不安定な世界で安定する中日 習主席の公式訪日で促進

2020-01-22 15:08:21

陳言=文

今年の中国と日本の関係を展望して真っ先に思い浮かぶのは、桜が咲く頃に予定されている習近平国家主席の日本公式訪問だ。また、日本は夏に開催される東京オリンピック・パラリンピックが全世界の耳目を集めることだろう。一方、中国は秋に上海で3回目となる中国国際輸入博覧会(輸入博)を予定している。世界の動向に目を向けると、秋に行われる米国大統領選挙が焦点となろう。かつて「アジア四小龍」と呼ばれていた韓国、台湾地区、香港、シンガポールで起きている社会や経済の変化からも目が離せない。

 

強化された安定メカニズム

昨年の中日両国の政治と経済の大きな特徴は、「安定」だった。

安倍晋三首相の首相在職期間が日本の憲政史上最長となり、安定した政治は今年も続くと見られている。政治に対する安倍首相の影響の長期化は、政治を安定させる役割を果たし、政治的な安定は経済的な安定をもたらした。日本の経済成長は速いとは言えないものの、欧州諸国に比べて大きな混乱は起きておらず、このような安定は今年も維持されるだろう。

昨年の中国の政治と経済面を見ると、安定のメカニズムがさらに強化された。政治面の安定の維持は、経済の安定した発展を維持する。経済成長率はやや低下したが、米国が2%に届かず、日本が1%に届かなかったことに比べると、約6%という成長率は主要国に比べてかなり速いと言える。国際通貨基金(IMF)のデータによると、昨年の中国の国内総生産(GDP)は14兆㌦に達した。6%の成長率は中国が1年間で8400億㌦の富を増やしたことを意味し、サウジアラビア(7865億㌦)やトルコ(7712億㌦)のGDPを大きく上回っている。

中国経済は巨大な富を生み出す能力をどうやって維持できるのか。それに対する答えとなるのが巨大市場の需要であり、中国企業の生産と投資を刺激するだけではなく、外国企業に対中投資への信頼感を抱かせている。18年の日本の対中投資の新規プロジェクト件数は前年比約40%(828件)増で、投資実行額は前年比17%(38億1000万㌦)増だ。昨年もその傾向が維持されているはずだ。

昨年末、各種シンポジウムが北京などで開催された。そこで発表された分析は、中国および世界経済は少なからぬ困難に直面しているという認識だった。中国の経済成長についての見通しも5~6%がほとんどで、それほど楽観的な予測ではないが、中国の成長率を2%未満の米国や、ましてや1%未満の日本と同列に予測する意見はなかった。経済の成熟度を見ると、中国は40年前に改革開放に着手したばかりのぜい弱だった段階をすでに乗り越え、国内外の困難を克服し得る強大な能力を持っている。中国の経済成長の安定性はこうした部分に現れている。

今年の春に習主席が公式訪日することは、中日経済のさらなる発展に最大限の推進的作用を果たすだろう。中日の政治関係の安定は、両国が経済交流をさらに進め、世界経済の成長加速に共に貢献するように後押しする上で重要な役割を果たす。

 

東京五輪・パラに中国関心

 今年開かれる東京五輪・パラは当然、中国人からも注目される。ここ数年、日本に行って「爆買い」することが中国の消費者にとって当たり前になった。電子商取引(Eコマース)がその役割を拡大している今日、「爆買い」を通じて日本製品に関する知識を増やし、再び日本に行くという中国人の購買行動は今後も長期的に続くだろう。また、ディープな日本ツアーが流行し、日本の社会や文化に関するより深い情報を持ち帰るようになった中国人の日本への関心は、東京五輪・パラで頂点になるだろう。

 上海で開かれた輸入博で日本は出展企業数最多国になっている。日本企業は輸入博で大量の注文を獲得したことで、中日の経済交流における輸入博が果たす役割への理解をさらに深めた。しかし、筆者が日本の大手全国紙数社の輸入博関連のニュースをチェックしたところ、輸入博開催中に掲載された関連記事は5本足らずで、それも200~500字程度だった。数兆㌦(18年から15年間で40兆㌦の輸入規模になる)の経済効果があるにもかかわらず、わずか数本の記事でしか輸入博を紹介していないことに筆者は驚かされた。

 今年の中日関係の不安要素を予測して、最も懸念されるのは、中国側の対日関心度と日本側の対中関心度の温度差だ。日本経済に具体的な実利をもたらす輸入博に関心を持っているのが在中日本企業だけなのは、日本メディアの問題なのか、それとも日本人がもともと関心がないのかだ。このような温度差がある中で、日増しに開放が進む中国がいつまで日本に関心を持っているのかは不明だ。

 

昨年11月に上海で開催された第2回中国国際輸入博覧会で来場者と交流する日本酒メーカーのスタッフ(写真・王焱/人民中国)

 

不安定な米国と四小龍

 今年は米国で大統領選が行われる年であり、現職のトランプ大統領が再選する可能性が非常に高い。そうなれば、対中関税の引き上げや両国の貿易量の減少は決定的になるだろう。仮にトランプ氏が再選されなくても、対中貿易摩擦のエスカレートは確実だ。世界経済の停滞を招き、相当の不確実性が現れることになる。

 あまり関心を持たれていないアジア四小龍の経済は、今年も減速しそうだ。台湾島内の政治変動、香港経済が目下受けている影響、シンガポール経済の下振れ、韓国の政治や経済の不安定化などにより、中日間の重要な中間地帯が中日経済に発揮してきた促進的な役割が弱まりつつあり、中日両国と四小龍との貿易規模は大きく縮小するかもしれない。これは四小龍の成長に不利になるだけでなく、中日両国がこれら四小龍に対する貿易量を増やして国内の圧力を緩和することもできなくなっている。

 米国とアジア四小龍の不確実性は世界経済に与える不安定性を増大する。中日両国は共同でこれに対処しなければならない。

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