中米貿易摩擦、中国が持つべき自信と不動心

2020-02-21 12:24:06

 

文=中国網・編集長 王暁輝

 

W杯と貿易戦争が始まった。この2つの対抗は、中国の伝統的な「端午の節句」前に幕開けとなった。昨年8月に米国側が一方的に301条調査を開始してから、中米貿易関係には暗雲が立ち込めている。米国は今月14日、中国から輸入する500億ドルの商品に25%の追加関税を導入すると発表した。ホワイトハウスは618日、2000億ドルの徴税リストを作成すると発表した。中国商務部は19日、米国側が理性を失いリストを作成した場合、中国側は数量型と質量型を合わせた総合措置を講じて報復するしかないと表明。これにより貿易摩擦はグレードアップし、貿易戦は一触即発状態となった。

遅かれ早かれ必ず来る

「貿易戦争に勝者はない」「敵を1000人倒しても自軍に800人の損失が出る」これは中米貿易摩擦がエスカレートしてから、毎日のように新聞で取り上げられている表現だ。これほど浅く分かりやすいことを、トランプ大統領とその腹心はら理解できないのだろうか。いや、そんなことは絶対にない。米国も貿易戦争で自国が大きな損失を被ることを知りながらも、この「1000人」の効果を重視しているようだ。そのため「800人」を犠牲にしても構わないとばかりに、独断専行を決め込んでいる。

中米貿易交渉において、トランプ政権は握手したその手で殴りかかっており、態度を二転三転させている。これは戦術に過ぎず、その戦略は決まっており変わることもない。これはつまり貿易戦争を含む各種手段により、中国の発展の勢いをくじくということだ。中国はこれを十分に、はっきり認識する必要がある。

これまでを振り返り遠くを見ることができれば、この社会制度の差による対立に極めて深刻な歴史の原因があることが分かるだろう。「トルーマン・ドクトリン」、ニクソンの「1999年戦争なき勝利」、さらにはクリントン氏の「インターネットは中国に対処する手段」という発想から今日のトランプ政権に至るまで、その中国への態度はまさに一脈相伝で、非常にはっきりしている。ただしトランプ氏という経営者出身の大統領は奇策を弄し、読みにくくさせているに過ぎない。

交渉と対立を繰り返す

中米貿易摩擦は構造的かつ長期的な問題であり、数年でこれを解消するのは非現実的だ。トランプ氏は15日にツイッターで、中国から輸入する500億ドルの商品に追加関税を導入することについて説明したが、結局は貿易不均衡により米国が損をし、中国が得をし不公平だというわけだ。中米貿易は確かに不均衡だが、不公平とは限らない。

これには非常に複雑な原因がある。中国の一部の経済分野の開放が不十分という問題があり、国有企業の属性に伴う問題もある。しかしより深いレベルの原因は、中米の経済構造の差だ。世界通貨の米ドル、米国人の低貯蓄・高支出のライフスタイル、米国の対中ハイテク製品の輸出規制など、制度・構造の問題がある。

世界通貨の米ドルを例とすると、米国は1970年代前半に米ドルと金により石油ドル本位制を構築し、全世界のエネルギーを支配した。さらに「グリーンペーパー」を発行し、全世界にその消費の肩代わりをさせ、すべてのうま味を手にした。米ドルの世界通貨の地位を守るためには、必然的に世界に米ドルを輸出する必要があり、貿易赤字が発生する。これは分かりやすい理屈であり、米国人も知らないわけがない。ただ言及しようとしないだけだ。

中米貿易の不均衡が構造問題ならば、短期間内に解決できるはずがない。それならば今後、両国の貿易摩擦、大小さまざまな貿易戦争が常態となる。それではどうすればいいだろうか。交渉しながら対立し、対立しながら交渉するしかない。これは当時の朝鮮戦争における両軍と同じだ。対立するのは交渉を有利に進めるためであり、交渉するのは戦いを減らすか停止するためだ。

