持続成長の原動力を維持 開放・新特区・革新で魅力の市場

2019-12-18 14:54:05

陳言=文

今年下半期に入って、国際的な経済成長の勢いに陰りが見え、明らかに下降局面に入った。この下降現象は、ある面では経済の循環法則から来たものだ。10年ごとの成長周期により、今年はその法則に沿って下降が出現している。しかし別な側面から見ると、経済成長を阻害する人為的な要素が、特に今年になって顕著になって出て来た。

 中国経済が成長を持続する余地があるか否かに、中日両国は共に注目している。筆者は全体的に見て、中国が採用できる政策は依然として多く、また、さらなる開放拡大は中国の持続的発展に原動力を提供すると考えている。

 

リーマン・ショックに対処

 10年前の2009年、米国の投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻の影響で、世界経済にかなり深刻な下降局面が出現した。その当時を振り返ってみよう。

 国際通貨機関(IMF)のデータによると、08年に突如発生したリーマン・ショックが各国にもたらした影響で、世界の主要国の経済状況は09年には以下のように下落した――中国はそれまで数年持続していた2桁成長が9・20%に下がり、米国はマイナス2・54%、日本の下落はさらに急速で、過去20年来で初めてマイナス5・42%成長に落ち込んだ。

 各国の成長段階が異なるため、リーマン・ショックから受けた影響もそれぞれ大きく異なっていた。中国は、03年から保ってきた2桁成長が、08年ついに1桁に落ち込んだ。09年は9・20%と一桁の成長率を維持し、10年も短期的に2桁成長(1061%)を記録したものの、その後は2桁の高度成長を維持するのは困難となった。

 米国は危機の「輸出国」だったが、タイムリーな対策を打ち出したために、むしろ米国自身が受けた影響は、日本などの国々に比べて少なかった。日本は01年以降、何とかプラスの経済成長を維持して来たが、08年にマイナス成長率を記録。さらに09年の成長率は、過去30年で最大の下げ幅を記録し、経済はかなり深刻な状況に陥った。

 昨年は08年からちょうど10年だった。世界の経済成長率は17年6月の3・4%から今年は2・4%に下落した。貿易量がさらに減少すれば、今年の成長率はさらに落ち込む可能性がある。

 経済が下降周期に入ると、規模が大きいか成長期にある国家の方が、規模が小さくすでに高度成長段階を終えた国家に比べて下降への対応力が強いのはよくあることだ。10年前のリーマン・ショックでは、米国はそのスケールメリットで危機に対応し、一方、中国は経済を刺激し成長させて危機を克服した。両国が下降傾向から脱出する時間は比較的短時間だったが、日本は大幅に遅れを取った。

 

経済下降の人為的な要素

 今年に入って経済成長が下振れしている。これは、経済の周期的な原因の他に、人為的な要素が下降速度を加速させているからだ。

 周知のように、昨年、トランプ米大統領が世界各国に対して発動した貿易戦争は、世界のあちこちで火の手が上がり、世界の貿易量はかなり大きな下滑りを起している。オランダの経済政策分析局の調査データは、世界の貿易量が今年6月、前年同期比で1・4%下落し、ドイツの輸出量は4~6月期にマイナス成長となり、韓国の1~7月期の輸出量も前年同期比で9%下落したと明らかにしている。

 貿易戦争は結果的に米国経済にも打撃を与えている。米国の今年9月の製造業景況感は、ここ10年来で最低水準に下落。連続2カ月で50を下回り、国内の製造業に陰りが見え始めている。また、トランプ大統領は貿易戦争によって、米国企業が米国に戻って来ると繰り返し主張しているが、現在、米国企業の大量帰国の状況はなく、逆に米国の輸出が低迷し、米国の経済状況も10年来最悪の状態であることを示している。

 中国経済にも減速現象が現れている。昨年の中国の経済成長率は6・57%だったが、今年は6・27%と予測され、これは2000年以降、最低の水準だ。当然、経済規模は拡大しているので、昨年の6・57%は00年の8・40%に比べ、新たな富の生産は比べものにならないくらい大きいが、成長の鈍化は誰の目にも明らかだ。

 日本の状況はどうか。先月から消費税率が8%から10%に引き上げられたが、市場に大きな動揺はほとんど起きていない。しかし、消費税率の上昇が日本経済の成長スピードをある程度引き下げるのは避けられないだろう。

 IMFのデータでは、昨年の日本の経済成長率は0・81%であり、今年の成長率は0・98%と予測している。しかし、米国が発動した、他国に損害を与え自国にも不利な貿易戦争や、中国経済の成長率の鈍化、日本国内の消費税率引き上げなどに伴い、日本が昨年並みの0・81%を達成するのは難しいし、また0・98%という今年の予測値も恐らく高過ぎるだろう。

 

改革開放40年、中国の発展の新たな原動力を生み出している西部地区の大都市・重慶の解放碑広場。高層ビルが林立する中をかっ歩する若い女性たち(東方IC

 

6・2%成長の源泉 

 10年前のリーマン・ショックが中国に与えた衝撃は比較的に小さかった。今回、米国が発動したグローバルな貿易戦争は世界経済の成長を後退させているが、中国に与える損害は、日本のメディアが予測する結果とはかなり異なるだろう。中国はトランプ大統領や一部の日本メディアが考えているほどぜい弱ではない。 

 経済学の角度から見ると、中国と日米の成長段階や成長の余地は異なり、中国が貿易戦争によって被っている損失は比較的に小さい。まず、中国市場の成長は決して停滞せず、市場があれば多くの投資を吸引できる。今年の外資の対中投資から見て、米国や日本を含む外資の対中投資は決して衰えを見せておらず、逆に米国が国外から呼び込む投資、特に中国サイドからの投資は大幅に減少している。 

 改革開放政策の安定性は中国の安定した経済成長を可能にしている。中米貿易戦争で、中国で聞こえるのはさらなる対外開放であり、目に付くのは新特区のさらなる拡大だ。対外開放と自国第一を強調する鎖国では、どちらの政策が経済成長に有利かは自明の理だ。 

 四川省や陝西省などを含む中国内陸部では、大部分の地区で経済発展がテークオフの段階だ。東部沿海地区の経済成長が成熟期に入った後、西部地区が台頭し、中国には経済発展を引き続き持続させて行くに十分な余地がある。 

 技術革新の角度から見れば、米国が発動した貿易戦争でも中国の技術革新はいささかも停滞していない。 

 開放拡大の国策に加え、国内市場の開拓と技術革新の推進が、中国が今年6・2%の成長率を維持する原動力となる。だからこそ、多くの米国、日本企業がこの点に着目しており、中国は今年も外資にとって魅力的なのである。

関連文章