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昔も今も快適な毎日を応援 足つぼマッサージ師

王焱=文・写真

中国人は古来より「洗足养生(足湯をして養生する)」の伝統がある。近年、人々の健康管理への意識が高まり、都市の至る所で足つぼマッサージの人気が高まっている。おととし、足つぼマッサージ師が主人公のテレビドラマ『老大的幸福生活』(兄貴の幸せ)が好評を博した。

治療ではないが健康促進

河北省保定市出身の李濤さん(27)は足つぼマッサージの仕事を始めて五年になる。現在は北京市海淀区の足つぼマッサージ店に勤めている。  彼は中国医学の理論に基いて、五臓六腑(内蔵全体)の状態が足に呼応して表れ、両足全体には体の各器官に通じているつぼが、60カ所以上もあると教えてくれた。足つぼマッサージとは、足湯とマッサージによってこれらのつぼを刺激し、全身の経絡や血液の流れを円滑にすることだ。

客の足にマッサージオイルを塗りながら、気さくに足つぼマッサージの豆知識を客に紹介する李濤さん

いくつかの文学作品で、足つぼマッサージ師が病気を治すことができるように描かれていたが、李さんは率直に、それは少し大げさな話だと言った。そして「足つぼマッサージの主な効用は疲労回復、ストレス解消そして健康促進に一定の効果があります」と彼は語った。

マッサージ師の腕前がカギ

1回のマッサージにかかる時間は約一時間、費用は80元ほど。

足つぼマッサージで、まず行うのが足湯だ。足湯の温度は、およそ38度ぐらいで、必要に応じて漢方薬を湯に入れることもある。足湯の時間は、大体15分から20分くらいで、その間マッサージ師は客の肩をもみほぐして、客をリラックスさせる。

マッサージ師の多くは足の手入れも行う。足湯の後、専用の道具で足指の爪を整え、足の角質を除去し、疲れのたまった足をケアする

その後マッサージに入り、通常は左足から開始する。李さんは、「中国医学では、左足に心臓のつぼがあると考えられており、一般的に足つぼマッサージは、心臓のつぼから指圧を始めます。そして副腎のつぼを指圧し、その後は輸尿管のつぼを擦り、膀胱のつぼをもみ、尿道のつぼを押し、それから足の五本指を擦ります」このような流れで、左右それぞれの足に約20分ほどかけてマッサージを行う。

李さんが勤める店の常連客の魯さんは、彼からマッサージを受けた後、「マッサージを受ける前は足がだるかったけど、マッサージの後、立ち上がってみると足が軽くなってるし、弾力も戻ったよ」と感想を述べた。

「足つぼマッサージのカギは、マッサージ師の腕にあります。的確につぼを捉えて、巧みに力を加減することです。マッサージ師の技量が、店の売り上げに直接影響します」と李さんは語った。

腕を磨くために日々精進

「20歳の頃、北京市のある公衆浴場で従業員をしていた時に足つぼマッサージに出会いました。当時、従業員の月給は数百元程度でしたが、足つぼマッサージ師の月給は2000元でした。とても羨ましかったです。そこでマッサージ師の方にお願いして、マッサージ技術を教えてもらいました」と李さんは、この仕事に就いたときのことを思い出しながらそう語った。

足湯を終了する前に、温まっている足を湯に浸けたままマッサージする

技術を学び終えた後、李さんは、足つぼマッサージ師の就労資格を取ることができ、故郷に戻ってマッサージ店でアルバイトを始めた。腕が良かったのですぐに人気になり、その後独立して自分でマッサージ店を開店した。「これを機に人生が大きく飛躍しました」と彼は得意気に語った。しかし、マッサージ業界では、さまざまな新しい技術が絶えず生み出され、競争も次第に激しくなっていった。ある時李さんは、以前に学んだ技術だけでは、もうやっていけないと実感するようになった。それで自分の店をたたみ、再び北京に来て、駆け出しのマッサージ師として再出発した。マッサージの研修を受けて経験を積み、人生のさらなる飛躍を目指して励んでいる。

「目標があると仕事への情熱が湧きますよ」と彼は語った。

 

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