中日感染症対策は同工異曲 経済復興も足並みをそろえて

2020-05-27 14:45:19

陳言=文

 60年に一度の庚子(かのえね)の年である2020年は「風雲急を告げる」年の様相だ。

 中国が新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大をほぼ制圧した後、すでに数カ月にわたってインフルエンザが流行していた米国では、3月15日から突然、この新型肺炎の患者が多く出始めた。米国の一部の政治家は、自分に関係ないことは放っておく態度を一転。世界保健機関(WHO)が疾病呼称への地名使用を禁止しているにもかかわらず、新型コロナウイルスを中国のウイルスと呼んだ。

 しかし、矛先を外に向けようとすればするほど、自国の感染症対策に混乱をもたらした。米国の新型肺炎は感染が拡大。それらの政治家が言っていたような簡単な出来事ではなくなり、各国は感染防止に努め、国内外の総力を結集してこの感染問題に取り組んでいる。米国も同じようにのっぴきならない状況に陥った。

 一方、中日の新型コロナウイルス対策は同工異曲で、世界各国に手本を示したというべきであり、感染症対策と同時に、可能な限り経済の順調な発展を保証した。こうした中日両国の手法は世界各国の参考になった。

 

中国は人民による「総力戦」

 武漢の新型肺炎の感染者数の推移から見ると、3月10日に大きな変化が起きたと言うべきだろう。2月初めから、毎日の感染者が急増し、同月19日には4万5000人に増加。翌3月10日には4万9978人に達した。それ以降、急増は見られなかった。

 今から見ると、3月10日は、武漢の感染症制圧戦における重要な転換点だった。この日、国の指導者が武漢に赴き、この攻略戦を命令した。これ以後、新たな感染者の爆発的な増加は抑えられ、武漢は新たに「戦場清掃」の段階に入った。

 日本、欧州、米国と比べて、中国は最も早く新型コロナウイルスによる感染を確認しており、世界に少なくとも2カ月の感染来襲に備える時間を与えた。中国政府は新型コロナウイルスの危険性を察知した後、湖北省以外への感染拡大を抑え込むために、武漢市と湖北省の包囲戦略を選んだ。本稿執筆の時点で、湖北省の感染者数は6万7801人であり、他省で感染者が最多の広東省は1494人にとどまった。この数字は広東で医療崩壊は起こらなかったことを意味している。もちろん、ほかの各省はもっと十分な力を感染の予防・抑制に向けることができる。

 また中国としての特徴があった。湖北以外への感染拡大を抑え込んだ後、全国の医療、行政力を武漢と湖北に注ぎ、感染症撲滅戦を展開したことだ。中央の指導チームが武漢に派遣され、感染予防・抑制の最前線の指導を強化。厳重な感染の拡大防止、医療ケア、物資補給、監督・検査と責任追及を一つ一つ徹底して行った。人民解放軍と党中央、政府関係機関、各省・自治区・直轄市が力を合わせ、340余りの医療チームを派遣し、4万2000人余りの医療従事者が前線にはせ参じた。また19の省・自治区・直轄市がペアリング支援の仕組みを生かして、武漢を除く16の市と自治州を支援し、感染拡大予防・抑制の「人民による総力戦・阻止戦」を展開した。

 武漢、湖北の新型コロナウイルス制圧に力を注いだことによって、中国の他の地方で感染が拡大することはなかった。中国の対新型コロナウイルス戦「疫」は困難を極めたが、少なくとも頭隠して尻隠さずの混乱は避けられた。振り返ってみると、中国の戦法は中国で有効だったので、世界の感染症対策の参考になるだろう。

 

山東省済南の第二工作機械集団有限公司では、新型肺炎の感染拡大を克服し、5000人余りの従業員がすでに職場復帰し生産を再開している(新華社)

 

手厚い日本の医療資源

 新型コロナウイルスに直面しても日本は一貫して冷静で、対応も整然としているように見えた。こうした秩序は、日本が自然災害に向き合う中で培われてきた防災経験と密接な関係がある。また日本には手厚い医療資源が蓄積されてきたことも、緊急対応に効果を発揮した。

 今の日本の政治制度では、たとえ与党が重要なスポーツイベントを考慮して、わざと感染症対策を遅らせようとしても、野党が見て見ぬふりはできない。その上、日本のメディアは、対外問題に対する姿勢は政府とほぼ一致しているが、内政問題、例えば感染症拡大のような重大危機に関して、政府与党と完全に姿勢が一致することはあり得ない。これらの理由から、日本で深刻な感染拡大が起きた場合、情報不足によって抑制の機会を逸することはあり得ないと思うが、4月に入って事態はさらに緊迫化している。それでも感染の拡大後になって、途方にくれたり、慌てたりして、重大な失敗を犯すようなことはないと思う。

 4月初めの時点で、日本各地の感染症の情況は予断を許さない。同時多発的、爆発的に感染が拡大すれば日本でも医療不足に陥る。医師会など専門家らは、日本でも医療崩壊が起こり得ると警鐘を鳴らしている。

 

中日は世界経済けん引を

 世界情勢の不確実性は感染の拡大だけでなく、経済面にも強く現われている。欧州、米国の経済は感染拡大の影響が極めて大きい。また、実体経済からかい離している金融・サービス業などは、国全体が新型コロナウイルスの攻撃を受けており、すでに回復できる保証はなくなっている。

 中日経済の現状を見ると、実体経済の中心であるサプライチェーンが大きなダメージを受けたが、回復・再建は困難ではない。3月10日から20日余り過ぎた4月初めの時点で、中国の生産はすでに大部分が回復した。市場の需要がこれについてくれば、昨年の新型肺炎発生前の水準を上回るのは困難ではない。一方、日本の新製品の開発能力や新技術の開発速度は鈍化していないので、感染の終息後、日本も中国同様、国内の生産体制を再構築し、中国市場と継続的な関係を強化していくべきだろう。

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