成長痛

改革開放が始まってから20年に渡り、中国は高い経済成長率を記録したが、規模にせよ質にせよ西側諸国(特に米国)との間に大きな差があった。中国は20011211日に正式に世界貿易機関(WTO)に加盟した。中国はその後グローバル化の歴史のチャンスをつかみ、開放拡大を続け国際社会と融合し、経済規模で世界2位になった。特に第18回党大会以降、中国は経済・軍事・文化・科学技術・社会ガバナンスの全方面に力を入れ、経済規模が世界経済に占める割合は11%から15%に上昇した。中国政府はさらに、経済を高度成長から高品質成長に転じる目標を打ち出した。これらは中国共産党が13億人の中国人を率いて苦しみながら奮闘した結果であるが、未だに冷戦思考を持つ覇権的な国にとって、これらの成果は「中国脅威論」の論拠に、中国の発展をけん制する理由になっている。

米国は第二次大戦後、世界における主導的な地位を確立した。旧ソ連の解体に伴い、米国「一強」の流れが生まれた。政治・軍事・経済・価値観などさまざまな手段を結びつけ、全世界で米国はほぼやりたい放題になった。これにより米国には自己中心的な強い意識が生まれ、その他の国との「ウィンウィン」の結果を受け入れがたくなった。米国が中国に仕掛けた貿易戦は、中国の発展を阻止するための総合策の1つに過ぎない。

中国は長期的に平和的発展の理念を守っており、いかなる国とも必要のない摩擦と衝突を望まない。またこの数カ月に渡り、交渉と協議による問題解決を目指している。しかし「木は静まろうとしても風はやまない」で、相手が押しかけてきたのだから中国も対応せざるを得ない。

自信と不動心

毛沢東は「柳亜子に和す」の中で「牢騒太盛防腸断 風物長宜放眼量」と記している。鄧小平は「発展こそが確かな道理だ」と発言した。習近平国家主席は「重要なのはやはり自分のことに取り組むことだ」と指摘した。これは偉人の心意気と度量だ。米国は自国の利益のために、長年従ってきたパートナーのEUやカナダさえも対象外とはしていないのだから、中国に特別な配慮を期待できるだろうか。中国が台頭する中で各種の試練と障害に直面するのは仕方ないことであり、不平をこぼす必要はない。ただ試練に立ち向かい、落ち着いて対応するだけである。

米国が貿易戦を仕掛けたことで、中国の13億人は中国共産党と政府の指導のもとでより団結し、結束して困難を克服するだろう。500億でも2000億でも、その時が来ればただの数字に過ぎない。中国は人口が多く市場が大きく経済の靱性が強く、国を挙げた体制には強大な調節能力と持久力があり、戦いになれば最後に誰が勝つかはわからない。

中米貿易戦は長期、困難、複雑な闘争になり、従来のリズムで信念を貫き、定力を維持することで障害を乗り越え、困難に打ち勝つことができる。

(一)改革を掘り下げ、開放を拡大し、経済構造、投資・貿易環境を改善する。EU、日韓、ASEAN、アフリカとの経済・貿易協力を強化し、友人の輪を広げる。中米貿易戦争による悪影響を最大限に和らげる。

(二)「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)の建設をさらに推進し、沿線国とより緊密な経済・貿易・文化協力を展開し、中国の発展の新たな空間を切り拓く。

(三)冷静な頭脳と謙虚な姿勢を維持する。中国の科学技術革新、コア技術、ハイエンド製造などに存在する不足と問題を十分に認識する。科学技術の研究開発費と教育費を拡大し、科学技術強国の道を確固不動の姿勢で歩む。

(四)戦略の不動心を維持する。国の核心的利益を守ると同時に、中米関係の大局を見据え、貿易戦争の拡大とエスカレートを回避し、その他の分野にまで拡張していく。

今年は中国の改革開放40周年だ。中国は自信を持ちつつ課題を迎え、新たなスタートラインに立っている。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018621

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