は亮の機嫌も特に良かったので、私もうれしかった。われわれは意気投合し、しこたま飲んで楽しく過ごした。

  亮は私の手を取り、「友人が多ければ道多し、知り合いが多ければ粥半分」と言うけど、あんたは本物の友人だと言った。私も亮を手伝うことができ、ようやく心が落ち着いたので、酒の力を借りて、胸をたたいて「安心しろ、今後も何かあれば声をかけてくれ。俺のマブダチはお前のマブダチだ!」と言った。

  数日後、あの家電売り場の責任者の友人が電話をかけてきて、食事をごちそうしてくれると言う。私は「今日はお天道様が西から昇ったのか? 忙しい君が僕を誘うなんて」と言った。彼の好意を無駄にもできないので、私はそそくさと出掛けた。

  レストランに着くと、われわれ2人だけだった。私は彼に「何かたくらんでいるのか」と言うと、彼は「まず酒を飲め」と言った。盃を3杯ほど重ねた後、「何かいいことでもあったのかい」と聞くと、彼は笑って、「お前はとぼけているのか、それとも本当に馬鹿なのか? 前にお前が紹介した上客のおかげで、俺は1000元ほど余分にもうけたんだから、おごらないわけにはいかないだろ」と言った。

翻訳にあたって

 中国では一般的にマンションは、内装が済んだ状態で売られるのではなく、建築したてのコンクリートむき出し状態で販売されるため、購入した後、床貼り、壁塗装に始まり、照明やあらゆる家電の設置まで、自分の手でしなくてはならない。これらを内装業者に頼むにしても、手抜き工事や材料すり替えが頻発するため、作業の進行をしっかりと監督する必要があり、内装中は現場にずっと張り付いて、監督している人もいて、とても手がかかる。最近ではこの文章のように業者にすべて丸投げも可能なようだが、信頼できる業者を探すのも一苦労だ。信頼できる業者を探そうと友人のつてを頼っても、このエッセイのような「悪徳業者」に引っ掛かることも多々ある。(福井ゆり子)

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