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中原文化の粋 古建築群(下)

 

峻極門前の通路の両側に、それぞれ東岳の泰山、南岳の衡山、西岳の華山、北岳の恒山を代表する「四岳殿」がそびえている。これに中岳を加えればちょうど五岳になる。中岳廟が昔、「土神の宮」と呼ばれたが、「土」は五行の中で最も重要なものとされるため、中岳が「五岳の首」であった。中岳を五岳の首とし、これに「四岳殿」を配することで、「五岳が共存し、五行がすべてそろう」という道教的観念を示している。

「中岳嵩高霊廟碑」 「中岳嵩高霊廟碑」に残っている碑文の文字

峻極殿は中岳大殿とも呼ばれ、高さが約3㍍の大きな台の上に建てられている。その建築様式は北京にある故宮の太和殿に似ている。明・清の時代(14~20世紀初め)の皇宮や皇陵に次ぐ規模の大殿である。大殿の面積は約920平方㍍で、幾重にも重なる屋根の庇と黄色の瓦の大殿は、高く壮大である。殿内の天井板には彩色絵が施されている。

高さ約3㍍の大きな台の上に建てられた中岳廟の正殿である峻極殿

大殿の天井の中央には「盤龍藻井」と呼ばれる装飾がつくられている。これはコノテガシワの木の根を彫ってつくられたと言われ、その工芸は精緻で彫られ、細工は天然の美をしのぐほど巧みなものである。

大殿内の神棚の中央に祭られている座像は、則天武后が封じた「中岳大帝天中王」である。高さは5㍍を超え、その姿は雄大である。その左右に侍臣と仙童の像が並んでいる。神棚の外の両側には、鎧兜を身に固めて手に金瓜斧を持った2人の鎮殿将軍「方碧」「方相」の塑像がある。高さは約6㍍で、その姿は雄大・荘重である。

嵩高峻極坊はまたの名を「迎神門」という。清の時代に建てられた木造建築物の逸品

峻極殿内の天井に設けられた「盤龍藻井」。これはいくつかの小さな斗栱を積み重ねて作られている

中岳廟の後ろに「黄蓋峰」という小山がある。峰の頂上には中岳廟の遺跡がある。中岳廟が麓へ引っ越した後、元の建物を「中岳行宮」に改造した。黄蓋峰はもともと「神蓋山」と呼ばれ、前漢の武帝が嵩山に遊覧したとき、この峰に登った。当時、武帝は真紅の長衣を着ていて、「黄羅傘」という大きな傘をさしていた。それはあたかも天上の黄色の雲が頂上にかぶっているかのようだったので、黄蓋峰と改名されたという。頂上に立って、緑の木々の間に見え隠れする中岳廟を俯瞰すると、陽の光の下に照らされて金色の瑠璃瓦の屋根がきらきらと輝き、この廟と皇室との「血のつながり」を人々に感じさせるのだ。

 

人民中国インターネット版 2011年12月

 

 

 

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