People's China
現在位置: 連載時のひと 芸術大家

伝統書道をロックで味付け 書道家 張六弢氏

 

本誌特約ライター・李艶平

張六弢氏

張六弢氏の筆遣いには、伝統的な風情や味わいと共に現代的な情熱も備わっている。彼の作品を見て、感動を覚える人は少なくない。

生活と芸術に対する情熱

深圳市で最も高いビルである「京基100」で、私は張六弢氏と二度目の対談を行った。話題は、書道から音楽、今の流行、芸術にまで及んだ。対談した時の張氏は、深緑色のTシャツ姿で、まるで大学を卒業したばかりの若者のような容貌だった。

「芸術における自然の境地とは、作者の考えや生活環境を自然にありのまま表現することだ。私にとっての創作活動とは、生活や芸術そして自然において『感じる』ことに注意を集中し、万人からの共感や称賛が得られる作品を完成させることだ。現代書道において、私は広大無辺な世界とまっすぐに向き合い、革新や多元化、融合などの文化背景の下、自分自身の創作スタイルを十分に発揮できるように努めている。1960年代生まれの私たちには、伝統という烙印が鮮明に押されているが、私自身は生活に新鮮さを感じているし、大変革を遂げたこの時代は、斬新で興味深い創作の題材を与えてくれる。私は流行が好きだが、伝統も大好きだ。書道は、私を陶酔させてくれる芸術であり、8歳の頃、書道はすでに私の体の一部となっていた」と彼は胸を張ってそう語った。彼の言葉は、生活や芸術に対する心からの情熱で満ちていた。

勤勉な修行が育んだ才能

中国の書道芸術の移り変わりと発展は、時代や環境と伝統による相互作用がもたらした結果だ。張六弢氏は、中国の壮青年書道家を代表している大家の一人だ。

中国書法院の管峻院長は、「張氏の草書は、現代の書道界を代表しており、とりわけ年若い書道家の中では際立っている」と自身の見解を述べた。

1966年、江蘇省宜興生まれの張氏は、幼い頃から書道との深い縁で結ばれていた。しっかりとした基本技能に豊富な経験、そして生活における感受性、また時代の発展が彼に与えた影響などによって、張氏は書道芸術にのめり込んでいった。そして、彼が墨と筆によって書く際に、醸し出される生気に溢れた芸術表現力は、自らの生活における観察や経験を通して形成されたものだ。

張氏は、伝統を全面的に継承し、歴代の名作を手本にして書道の練習を重ねた。漢・魏時代の『賀捷表』『龍門二十品』『爨宝子碑』『爨龍顔碑』『張黒女碑』などから始まり、質実剛健な碑文を手本にした学習から大きな啓発や創作の糧を得た。

彼は歴代の大家による名作を熱心に研究した。東晋(317~420年)時代の著名な書家である王羲之と王献之による多彩な作品や宋代に活躍した蘇軾、黄庭堅、米芾、蔡京の4人の書家による自然で力強く、粋で含蓄に富んだ作品の数々から明・清代の書家によるロマン主義の優れた作品まで、張氏は幅広く学び、自分自身の作風に意欲的に取り入れていった。江蘇省書法院専属の書道家となった後、張氏はより一層勤勉に励み、自分自身のスタイルを固守するようになった。

清代・惲南田(寿平)の「論画」 133cm×34cm 2012年

万人から支持を得た名作

碑学と帖学は中国書道の永遠のテーマだ。碑学と帖学の融合が首尾よく受け継がれることは、決して容易ではない。現在、中国書法家協会会員、無錫市書法家協会副主席、宜興市書法家協会主席を務める張氏は、絶えず自分を磨き、強い意志を持って「碑」(拓本の文字)が持つ雄々しさと「帖」(法帖の文字)が持つ優美さの融合に腐心し、芸術創作を通じてこれらの美術思想を結び合わせ、徐々に自分自身のスタイルを確立している。

彼の作品は、国内外の大きな展覧会に出品され、何度も国家級賞に輝いている。例を挙げるならば、1988年「中意杯」龍年国際書法篆刻テレビ大展で金賞、1990年「第三回全国中青年書道篆刻家作品展覧」で最高賞、1991年「第二回全国テレビ書道コンテスト」で一等賞、1997年「第一回中国書道芸術節・全国書道百人精品展」で優秀作品(精品)賞、2001年「走進新世紀・江蘇省青年書道篆刻精品展」で銅賞などこれまでに多数の賞を受賞している。さらに2009年に、『中国書画』誌で掲載された「江蘇省十大青年書道家」に名前を連ね、2010年には、「当代書壇名家系統工程・全国500人書道精品展」に出品している。

創作の題材とアイデアにおいて、張氏は試行錯誤を重ねている。漢詩以外に自作の詩や書論などを書いた作品もある。書道芸術の創作において、彼は斬新さにこだわったり、俗受けを狙ったりはせず、広大無辺な世界とまっすぐに向き合い、美しい作品を書いている。張氏にとって、芸術とは常にさらなる洗練を目指した上で、万人からの共感や称賛が得られるものであるべきで、真に成功を収めている芸術家は、上流階級と一般大衆の垣根を越えて幅広い支持を得ている。それ故、彼はそのような作品をもっと世の中に送り出したいと願っている。張氏は、外部からの批評に動じることなく、自分自身の芸術的センスに自信を持ち、創作活動に遺憾なく発揮している。

唐代・李白の「草書歌行」 28cm×34cm 2012年

ロックで磨かれるセンス

書道芸術以外に、張氏は、ロック音楽の愛好家でもある。激しくアップテンポなロック音楽と非常に静かな書道が、彼の心の中で一緒にいることを考えると幾らか違和感を覚えた。

「実のところ、我を忘れるくらいロックに聞きほれていると、ロックも非常に静かで純粋なものに感じる。音楽や自然から感じたことを書道作品に反映している」と彼は語った。彼のロックにかける熱意は相当なもので、CDを買い揃えるためにわざわざ飛行機に乗って香港や他の都市に出かけるほどだ。CDを収集し、ロックの文化的背景を研究してロックの本質を理解しようとする時に、今度はロックの精神が彼の筆に表れるのだ。

唐代に、草聖と呼ばれた張旭は、公孫大娘という舞姫による剣器の舞を目にした後、剛柔を合わせ持つ千変万化の剣術を書道に取り入れ、草書の筆法を悟るヒントを得たという。これに対し張氏は、音楽から激しいビートと躍動感を書道に取り入れていると言えるだろう。

 

人民中国インターネット版 2013年7月

 

 

同コラムの最新記事
伝統書道をロックで味付け 書道家 張六弢氏
十氏が海南・広東で巡回展本誌特約ライター・李艶平
東西文化の調和に尽力 書道家・芸術学者 王岳川氏