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顧客の高評価で収入アップ ツアーコンダクター

 

文・写真=王焱

国民の所得増加が、中国の旅行需要をまさに牽引している。2012年10月の大型連休期間だけで、観光客は延べ4億人に達し、中国各地の観光地は、非常に大勢の人々で溢れかえる盛況ぶりだった。それと時を同じくして多忙を極めたのが、ツアーコンダクター(添乗員)だった。

顧客の快適な旅のお手伝い

趙輝さん(37)はツアーコンダクターの職に就いて15年になる。彼によると、「ツアーコンダクターの仕事とは、顧客が食事を楽しみ、快適に宿泊し、安全に移動して観光を満喫し、ショッピングを堪能し、さらにレジャーなども楽しめるようにお手伝いすることです。さらに顧客に旅先の情報をいち早くお届けし、ただ観光地の情報だけでなく、現地の社会生活など、興味深い情報も提供して、彼らが退屈しないように気を配ることが大切です」

ツアーコンダクターは、「現地添乗員」と「同行添乗員」に分かれる。趙さんは、次のように解説してくれた。「現地添乗員は、現地で顧客を迎えて、旅先のガイドや食事、宿などの手配をし、引率と旅程の管理をします。同行添乗員は、顧客の集合場所から旅先までの往復や宿泊を含めた旅程の全スケジュールに同行し、引率と旅程の管理も行います」

近頃は海外旅行に行く人々も急増しており、中国人の団体海外旅行に同行するツアーコンダクターは、「領隊(監督)」と呼ばれる。彼らは一つあるいはいくつもの外国語を話すことができ、海外では彼らが旅行中のあらゆる場面で外国人に対応する。

いつも元気いっぱいで

天安門の前で旗を振って引率する趙輝さん。元々、彼の専攻はコンピューターだったが、旅行が大好きだったので、卒業後ツアーコンダクターの道を選んだ
ツアーコンダクターの仕事は、一人で担当業務を切り盛りする能力が求められる。趙さんは、「十数人から何十人もの顧客に呼びかけて、共に移動しながら旅先のガイドを行い、さらに旅程を管理するうえで、頼ることができるのは自分自身だけです。臨機応変に対応する能力はとても重要です。この業界ではベテランの私でも、以前に経験したことのない事態に直面することがあります」と語った。

さらにツアーコンダクターに求められるのは、苦労に耐えられる丈夫な体だ。趙さんは、その意味を要約して「どこでも食べて、飲んで、寝られること」と述べた。「疲労がピークに達すると食欲がなくなることがあります。しかし決まった時間に食事を取る習慣を保つ必要があります。そうしなければ、体力がなくなるばかりか、すぐに胃の調子が悪くなってしまいます」

「どこでも寝られる」ことも体力回復の重要なポイントだ。「どこでも寝られるというのは決して簡単ではありません。環境が変わるだけで眠れなくなる人もいます。ツアーコンダクターは、いつも旅先のホテルなどで寝泊りします。枕が換わるだけで眠れなくなる人には勤まらない仕事ですね」と言った。趙さんも22歳の時に初めてツアーコンダクターを担当した時には、緊張のために小さな物音ですぐに目覚めてしまう夜が3日も続いたそうだ。でも今では、横になるだけですぐに眠れるようになったという。

時には顧客も非常に疲れていることがある。そんなときこそツアーコンダクターは、元気いっぱいな態度で、顧客の気分を高揚させて一日のスケジュールをスタートさせる必要がある。ある時、趙さんが団体客を迎えた後、秋の雨が何日も続いたせいで、雨水が足首にまで達したことがあった。観光地では、傘をさしていても腰から下が雨に濡れてしまった。観光が終わった後、彼は靴が濡れてしまった顧客のために靴を買わなければならなかった。その日の出来事について、彼は苦笑しながらこう語った。「一日の激務が終わって、ホテルに到着した時にはお腹を下していました。しかし翌日、顧客の前では元気いっぱいに振る舞って、観光を続けました」

誠意を込めて顧客の支持を得る

閑散期と繁忙期がはっきりしているため、ほとんどのツアーコンダクターは月給制ではなく、担当した業務ごとに報酬を得ている。趙さんによると、「4日間の国内旅行なら、一回の担当で報酬は5000元ぐらいで、10日間の海外旅行なら一回で報酬は、1万元以上です」。顧客からのフィードバックにより旅行会社は、優秀なツアーコンダクターにより多くの仕事を割り当てるという。現在、趙さんが担当する団体客は、毎年大小合わせて30を超えている。

閑散期になると、ツアーコンダクターたちは国家観光局によって毎年行われる検定試験の準備に入る。試験で不合格になるとツアーコンダクターの資格を取り消される。試験はインターネットで受けることができ、試験内容は、旅行業界の市況動向から国家経済や国民生活についての重大なニュースまで多岐に渡る。この検定試験について趙さんは、「外国人の団体客を担当すると、彼らからいつも観光地以外のことについてさまざまな質問を受けます。それでツアーコンダクターは、国家と社会について重要な出来事に通じている必要があり、民間交流のまさに最前線に立つ仕事だと言えるでしょう」と説明してくれた。

ツアーコンダクターは、顧客にとってただの旅行案内人ではなく、むしろ見知らぬ土地で唯一信頼の置ける人物だ。「誠意を込めるなら、顧客も心を開いて支持してくれます。何日間か行動を共にするだけで、みんなと良い友達になれます」。さらに趙さんは輝きに満ちた顔で誇らしげにこう語った。「以前はメールアドレスを持っていなかったので、顧客との別れ際に、彼らから後で手紙を送りたいので私の住所を教えてほしいとよく言われました。何年も前に出会った幾人かの顧客とは、今でも連絡を取り合っています。初めて出会ったときには、まだ少女だった子が、今ではもう大きな子どもがいるお母さんになっていますよ」

 

人民中国インターネット版 2013年1月17日

 

 

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