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貴州省黔東南ミャオ族トン族自治州 女性を飾り護る銀細工

 

魯忠民=文・写真

2010年の11月10日から18日まで、貴州省黔東南ミャオ族トン族自治州雷山県西江鎮ミャオ寨で「鼓蔵節」が開かれた。13年に一度の貴州ミャオ(苗)族の祖先を祀る、もっとも大切な祭りだ。西江は中国最大のミャオ族の部落として有名で、1286戸、5000人以上が住む。1980年代に初めて訪ねたときに比べて、昔日の安らかで静かなミャオ寨は国内外の観光客であふれる賑わいぶりだった。幾重にも重なった吊角楼(基礎部分の材木が棒のように吊り下がっている建物)、濃厚な民族風情と祭りのいろんなお祝いや祭祀行事などが、観光客に人気だ。その中でもひときわ目を引くのは、やはりきらびやかなミャオ族の服装と銀の飾りだろう。

鼓蔵節の開幕式で、雷山県ミャオ族の女性の方陣。銀の光がまばゆい

震撼させる銀色の方陣

祭りの日々、至るところで身に刺繍の盛装をまとい、全身きらきらと輝く銀飾りをつけた、ミャオ族の女性たちが練り歩き歌舞する姿を見ることができる。あなたはきっと彼女たちが世界で最も豊かで、もっとも楽しい民族だと感じることだろう。ところが、彼女たちの日常生活をのぞいてみれば、来る日も来る日も畑に出て耕作し、機織りや刺繍をし、子を生み育てる辛くてきつい情景を目の当たりにする。祭りの華やかさに目を奪われて、日常の勤労簡素さとの対比があまりにも強烈だ。

祭りの中のミャオ族の女性たちの銀飾りを見ると、頭から足先までくまなく飾られ、種類も頭の飾り、胸首飾り、手飾り、服の飾り、背の飾り、腰の飾り、さらに脚の飾りまで、約130種以上に上る。頭の飾りだけでも、銀角、銀扇、銀帽、銀の首や頭の飾り、銀の簪、銀の挿針、銀の頂花、銀の網鏈、銀の花櫛、銀のイヤリング、銀の子供用の帽子の飾りなどがある。一人の女性の銀飾りだけで10から15キロにもなる。

西江の女性の頭の飾りと銀角は、体積が大きいのが特色で、角は分かれて牛角状、幅は80センチ、高さはなんと身長の半分を超えるものもあり、風格たるや非凡である。鼓蔵節の開幕式には、このような飾りをかぶったミャオ族の女性が何百何千人と一つの演出の方陣に集まり、古い木鼓の轟きを伴って揃いのステップで踊りながら進む。一斉に銀の光がきらめき、ザーッという銀片が作る律動的な音が一陣また一陣と押し寄せて、その壮観が人々を震撼させる。

ミャオ族の「金銀神話」

代々伝承されてきた『ミャオ族古歌』の中に、ミャオ族の祖先が「金銀」を用いて天地を開闢した神話がある。「金が飛び出してきた、まるで大きな黄牛のよう、背が黄色にきらめく」「銀が飛び出してきた、まるで白い綿羊のよう、おなかの皮がきらきら輝く」「金がピカピカ光り、岩層から出てきた、銀が真っ白く光って、岩層から出てきた」先祖は金で金の柱を作り、銀で銀の柱を作って、混沌の天地を押し開いた。さらに金の太陽、銀の月と満天の星を鋳造した。そのため「高山と深い谷は日夜明るく照らされる、牛が喧嘩をしなければ、娘は嫁に行く、田の水が温かくなり、穀物が成長し、お腹がすいても食べものがあり、寒くなっても着る物がある。江略(氏族鼓社)九千個、あたり一面喜びが満ち溢れる」

古書の記載によれば、ミャオ族の先祖は黄河流域の下流と長江下流の平原地帯で生活していた。後にミャオ族の首領蚩尤が黄帝に敗れ、ミャオ族は西南に移転させられた。ミャオ族は少なくとも5回にわたって歴史的大遷移をし、途中数知れない苦難を経験した。飢えを忍ぶだけではなく、風雨や雷電、洪水猛獣といった命が危うくなるような自然現象はいかんともしがたい。ミャオ族の先祖はすべての鋭利な物は邪を払い除ける。銀飾りはその優れたもので、身に着けていれば災難を避け病を取り除くと信じている。こうして、巫術の力を持ったミャオ族の銀飾りが誕生した。そこで、ミャオ族の人は山の泉の水を飲む時は、まず銀のブレスレットを泉につけて災いを除いた後飲む。丹寨県ミャオ族の女性が着けている銀の腰飾りは邪を除くもので、必ずおじが人に頼んで作らせたものを一生身に着けなくてはならない。台江県ミャオ族は人が死ぬと墓穴に銀の屑を撒き、死者の魂がこれを着けて悪鬼を避けるようにする。

後ろから見たミャオ族女性の服飾

 

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