今年、中日政治・経済関係の好転を大多数の人々が期待しており、それが次第に趨勢になっている。日本は「自由で開かれたインド太平洋戦略」を推進しつつあり、中国のテレビ局は相変わらず「抗日ドラマ」を放送し、現実と歴史のせめぎ合いを人々の視線から消すことはできないが、昨年来、中国市場を再評価する日本企業が増えつつあり、日本に出掛けて日本の製品や現状を自分の目で確かめる中国の一般消費者も増えつつある。中日間の相互理解は今年、強まりこそすれ、弱まることはないだろう。
視線は中日経済・貿易関係に集まっており、ここ数年続いてきた経済・貿易の減少傾向は昨年、底を打ち、増加傾向に転じ、今年はかなり大きく回復すると見込まれる。
中国は日本のメディアがしきりに報道しているような急速な崩壊はあり得ず、また日本は依然として中国にとって化学工業などの基礎材料、日常生活消費財の重要な供給国だ。中日両国の経済は今年、勢いが落ちることはなく、相互補完性が強いため、両国経済・貿易には底を脱し、再び輝く可能性が大きい。
中日の経済競争についていえば、筆者は制度革新、技術改革の競争であるべきだと考えている。どちらかの革新に力を入れ、経済成長の空間を広げた側が、最終的に効果を挙げるだろう。
改革は内陸都市、東北へ
中国が昨年から着手した社会制度の改革から見て、足取りは減速せず、改革は内陸都市に向かい、東北各省に向かっている。
個人の企業経営はかつて、中国行政上の最大の禁止区域だったが、現在は全面的に解禁され、特にEコマースの方面では、企業経営は銀行に巨額の預金をする必要もなく、誰でも企業経営の資格を持っている。もっといえば、かつて、民営企業が手を出せなかった鉄道、道路建設、総合病院の経営、大学の設立なども、今は基本的に開放され、特に鉄道方面のPPP(政府と社会資本の協力)は、さらに多くの私営企業に地方の重要幹線の建設に参入する機会を作り、しかも私営企業が大きな役割を果たしている。
中国は1978年に改革開放を推進して以来、私営企業を認可し、農村で土地を個人請負いにするなど、制度上の改革によって、中国経済に天地がひっくり返るほどの重大な変化を起こした。今日、中国はまだ改革の足取りを止めておらず、より広大な範囲で、より深い改革を整然として推進させている。
制度革新の角度からいうと、中国が歩み出す一歩は日本をはるかに超えている。この種の制度革新は中国経済を急速に成長させる外部条件になっている。
40年の間に日本から来た
経済の発展が最終的に依拠するのは生産技術だ。改革開放の初期段階の技術革新が主に日本から来たのだというとすれば、今日の中国の技術革新はすでに日本が目を見張って見て、再評価すべきレベルに達している。
多くの技術は日本ではもしかしたら全てのメーカーが備え、特別な意味はないかもしれないが、これらの技術がひとたび中国に導入されると、中国市場で革新的な役割を果たすことができる。日本の現代化した工場管理、流れ作業ラインは、中国の改革以前の手作業方式を徹底的に打破した。テレビ、冷蔵庫、洗濯機は中国人のライフスタイルを根底から変えた。これらの製造技術革新、製品革新は過去40年の間に主に日本から来たものだ。
現代化した大生産方式が中国にしっかりと根を下ろすと、中国は技術上の革新において足取りをとどめてはいなかった。特に情報技術(IT)の分野で、中国の統一的で、膨大な人口と市場の力を借りて、アリババ、テンセント、バイドゥ、JDドット・コムなどのネット企業が急速に出現した。中国のIT企業が保有している技術は、ほとんど例外なく日本企業も持っているが、日本企業は制度上の制約に加えて、この20年来の経済低迷によって、保有している技術を日本ではうまく活用できず、さらにこれらの技術を世界に発信していない。
中国企業の大きな特徴は旺盛な技術革新追求の意欲を持ち続け、技術革新が十分に市場と結びついてきたことだ。日本は今でも素晴らしい技術力を保有しているが、少子高齢化と行政規則によって、その技術力の威力を十分に発揮させることができない。今後、日本企業が日本国内外で、自らの技術力を生かそうと考えるならば、中国市場で試してみるべきであり、中国で成功すれば、世界に向かうこともできる。
IT・医療で協力
このコラムでは何度も中日企業のITや医療の分野などでの協力の可能性について言及してきたが、年頭に当たり、繰り返しておきたいことがある。
昨年12月1日、筆者は広東省広州で開かれた「広東―日立創新(革新)交流会」に参加した。日立製作所の東原敏昭社長は繰り返し、同社のIoT(モノのインターネット)技術―この新しいプラットホームを同社はLumadaと呼んでいる―に言及した。このプラットホームは、都市交通、病院・医療管理などに対して、いずれも大きな役割が期待されている。
日本企業が中国でIoTによる問題解決方式によって、その業務を推進し始めたように感じられる。過去の単一製品―1台のテレビであれ、1台の発電機であれ―は、この種の方式で業務を継続、拡大するには限界があり、日本企業の総合製造、一貫管理の特長を十全に発揮することができなかった。その点、LumadaなどIoTは企業の不足を解決して、市場を開拓することが保証されている。
日本の読者は北京の病院で受診するのがどれほど面倒なことなのか、おそらく想像もつかないだろう。北京の病院には中国全土から病人が押しかけてきているため、患者の数は病院の診察能力の何十倍も上回っている。先ず受け付け待ちに時間がかかり、診察待ちに時間がかかり、しかも診察時間はごく短い。診察が終わると、今度は支払い窓口に長蛇の列。最後に薬局で薬をもらうまで、再び長時間待たなければならない。日本のIT技術は完全にこれらの問題を解決することができるだろう。しかも大型のがん治療システムなどは中国市場で欠乏しており、中国の医療分野には巨大なビジネスチャンスがあると思う。
制度と技術力の面で絶えず改革が進んでいる中国で、日本企業との協力が実現すれば、新しいビジネスチャンスが生まれ、今年は中日間の経済・貿易関係が好転する良い年になるのは間違いないと思う。
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