国連の日に奏でる世界の名曲

2020-12-18 10:36:02

于文=文

10月24日は国連の日で、今年は国連創設75周年を迎える。それを記念し、中国、日本、韓国、イタリアの音楽家によるコンサートが名古屋市で行われた。二胡によるバイオリン協奏曲、中国と西洋の楽器が奏でる各国の民謡など、あまり見られない中日合同企画、かつ中国と西洋の音楽のコラボレーションという趣向が、会場に訪れた人々を魅了した。

 

4カ国の音楽家が共演し、美しいメロディーを共に奏でた (写真提供・チャン・ビン音楽企画)

 

「和」と「美」

音楽でコミュニケーションを図り、歌声で祝福の心を表現する―それを実現した、南京市対外文化交流協会と人民中国雑誌社の共催による「和」と「美」――国連創設75周年記念友好コンサートは、チャイコフスキーの交響曲の情熱的な一節で幕を開けた。続いて韓国のテノール歌手による『ひろしま平和の歌』、チェロ独奏によるカタルーニャ民謡とプログラムは続く。

コンサートのテーマは「和」と「美」。このテーマが選曲と演奏にどのように生かされたのかについて、コンサートをプロデュースした張濱さんは「今回の選曲は平和、協力、調和という意味が込められたものばかりで、中、日、韓、伊の4カ国のアーティストが国境を越えた楽器と曲の構成で演奏することで、祝福の気持ちを表したかったのです」と意図を語った。

メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲では、二胡を持ったソリストに会場から驚きが混じった拍手が起きた。中部フィルハーモニー交響楽団の伴奏で、張日妮さんが奏でる音色はバイオリンに極めて近いものの、二胡らしい個性も失ってはおらず、超絶技巧の演奏に来賓は大きく引きつけられていた。指揮を務めた飯森範親さんも「二弦しかない二胡でバイオリンの難曲を引きこなすとは、本当にすごい」と感嘆の声を上げた。

飯森さんは昨年南京市政府の招へいで南京を訪問し、交流を行っているが、「私は音楽で両国の交流のために何かができないかと考えていましたが、新型コロナウイルス感染症の流行で計画が狂いました。今日ここで指揮棒を振ることができ、目的を達成できた気がします」と満足そうに語った。

 

調和を美とする願い

愛知県の大村秀章知事、名古屋市の広澤一郎副市長、中国駐名古屋総領事館の孫志勇副総領事も音楽会に足を運び、あいさつに登壇した。筆者は、参加がかなわなかった中国側の代表に代わってあいさつを代読した。

大村知事はあいさつで、「新型コロナウイルスの感染拡大の困難な時にこそ、人々に安らぎと勇気、明日への希望を与えてくれる文化芸術は、豊かで潤いある生活に極めて重要な存在だ」と音楽会の意義を述べた。広澤副市長は「このような時だからこそ、お互いを思い合うことが姉妹友好都市の意義だと思う」と、中国駐名古屋総領事館の劉暁軍総領事は、「国連創設75周年という記念すべき年に、人類は運命共同体であると改めて証明された。今回のコンサートで皆さんに勇気と力を届け、さらに相互理解と相互信頼を深め、両国の友好関係が発展するのを祈念する」とそれぞれ強調した。

このコンサートの企画と開催の意図について、主催の南京市対外文化交流協会は、「今年の新型コロナの流行で、日本が中国に対して行った援助は多くの中国人を感動させた。南京も日本を含む国際社会に向け、共に難局を乗り越えようという思いで物資を贈っている。国連創設75周年を記念してコンサートを開催することで、音楽を中日両国の人々の心と心の絆とし、中日両国の文化と芸術の交流、相互学習、共創を促したい」とメッセージを送った。

南京市対外文化交流協会と共に主催を務めた人民中国雑誌社も、新型コロナ流行のさなかには、日本にマスクを寄贈する中国企業や個人の橋渡しとなり、物資に俳句や和歌、俳画を添えて日本へと送った。物資を受け取った日本の友人からは、これはまさに雪中送炭だという喜びの声が聞かれ、親しみのある詩や絵画で励まされたことで、一層温かみを感じたという感想を受け取った。まさに、中日両国民は物的交流以上に文化や精神的な交流で共鳴できることを物語っている。

 

感動と共鳴

音楽は世界共通の言語だ。

江蘇民謡の『茉莉花』と日本の童謡『紅葉』を組み合わせ、中日両国民の永遠の友好を象徴する楽曲が作られ、日本在住の音楽家・張濱さんが二胡で日本の名曲『君をのせて』(『天空の城ラピュタ』の主題歌)を奏で、チャン・ビン二胡演奏団による『平和に向かって走る馬』『川の流れのように』の斉奏、イタリアのマンドリン奏者・アレックスさんによるイタリア名曲メドレーなど、次々と繰り出される美しい音色に、会場からは拍手が鳴り止まなかった。

フィナーレは4カ国の音楽家が、中日韓伊英の5カ国語で歌う『小さな世界』と、出演者総出で演奏し歌う『We are the world』で締めくくられた。筆者の横に座っていた日中友好協会の岡崎温理事長は歌声に目をうるませ、もう一方の横に座っていた大村知事は、手拍子で熱演に応えていた。

来賓として来場した養蜂家の杉沼えりかさんは、今年の始めに東京で行われた武漢支援の募金活動に参加し、募金に協力してくれた人には養蜂場でとれたハチミツをお礼に送ったという。「今日このコンサートを聞き、また日中両国民間の助け合いと両国文化の接点に触れることができ、感動しました」と語ってくれた。

 


二胡でバイオリン協奏曲を演奏し、中国と西洋の楽器で各国の民謡を奏でる。東西文化が融合したコンサートは、来場者に全く新しい体験をもたらし、感動と共鳴を呼んだ (写真提供・チャン・ビン音楽企画) 

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